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空白の中で立つ君に  作者: 赤水 捺南
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1日目 登校  いつも通りは程遠く

「……で? 何をしろと?」


汐河(せきかわ)柚優(ゆう)()さぶる攻撃から解放された訳だが、正直気分を害されたしちょっと酔ってしまった。


「特に無いよ?」


こんな事を言うのはアレだが殴りたくなってきた。


唯々(ただただ)お話ししたいなぁって思った。」


「お前と話す事はない。」


「ヒドいっ。 あとお前じゃ無い!」


勘弁して欲しい。

朝のこの時間、いつもと違う時間とはいえバスの中では静かに過ごしていたい。

それでなくても寝坊して気分が悪いのだから。


「しょうがないから話のネタは私が出してあげよう。」


話す事はないと言ったろうに。


「じゃーあー、えーと、なんでこの時間のバスに乗ってるの?」


人の事は言えないが話すのが下手過ぎる。


「……寝坊だ。」


「そ、そうだよね! えーと、じゃー……


「話すネタが無いなら黙ってろ。」


早く着いてくれ。

心の底からそう思う。


結局、汐河柚優からの好きな食べ物や好きな教科などの至極どうでもいい事の質問責めを適当に(あし)らっていると、5問目くらいで大人しくなった。

学校までは後一駅。

なんだかんだでちょうど良い時間になった。

五月蝿(うるさ)かった事には変わらないが……。

今では何ひとつ話さずに大人しく座っている。

最初からそうすれば良いものを。


そんな事を考えていると、校舎が顔を見せた。

比較的新しく、かなり綺麗な方だと思う。

高校には珍しく土足の学校で、更には螺旋階段(らせんかいだん)というなんともお洒落(しゃれ)(つく)りをしている。

校舎自体も大きく、5階まである。

因みに5階まである高校はここ以外知らない。


毎度聞く、ブレーキの音が鳴り終わってから席を立つ。

彼女も慌てて続く。

現在地を分かっていなかったのだろうか。

降車場所が校門を過ぎてしまうので面倒くさい。

何とかしてくれないだろうか。

だが、校門から校舎内までが近いのが救いである。

学校が大きいのに比例する様に生徒数も多い。

(したが)って下駄箱も多い。

(いま)だに間違えるときがある。


靴を履き替え二階へ向かう。

階段を上って直ぐが自分の教室だ。

だが先に職員室に行かなければならない。

遅刻をすると面倒臭い事が増えるから嫌いだ。


すると背後からヘトヘトになった彼女が現れた。


「置いて行くなんて酷いよぉ! お陰で階段ダッシュする羽目になったじゃないかっ!」


何も追いかける必要など無かったろうに。


「知らん。 お前が勝手に走っただけだ。」


「そうだけどー。」


そんな目で見ても無駄だ。


「ちらっ?」


さあ目的は職員室だ。

まぁもう目の前だが。


「また無視するぅ!」


「失礼します。」


職員室に入る時の定型文を呟きつつ、出入り口目の前にある遅刻申請書を書く。


「失礼しまーす」


こいつはもう少し言い方を考えた方がいいと思う。


年組番号氏名、遅刻理由を書いて先生にサインを(もら)えば完了だ。

サインは近くにいた教頭に書いて貰った。

後は教室に向かうだけ。


「さぁ教室へごー!」


遅刻しているというのにテンションが高い。

何故だ。


「はぁ。」


こいつと居ると疲れる。


今の時間は数学だ。

何かと緩い先生で助かった。

教室の前とは思えないほど静かだが本当に授業をしているのだろうか。

後ろの扉から入る。

当たり前だがみんなの視線がこちらに向く。


「あ…… おはようございます。 大丈夫かい?」


「大丈夫です。 寝坊しただけなので。」


「寝坊かい……。」


この先生は基本的に穏やかなんだが、覇気(はき)がないと言うかおどおどしてると言うか…… そんな感じの先生だ。


「皆おはよー! 寝坊してきましたー!」


「汐河…… お前もか……。」


クスクスと(かわ)いた笑いが起こる。

これもいつもの事だ。


「あーほら、席について。」


「はい。」


「はーいっ」


遅刻したとはいえ、これが普段の雰囲気である。

さぁ今日も頑張りますか。


「授業開始ー!」


1人だけ五月蝿い奴が居るけどな。

お久しぶりです。 赤水捺南です。 約2ヶ月ぶりですね。


さて、ここまで読んでいただきありがとうございます。 第二話になります。 相変わらずの速度ですが許してください。 ごめんなさい。

今回のお話は登校中の内容になります。 殆どがバス内の話ですが、内容は伝わっているでしょうか。 因みに自分はバス登校はした事無いです。 こんな感じかなと予想しながら書いた次第であります。

内容としては、2人がイチャイチャするだけです。 平和っていいよね。


さあ今回も何が言いたいか分からない後書きになってしまいました。 悔いはありません。

次話はいつになるのか、多分相当後になると思います。

それでは、寒さが厳しいであろう頃にお会いしましょう。



赤水捺南

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