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元々の私

やべ、涙堪えすぎて鼻水出てきた……。


もう二度と会えない家族や友達、もう見ることのできないアニメや映画に思いを馳せれば馳せるほど涙腺がゆるっゆるになって涙が溢れ出る。


鼻を少しすすってはぁっと息をついた。


でも、そんな事言ってたって仕方ないよね、うん。到底受け入れられなさそうだけど。

第二のおまけ人生って考えて頑張ろ。


「ごめんなさい。降ろしてくれる?」


「リリィ……。君……泣いているのかい…?」


心の底から心配そうな彼の話し方にありがたいと感じながら、私は無理して微笑んだ。


「ううん、大丈夫よ。」


お嬢様的な話し方に気を使い、現代語は飲み込むようにする。


「で、でも君…涙が……。」


「本当に。大丈夫だから。」


「いや…。」


それでも食い下がってくるホーリーを一刀両断しようと口を開いた。


「これ以上言ってくるなら私、ホーリーの事嫌いになるわよ?」


「嫌いに"なる"って事は、まだ嫌いじゃないって事だよね?」


は?


ホーリーの嘲笑するような顔がこちらに向いた。さっきまでの萎れた彼はどこに行ったんだよ。


「そ、そんな訳……」


あるかぁぁぁあああ!!!!


と、言いたくなるのをグッと堪えて作り笑いに努める。


実は私が言い淀んだのには理由がある。

先程も言った通り、ホーリーは私の“元”推しなのである。

最初にこのゲームを始めたのも彼のおかげと言って過言ではない。


でも。今は違う。

断じて違う。


私は天下一の推しを見つけたから!!!

こんなウザすぎ合法ショタに付き合ってる暇はないんだ!


「違うのか……でも、たとえそうじゃなくても名前を呼んでくれただけでも嬉しいよ。」


ホーリーはそう言うと眉をしかめて笑った。


やっぱり……

悔しいけれど、声が良い………!!


実は、ゲームを始める前の私は二次元ヲタクじゃなかった。

子供の頃に見たアニメの主人公をたまに助けてくれるお助けキャラに惹かれ、

イラストや創作漫画などを端から端まで漁り尽くした。

遂にはそのキャラの声優の出演するアニメを知る限り追いかけ、感想をノートにまとめたりなどしていた。



そう。

私は…………声ヲタだった。


「急に黙っちゃって。らしくないよ?リリィ。」


ホーリーはずいっと顔を近づけた。彼のブロンズの髪が私の額から頬に移動する。

私はホーリーから顔を背けた。


いや、無理無理無理ぃ!!!

いくら推しじゃなくなったからと言って声が良い事には変わりない!

流石に髪の毛がくっつくぐらいの至近距離は声ヲタには辛いっす!


ぶんぶんと首を振りながらそんな事を考えていると、私はある事に気がついた。


「ん?」


自分の視界に映る一房の髪…。それは黒くなかった。


ん?私コスプレでもしてたっけ。


き、金髪……って……。


「まっ…まさか。」


ハッとして首を鏡の方へ向ける。


「ヒッ……」


驚きすぎて息を呑み込んだのと、首が変な音をあげるのが同時だった。


グキッ…

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