王様の厄日「かかったーーーー!!」
「あの魔獣やこの者たちは私達のカルネ商会のものだ通行許可をお願いしたい。」
ジンジャーさんが衛兵に手続きをしている。オーガならまだしも、ガルーダは大きすぎて城門から入れるのが大変らしく、後から来る馬車の交通の妨げになるらしい、だから空から入る事にした。ただ・・・小さい国と言うけど私はどこで落ち合うか分からない。なので、誰かに乗ってもらう事にした。
「私がサイレンちゃんと一緒に乗って・・・」
「ジンジャーさん、あなたが馬車を離れたらダメでしょう!ここは私が・・・」
「ステラさん!あなた、着いたらやる仕事があるでしょ!!」
etc.
私は遠くでガルーダと・・・1人と1体で遠い目で見ていた・・・大きい体を撫でながら・・・
(ねぇ・・・名前なんでいうの?)
「クアーーー!!クアーーー!!」
「・・・・・・・・。」
(ごめん、分からないや。名前つけていい?)
そう伝えると羽ばたいてピョンピョン私の周りを跳ねてダンスする。
羽ばたくと砂ぼこりが上がり最短距離で砂が目に入る。
ガルーダに飛びつき魔力で伝える
(とりあえず落ち着け!!名前はウェンディね!!)
そう伝えるとさらに羽ばたきが激しくなる。
砂ぼこりが激しくなり口の中がジャリジャリ・・・
(もうやだ・・・。)
・・・・
・・・・・・
・・・・・・・・
ガルーダ改めウェンディに乗る人はフレイさんに決まりました。結局、話しでは決まらなかったようなのでくじ引きをし、見事当たりを引き当てたそうだ。
フレイさんはウェンディに乗れる事で瞳が輝いている。良い事だ。
他の外れを引いた人達、己の運の無さを呪うと良いと思う。
フレイさんに対してのジト目が凄い。それを完全スルーできるスルースキルはもはや称賛の域。
「サイレンちゃんよろしくね!!」
「はい、よろしくお願いいたします。フレイさん、では前に乗って下さい。私はフレイさんの後ろに乗ります。それではジンジャーさん、のちほど。」
(ウェンディ、少し体を低くして。)
フレイさんはウェンディの首元の羽毛を握った。私もフレイさんの後ろに乗りフレイさんが振り落とされないように体に力を入れる。
(ウェンディ、行きましょう!よろしく!)
そう伝えたらウェンディは大地を強く蹴り羽ばたく!!
瞬間的に城壁の上を飛んでいる。アルビオン王国の上空に来たらフレイさんが・・・
「落ち合うのはあそこだから。」
っと指を差した。少し広いグラウンドの様な所だった。ただ、先に行っても待ち時間が長くなりそうだったんでちょっとサービス!
(ウェンディ、街を1周して!)
