旅路「お詫び」
「・・・・・」
『ゴクッゴクッ』
アップルジュースを飲み喋って乾いた喉を潤した後話しを続けた。
「さて・・・ブローさん、ライラさん、サロマさん、ステラさん正直な話し、今回の襲撃28名でしたが3名は死んでしまったようです・・・私が居なかったらどうなってました?」
「「「「「「「・・・・・・・・。」」」」」」」
「敵襲も私が気が付いて迎撃しましたし、腕と足のみを狙って確実な援護をしました。馬に乗った騎兵6体のうち5体は戦闘時に私が沈黙させました。」「逃げる敵5人にとどめの一撃をぶつけました。殿の馬車で騎兵1人と歩兵2人に襲われているステラさんを助け、放たれた火を消火し応急処置で氷も作りました。」
「私が手を出さなかったら本当はステラさん、フレイさん、シズリンさん、シアリンさんは土の中にいたかもしれません。もしかしたら盗賊に攫われて・・・。物資も馬車も馬も全て無くなっていたと思います。」
「「「「「「「・・・・・・・・。」」」」」」」
誰も喋らない・・・っと言うか喋らせないけど。ずっと私のターンだぜ!!
「なので報酬の9割は頂きます。」
『ぶっ!!』
隣の席で何かを噴いたらしい。
(どうした皆さん顔が暗いぞ!)
「・・・・・・・・。」
『ゴクッ』
私はリンゴジュースを一口飲んで話しを続けた。
「ただ・・・困ったことがあります。」
「知っての通り、私は留学しにアルビオン王国に行かなければなりません。そして襲撃の際奪ったお馬さんが6頭います。要らないのでそれをジンジャーさん、ブローさん、ライラさんに2頭ずつ引き取ってもらいたいのです。」
本来なら馬は資産であり高いお金で買わなければならない。それを引き取って欲しいと言うのはただで貰えるという事であり破格な提案だ。要らなければ高額で手放せば良い。私の話しを聞いている皆が色めき立った。私の話しを期待して聞いているようだ。
「もちろん私がお願いしているので、そのお馬さんの餌代を用意してます。」
『ドン!』
私は空間収納魔法で帰らない野盗のアジトでゲットしたお宝を5人の座っているテーブルの真ん中に出した。一部ではあるが。
「900万バーツはあると思います。3等分して各パーティー300万バーツお納め下さい。」
「私の話しは以上になります。」
店の中に突然現れた大金で店内がどよめいた。
私以外の8人は目を見開いて驚いている。
『ゴクッゴクッゴクッ・・・』
私は遠い目をしリンゴジュースを飲み切った。
「とりあえずここは人目が気になりますんで一端私が預かりのちほどお渡しします。」
誰もいやな思いをしない『大岡越前裁き』だぜ!本当は報酬を折半するよりもさらに高額な額貰えるんだから文句は言わせない。全て円満に解決したので店から出ることになった。その日は解散となって明日物資を購入なりをして明後日出発とした。
翌日の朝、300万バーツと馬を2頭を各所に回って置いて行った。ジンジャーさんとブローさんに行く。そして私は最後に『スカーレット』に現金と馬を渡すのだが、その前に4人に詫びた。
「あの時は仕方なかったとは言え馬車とスカーレットの物資を水浸しにしてしまいました。申し訳ありません。お詫びにこれで新しいのをご購入下さい。」
そう言って報酬の270万バーツを4人の前に置く。
受け取る事を辞退したので・・・・
(まぁそうなるわな。)
「失礼ですがこの焼け落ちた馬車では馬を4頭で引けないでしょうしお渡ししても置き場が無いですから」
「馬と300万バーツは新しい馬車購入後と言う事で。」
そういってステラさんにお金を預ける。
「私は・・・やる事無いのでここに居ます。お土産は香りの良い石鹸3つ程。」
「・・・・・・。」
ライラさんは考えてからハッとした顔をして私の言った。
「分かった。ありがとう、恩に着る。」
「フレイ、マチルダ、ステラ急いで!!買い物に行くよ!!時間が無い!!」
4人は報酬のお金を持って私の横をすり抜けて走って行った・・・。
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「ねぇ、ライラ・・・本当にいいの?このお金貰っちゃって。」
お金を預かったステラがライラに聞いた。
「それはサイレンちゃんの餞別のつもりなんだよ、先の話しの事だろうけど。あの少し黒く焦げただけの馬車を焼け落ちたと言ったんだ。それは新しい安全で大きい馬車を買えって事なんだよ。しかもここに居るって言ったのは留守番してるんで4人で行ってきてって言ってるんだよ。馬車の様な大きい買い物ってのは時間が掛かるから。」
「4人で馬車を買ってその後二手に分かれた買い物しよう!食料、水樽、医薬品それと装備の見直しをして・・・・それと石鹸!」
「「「はい!!」」」




