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学校生活「期待」

「あははは・・・いやぁどうしたんですかね~。私のだけ氷入ってたんですかね~。」

(やばい・・・隠すつもりだったんだけど・・・うっかりしてた。パッシブスキル恐るべし・・・)


「「「「・・・・・・・・。」」」」


ひそひそ声が聞こえてきた。


「・・・あの右頬に傷跡ある女の子・・・ガルーダに乗ってた子だよね・・・何でここに居るの・・・」


(あー・・・やばい・・・ばれてる。)


私は夕食を急いで食べて自分の部屋に戻りベットに入る。空間収納から毛布を出し頭から被った。

(やっぱり右頬の傷跡、目印になるよね・・・分かっていたけど・・・あー・・・もう!逃げ出したい!)

そうは思ってもお父さまやお母さまが私の為に手配して頂いた事なので投げ出す事は絶対に無いが。


『カチャッ!』


暫くして部屋のドアが開いてルームメイト3人が帰って来た。


「「「・・・・・。」」」


3人とも無言だったが最初にバローダが話しかけてきた。


「サイレン、起きているんでしょ?聞きたいことがあるの。」


「・・・・・。」

(やっぱりそうなるよね。ミスった・・・。)


私は毛布を取りベットから降りて椅子に座った。

3人も椅子に座っている。

バローダが質問してきた。


「サイレン、食堂でいろいろ噂をしていたわ。だからちょっと確認させてほしいの。」


(この国に来た時、派手にし過ぎたか・・・嘘をついてもあとあとバレるから話すか・・・。)

私は意を決し質問に答える。


「はい、なんでしょう?」


「さっき食堂で氷を出したのってサイレン?」


「はい・・・」

私は空間収納からコップを出し氷を作り入れた。

『カラン!』


それを見た3人は何もない空間からコップが出て氷がその中に入った事に驚いている。

マヘリアが驚きながらも質問する。


「大きな商隊にいてガルーダに乗っていたってのは?」


「商隊にもいましたしガルーダにも乗っていました。今、ガルーダは城にいます。」


私がそう言ったらマヘリアは黙り込んだ。ローリエも質問してくる。


「その商隊と一緒に『王様の銀行』に入って行く所を見た人がいるんだけど・・・」


「銀行に入って手続きをしましたし商隊とは別れました。商隊の事は話しません。」


ここまで話して3人は黙り込んだ。


「「「・・・・・・。」」」


「私はやましい事をして、やましい理由でトラピスト王国からここに来た訳ではないです。私が原因で部屋を変えるなら私が出て行くんで言って下さい。」


質問は終わったようなので、コップをテーブルに置き、ベットに入って頭から毛布を被った。


・・・・


・・・・・・


・・・・・・・・


朝になって目が覚めた。私が一番早いようだ。まぁなんだかんだで一番早くベットに入ったから起きるのも早い訳で。3人はまだ寝ている。

窓を静かに開けて外を眺めた。朝の冷気を吸い込み溜息にして吐き出す。


『はぁ・・・・。』


お母さまは泣くのは着いてからとは言っていたけど、これでは泣ける雰囲気も吹き飛んでしまっていて、それどころではない。悩みどころ満載で考えるだけで頭が痛い。

(開き直って学校支配しようか・・・いやいやそれでは本末転倒・・・普通に学校生活を送らないと・・・でも今のままでは無理っぽくね?・・・なら魔法教えて魔法使い量産する?しかし・・・)

そう思っているとバローダが目を覚ました。


「おはようバローダ。」


バローダは上半身だけ体を起こし目をこすり頭をぼりぼり掻いてから返事をした。


「・・・・サイレンおはよう。」


バローダはボーっとしながらアクビをし、目を細めて周りをみている。

私はテーブルの上にあったコップの中の水を窓から捨て魔法で水と氷を入れバローダに渡した。


「バローダ、氷水。」


「あ、サイレンありがとう。」


そういってバローダは氷水を受け取り飲み干した。

そしてバローダから氷しか入ってないコップを受け取り、テーブルに置き外を眺めた。

バローダは目が覚めたようで間を置いてから私に話しかけてきた。


「サイレン、あなたなんでトラピスト王国からアルビオン王国に来たの?魔法が使えるならそんな必要ないじゃない。」


「・・・・・・。」


私は何と言うか考えた。どういったら伝わるかを。


「確かに私は魔法を使えるわ。水も氷も炎も・・・そういう人はどうなると思う?」


「国に取り上げてもらえるわね。」


バローダは即答した。私は外を眺めながら話しを続ける。


「そうね。それで失うものって何?」


バローダは暫く考えた。


「・・・・分からないわ。」


「取り上げてもらってその先にあるものが全て本人の希望する事とは限らないのよ。国に囲われて自由があると思う?私は普通に生きてお父さまとお母さまのように結婚して、普通に子供の囲まれて普通に死にたいのよ。ささやかな幸せでいいのよ。過ぎた力はその人を破滅させるわ。私はそのささやかな幸せすら叶わない。だから『るろうの冒険者』になりたいのよ・・・最後は私の生まれた国、トラピスト王国に戻るだろうけど。」


私はバローダに言った後、目線を外から部屋に戻した。もう、マヘリアとローリエは起きていて私とバローダの会話を聞いていた。どの辺りから聞いていたのやら・・・


「おはよう、マヘリア、ローリエ。」


「「おはよう、サイレン。」」


私は真面目に言った。そして3人は黙って聞いている。


「朝食に行ったらわかるわ。おそらく学校の誰かが私に期待している。それに応じたら私はその期待に答え続けないといけなくなる。」






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