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旅路「フェルミエ王国」

「意外に早かったですね。」


私はマチルダさんと話しをしていた。

予定だとフェルミエ王国には夕暮れ時に着くはずだったんだが実際に着いたのはまだ日の高い3時頃。

馬が増えた分着くのは早い。休憩をする回数も減らせてたのが大きい。


「とりあえず、私達は捕まえた野盗を役所に引き渡してからになるけどサイレンちゃんはどうする?」


「私も一緒に付き合います。初めての国だし迷子になるとどうなるか分からないですから。」


「あはっ!そうだね!正直言うとサイレンちゃんの意見も聞きたかったから居て欲しかったんだ。今回はちょっと稀なケースだもんでね。とりあえず話しは歩きながら。」


・・・・


・・・・・・


・・・・・・・・


マチルダさんの話しだと引き渡した野盗から発生した代金が人数が人数だけに結構な額になりそうだという事、本来、護衛で捕まえた盗賊、野盗の類は護衛の取り分になるらしいのだが、予定変更してこの国に入ったとジンジャーさんが主張している。そして、野盗は星光の剣とスカーレットのメンバーのみで撃退していない、ジンジャーさんは私を商隊が運んでいるから商隊の物を使っているに等しい。だから当然商隊も野盗引き渡しで発生し代金も受け取れると言っている。その辺の交渉、擦り合わせはサロマさんとステラさんがするんだけど・・・擦り合わせの段でサイレンちゃんの意見を聞きたいという事だそうだ。


「・・・・・わかりました。」


推測の域を出ないのだがジンジャーさんが私と2人で野盗の引き渡しのお金の話しをしてきたのは取り分を多く残したいからなんだろう。まぁ・・・お金の匂いに敏感なのは商人だから仕方が無い事ではあるがあまりにあくどいのであればそれなりに痛い目にあってもらおう。円満の解決出来ればそれに越した事ではないしお金に困っていない。ジンジャーさんにはサロマさん、ステラさんと集まって話した方が良いと言って釘は刺している。

そして、野盗を引き渡す所にマチルダさんと一緒に向かった。野盗の男達は皆うなだれていたがそれは自業自得であり同情の余地は無い。ただ、怪我したままでは可哀そうなので治癒を施した。

施した後に役人に連れて行かれたのだが。


役所の人の声が聞えて来た。その場所にはジンジャーさんとブローさん、サロマさん、ライラさん、ステラさんが揃っていた。


「みなさん、お疲れ様でした!これだけの数の盗賊を無傷で捕らえるとは・・・いやはや・・・恐れ入りました。代金は色を付けておきましたので中のカウンターでお受け取り下さい!」


隠れて見ていたが、役人の『無傷で捕らえた』のくだりでジンジャーさんの焦る所が見えた。キョロキョロして私を探している。冒険者の面々はニヤニヤしている。

無傷であれば野盗の治療が要らないので高く引き取られる。だから代金も予想以上に跳ね上がる。人数も多ければ討伐隊を編成してなどという役所の仕事も減る。どちらにとってもWIN-WINという訳だ。

マチルダさんと2人でいて、野盗の治癒を施した時そう教わった。そういった事は知らなかったがやった事で目に見える見返りがあるのは嬉しいものだ。

代金を受け取りに5人で役所の中に入り、程なくして出て来たのだが・・・三者三様でジンジャーさんはソワソワ、キョロキョロしている。やはり私を警戒しているんだろう。警戒する事しなければ良いのに。

ブローさんとライラさんはホクホク顔で談笑している。サロマさんとステラさんは真顔でキョロキョロしている。ジンジャーさんとは違った意味で私を探しているんだろう。

マチルダさんと隠れていると双子姉妹のシズリンさんとシアリンさんが私達を見つけたらしく後ろから近づいて来た。シアリンさんがマチルダさんに話す。


「隠れてどうしたの?やっぱり交渉が気になる?」


「まぁね。うちの馬車は燃やされているからね。ライラさんもご立腹さ。だから今回の報酬が気になるのさ。」

「しかも引き渡す際、サイレンちゃんがあいつらを治癒させたから高値取り引きされたらしいし。しかもあの人数だから色付けるってさ。」


「「おお!!」」


シズリンさんは私の顔を見て親指を立てた。


「サイレンちゃんナイス!!」


「どういたしまして。あっカフェに入っていきます。行きましょう」


私たち4人は気付かれないように後をつけて先に入った5人のボックス席の並びの裏側の完全に隠れるボックス席に座った。立ち上がれば居る事がバレるが気にする必要も無い。


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