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旅路「水」

次の日、馬車の最後尾の女性4人の所にお邪魔していた。

女性4人パーティーでリーダーが前衛でレイピアを使うライラさん、同じくフレイさん、弓を使う後衛のマチルダさん、それと医術と雑用のステラさん。雑用が意外と重要でお金の管理から食事の世話、商人との交渉と多岐にわたる。ある意味パーティーのキーパーソンだ。雑用係が居ないと冒険者のパーティーが成り立たないので・・・雑用と言う呼び方を変えたらと思ってしまう。ちなみにこの女性4名のパーティー名は『スカーレット』だそうだ。

皆さん年上で私の事を「サイレンちゃん」と呼んでくれた。

女性のみのパーティーは珍しいそうだ。護衛とかで無骨な男性よりも威圧感の少ない若い女性を警護で雇った方が商人同士の交渉では良かったりするそうで。なので護衛の代金は良いらしい。


「サイレンちゃんはどこかの城や王族に勤めるんでしょ?魔法使えるんだからどこでも勤められるわね、いいなぁ!」


馬車の中でみんなと『キャッキャウフフ』していたら、ステラさんが言ってきた。


「いえ、城勤めとかそんなの考えてないですよ~。今回のは留学目的ですから~。」

「あ、そういえば私の目的地はアルビオン王国なんですが何日位で付くものなんでしょう?」


「そうねぇ・・・12日~15日位かなぁ。私達はその先のアメリアって国を拠点にしているのよ。サイレンちゃん、どう?私達と一緒にアメリア行かない?楽しいわよ~。」


ステラさんはストレートに言う人みたいだ。横からマチルダさんが・・・


「ステラ、ダメだって、そんな露骨にスカウトしたら・・・下心が見え見えだし。」


「あら?そんな事ないわよ、ねーサイレンちゃん。」


「あははは・・・」


私は苦笑いするしかなかった。この旅、意外と疲れるかもしれない・・・


・・・・・・


次の日は馬車の先頭にいた。なんでも私はローテーションで過ごす事になったらしい。建て前で言うと皆さんと親睦を深めるという事だそうだ。まぁ話す事は良い事だ。


もう1つの冒険者のチームは6人編成でリーダーでツーハンドソードを使う三枚目の顔のブローさん。ちなみに笑顔が素敵。槍を使うブルズさんとラトルさん。槍が得意だが剣も使えるとの事。弓を使う双子の女性シズリンさんとシアリンさん。短剣を使えるそうだ。それと医術と雑用係のサロマさん。パーティー名は『星光の剣』だそうだ。昨日の『スカーレット』のメンバー同様若い人で構成されたパーティーだ。

ブルズさん、ラトルさんが御者の席に座り前方を警戒しつつ馬を操る。

双子姉妹のシズリンさんとシアリンさんとお話しした。

話す内容はほぼ昨日と一緒。


「アルビオン王国に留学しに行くんですよ。」


「魔法使えるなら行かなくて良いじゃないの?それだけで安泰じゃん?」

「そういえば水出せるんだよね?どの位出せるの?」


「ん〜・・・どの位出せるかは分からないけれど・・・多分・・・馬車に積まれた水樽100個位は・・・」


ちなみにどの位出せるかはなんてした事無いし、ただその気になれば守護霊アズラエル様がいるのでいくらでの出せる。だから適当に100個と言った。

こういった旅において水は貴重であり生命線。奪い合いになったりするらしい。しかし重いし場所も取るので最低限しか積めない。人間に限らず馬も必要になるから大所帯な所の場合、馬車の荷台が水だけってのも珍しく無い。

それが魔法で水を必要な量、必要な分だけ出せる水瓶のような人間が居るとなると冒険者や商人にとって貴重な人材。雇う側にとって財産といって差し支えない。一番必要なものであって一番嵩張り重い水の心配をしなくて良くなる。荷台が空くだけでその分品物を多く乗せられる。

冒険者のパーティーに至ってはその人材を抱えただけで商隊の専属になれたり値段交渉の材料になる。パーティーの規模を大きく出来たりと夢が膨らむ。

そして商人、冒険者にとって同業者から大きくアドバンテージが取れるのだ。

しかし私は全く興味が無いから誘われてもやんわりお断りするのだが。


水瓶100個位と言ったら双子姉妹からやっぱりお誘いを受けた。


「うちのパーティーに入りなよ!みんな優しいしあなたの事全力で守るから安全よ!」

「学校行かなくても生活困らないし自由だよ!」


シズリンさんとシアリンさんの激しいスカウトにあたふたしている私を見てリーダーのブローさんが窘めた。


「やめなさい、二人とも。お嬢ちゃん困っているじゃないか。」


「でも、二度と無いですよ?こんな人材と巡り会うの。」


「入るかどうか決めるのはお嬢ちゃんだ。」


「すまんな、お嬢ちゃん。それだけ君のスキルは貴重なんた。もし、縁があったら同行してもらえると助かる。」


何気にブローさんも私をスカウトしたいようなニュアンスで話してきた。顔に似合わず・・・いや、顔は関係無いのだが意外としたたか。私は苦笑いしてしまう。


「あはは・・・」


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