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やっと気づくOTAKU☆

頭の片隅がズキズキと疼き、私はこめかみに手を押さえたまま思い出そうと苦闘する。

何だろう。完成図は解っているのにパズルのピースがはまらないこの感じ……。


私はピンバッジのHをもう一度見た。

H……。これは誰かの名前の頭文字だった。そう。台座と同じ髪の色。

青い薔薇がよく似合って、その人の目の色も同じように青かった……。


「リリィ。急に黙ってどうしたんだい?ごめんよ、しつこかったね。僕らしくもなかった。」


ちょっと待って、ホーリー。今何かがはまりそうな気がするか、ら……。


心配そうな青い瞳がこちらをのぞく。


ん?ホーリー?そうだ。

なんだか、だんだんと思い出してきたぞ。

ブロンドの髪、サファイアの様な青い瞳、頭文字のH。

パズルのピースがパチリ、パチリとはまっていく。


「あっ……!」


カーーンと鐘のような音が響いて、頭痛が治まる。

彼の金色の髪が私の額でふわふわと踊る。


「大丈夫かい……?」


大丈夫ではない。

なんてったって、私は彼の腕の中で悟ったから。

彼は。私の"元"推し、ホーリー・アントニオだって。



……。



…………。



いやいやいや、どんな絵面!

二次元のキャラって三次元にするとこうなるのかぁ……。


なんかイケメンから一気に妖艶になってて不思議。

でも面影?は残ってるからキャラ変って程でもなくて、公式が三次元化してみたって感じ。


はぁー……。


へぇー……。


……。


いや、ん?私今混乱し過ぎて全てを悟ったみたいになってるけど、


これ、私、乙女ゲームの中に入ってる…って事…だ、よ、ね。


あーはいはい。解りましたよ。今流行りの転生系ですよね。あ、転移?憑依?

どちらにせよ、私あの夜、死んだんすか。なんか記憶が曖昧だけど、家に帰った記憶が0っすわ。

えっと、この乙ゲー重課金勢だったから神様からの思し召しっすかね、うん。



スゥ………(息を吸う音)



え、嫌なんですけど。

私、もう親とか友達とかと会えないって事?

生きてて辛いことたくさんあったけど、死にたいって思うほどじゃ無かったよ?何度も口に出した事はあったけどね?そりゃ売り言葉に買い言葉ってもんすよ。

うわーーー!死ぬ前に今月で最終回迎える月刊漫画だけ読んでから出勤すれば良かったーー!!

そもそも仕事行かなきゃ良かったーー!いや、歩きスマホがいけなかった。うん。間違いない。高校の頃から先生に注意されてる人見てたわ。

まじかよ……別れの言葉の一つも言えないなんて……。


そう考えると視界が滲んできた。溢れさせたくなくて精一杯奥歯を噛み締める。


と、いうか。

よくある小説とか漫画の転生者ってなんであんなに転生したことに対してお気楽な方々多いの!?

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