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「今日はバッサリ切って短くしたいんです。お願いします」
私は行きつけの美容室に来た。今日は単に髪を切りに来たわけじゃない。自分を変えるために来た。
あんな展開を期待して、目黒君に振り向いてもらうために、私は長い髪の毛を切ってショートカットにします。
目黒君はもしかしたらショートカットの女の子がタイプなのかも。人に顔を見られるのが恥ずかしくて、今までは長い髪の毛で顔を隠していたけれど、思いきって顔を見せたら可愛いって言ってもらえるかも。
家庭科の授業の時、何度か目が合ったのは噓じゃない。目が合うってことは互いがその人のことを見ていたってことだよね?
「目黒君、あなたに振り向いて貰えるように私はショートカットにします!」
これは、現実に起こった話じゃない。あくまで妄想の中の話でこうなればいいな、こうだったらいいなって思う話。
この物語に名前を付けるとするならば、「フェイクストーリー」