「クアーーー!!」
そう言うと羽ばたいてから途中で羽ばたかないで滑るように滑空する。
グライダーの様な早いのに静かな飛行はさすが猛禽類の飛び方。馬鹿みたいに大きくても変わらないようだ。
今、アルビオン王国はざわめいているんだろう。私からは何もする気はない。
「凄い!凄い!凄い!凄い!凄い!きぃーもちーいーーー!!」
フレイさんはご満悦でご満喫の様子。良い事だ。
やはり空の移動は速い。それは再確認出来る。ただ・・・ウェンディの産卵場所を探してやらないと・・・それが気掛かりで・・・周囲の山々を見渡す。
・・・・
・・・・・・
・・・・・・・・
「フレイさん、ジンジャーさん達遅いですねぇ・・・」
「確かこの場所で合っているはずよ。」
王国1周してもまだ時間が余った。
ジンジャーさん達と合流したとしても揉め事の予感しかしない。
遠巻きに私達を中心に人だかりが出来ている。その一ヶ所が割れて馬車の一団が入って来た。
「あ、来た。」
「そりゃあ来るでしょ。ここで待ち合わせだったんだから。」
フレイさんの軽いツッコミが入った所で到着。
ジンジャーさん達は水の補充をし、仕入れをする為暫く滞在するそうだ。
すぐにマチルダさんがフレイさんの所に走って来て話しかけていた。
「フレイ、空はどうだったの!!」
「フフン、良かったわよ。」
乗っていた時と感じが違う。あんまり喋らないでいつものフレイさんだった。
そんな質問責めを流して聞いていたら街の憲兵らしき人が割って入って来た。
(はい、揉め事確定。)
その憲兵はジンジャーさんに上から目線で質問していた。
「この商隊の責任者はお前か?」
「左様でございます。当商会、カルネ商会のジンジャーと申します。あのガルーダとオーガは売り物では無いのでご容赦ください。馬を休め準備が終わりましたらすぐに出立致しますので。」
「・・・・・分かった。」
そう言うと早々に立ち去った。
暫くして、ジンジャーさんが私の所に来て・・・
「私達は予定を変更して出発を遅らせて暫くここに滞在するよ。」
「やっぱりあれですか?お金の匂いがしましたか?」
私は笑いながら聞いて見た。
「もちろん!!商人はお金の匂いがしたら多少の危険があってもお金を求めるものなのさ。」
「そうとも、危険を冒す商人がいるから護衛が必要なのさ。」
ジンジャーさんが笑いながら話し、ブローさんがそれに続いて話した。
「護衛も大変ですね~」
「何をいまさら!」
私の言葉を隣で聞いていたライラさんのツッコミが入る。
「所で・・・最近仲が良いですね!」
そうなのだ、私がトラピスト王国から出た時は、商隊と冒険者のパーティーは互いに仕事として、雇用する側とされる側として接していたが最近はすぐに集まって話しを始める。その分仕事が遅れがちになっているようだがあんまり気にしていないようだ。
「そりゃあな。今回の旅は格別だったからな。金持ち喧嘩せずってやつだ!はっはっは!」
ジンジャーさんが話していると横でブローさんが頷いていた。ライラさんは微笑を湛えている。
「サイレンちゃん・・・所でだな・・・」
ジンジャーさんが言いたい事は分かっていたので私はすぐに返す。
「馬と馬車の件ですよね。」
「あ、やっぱり分かっていたか。まぁ・・・なんだ・・・その・・・あれの馬と馬車を引き取りたいと思っていたから・・・あ、サイレンちゃんが嫌ならいいんだ。」
「ジンジャーさん流石です。ここで買い取るとは言わないで引き取ると言うんだがら。商人の鏡ですね。好きにして良いで・・・あ~・・・私が分配します。揉めるとあれですし。星光の剣とカルネ商会は馬車2台ずつ、スカーレットは1台でお願いします。檻付きの馬車かどうかはそちらでお任せします。中に入っていたお金は私が貰います。」
そう言うと納得したようだった。っと言うか納得しろ!
私がスカーレットに馬車の資金を提供していたのはジンジャーさんもブローさんも知っていたようだが詮索はしないのがルールなので声に出さなかった。これで文句なしと言う事にしてもらおう。
そして場所を移して近めのカフェに全員で入って相談した。
馬車の見張りはオーガのロブリューとガルーダのウェンディに任せて来たので心配ない。誰も近寄らないから。
「とりあえずサイレンちゃんのガルーダが入っていた檻は破損しているので、ここで取り外し新しく作り変えるよ。重い物を乗せるための土台はしっかりしている馬車の様だし。」
皆で今後のスケジュールを話し合っていると・・・先程の憲兵と一緒に恰幅の良い男が現れた。
そしてジンジャーさんに話し掛ける。
「ちょっと良いかな?」
その瞬間、私を含め皆が思った。
(((((((((((かかったーーーー!!)))))))))))




