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旅路「サイレン」

暗い所から明るい場所に来たので目が開けられない。

滅びの魔法を唱え・・・

(目がー!!目がー!!)

などと昔言っていたものだ。

そして、光に目が慣れて来て周りを見渡す。


「・・・・・」


私が箱に入った時と出た時の様子が違う。そんな事は分かっている。分かっているはずなんだが泣けてくる。でも、お母さまは『泣くのは無事に留学先に着いてから』と言っていたから我慢した。

とりあえず開けてくれた人にお礼と挨拶を言う。


「無理を聞いて頂きありがとうございます。これからよろしくお願い致します。」


っと言ったら驚いていた。


「あぁよろしく。お金は貰っているからその分はきっちり働くから安心していいよ。それと嬢ちゃんの荷物はあの箱の物だから」


そう言うと指差して教えてくれた。私が入った箱以外に小さい箱2つ。


「はい、後で確認します。」


そう言って馬車の外を見渡した。すると馬車は5台編成で商隊が3台で先頭と殿を冒険者のチームが護衛している。前から2番目の馬車に乗っていたようで商隊のリーダーが馬車の手綱を握って率いていた。

私は御者の席に座り、リーダーの方とお話しした。リーダーの方はジンジャーさんと言った。私も自己紹介をしないといけないのだが今まで通り『セレン』では都合が悪い。ローゼライト姫も国外に出たら名前を変えなさいと言っていた。だから以前から考えていた名前にする。今の名前を少しもじって『サイレン』。名前の由来を聞かれても『海育ちで歌の上手な魔物から付けた』とか『生まれた時うるさかったから』とか言える。まぁ・・・詮索しないのが旅する人のルールらしいから由来とかは聞かれなかった。


日が傾いたので野営をするそうで馬を止め護衛の2チームと商隊がバラバラに、簡易で竈を作り火を起こす為準備をしている。初めての旅なのでそういった事は興味があった。簡易で作った竈に火を点けるんだが種火から炎を大きくするのに時間がかかりそうだったので・・・お手伝いを申し出た。


「私、火を点けるの得意なんですよ!」


「そうなの?じゃあお願いしようかな。」


ジンジャーさんはそう言って竈から離れた。私は竈に手をかざし大きさをセーブして炎を出した。


「な!?」

「・・・・嬢ちゃん炎を出せるのかい?」


今の私のした事で商隊の他のメンバーや護衛の2チームもザワザワし出した。

大変驚いていたジンジャーさんに質問されたので正直に答えた。


「はい、火を点けるのは得意ですから!」


そういえばエシレさんが言っていた。『料理をするにも最初にお湯が無いと始まらないから最初にお湯を沸かすんだよ!』っと。

なので聞いてみた。


「お湯沸かすんですか?」


「あぁ・・・お湯を沸かす・・・」


竈の横に大きめの鍋が用意してある。そして中には水が入っていたので竈の上に乗せた。

お湯が沸くのを待っている。キャンプはした事がないから楽しいものでワクワクしてしまう!私が食べる分も商隊にお願いしてあるそうだったんで、出来上がりが楽しみだ!全てが初めて初体験!一人盛り上がってしまうもので!

そうしていると冒険者の護衛チームの一人の女性が話しかけて来た。


「お嬢ちゃん・・・さっき炎を出さなかった?」


「はい!ジンジャーさんのお手伝いで出しましたよ?」


「・・・・・」

「私達のもお願いしていいかな?」


冒険者の女性のチームの所に行くとジンジャーさんに伝え、

あらかじめ用意してあった簡易の竈に手の平を向け、炎を点けた。


「・・・・・」

「お嬢ちゃんありがとう、助かったわ!」


女性の居るチームは女性4人チームで剣を振るう前衛2人と弓を使う後衛と医術と雑用を担当する人のチームだった。


竈の横にある鍋を見ると水が少し入っている。4人で足りる量じゃない気がしたので聞いてみた。


「あの・・・お水、足りるんですか?」


「私達はそんなに重い物が持てないからギリギリでやってるんだ。一応次の街までは持つ計算だから・・・」


っと言ったので・・・私は魔法で水を作って鍋を満たした。


「これ・・・どうぞ・・・。」


「「「「ええぇぇぇ!!!」」」」


女性4人は驚いていた。


「あなた!!今、無詠唱だったわよね!!」

「炎と水の魔法両方使えるなんて有り得ないんだけど!!どうして!!」


何故か私の周りに人が集まって来た。


「え!?ええ!?どうしてって言われましても・・・」


・・・・


・・・・・・


・・・・・・・・


ジンジャーさんが言っていた。

魔法を使える人がいるけど一般的じゃない。ほんの一握りだけでそのほとんどが城務めか王宮務めになれる。しかも、水や炎など複数出せるのはめずらしくっというかほとんどいない。魔法を使う大概の人は1種類にその人生を掛けるそうだ。

やはり、間違った魔法の考えが一般的のようだ。だからと言って正しい魔法の理論を教えたりはしないが。


「お嬢ちゃん凄いね。だが、あんまり人に見せない方がいい。世の中には悪い事を考えるものが大勢いる。でなければおじさんは護衛を雇ったりはしないしな。」


夜、夕食を頂いてからジンジャーさんや商隊の人達、冒険者のパーティーの人達が集まってお話しした。

口々に『凄いねー!!』っと褒めちぎるんでむずがゆい。コップを借りて水を飲んでいたが温かったので、空中から水を出しそれを凍らせて氷を作って自分のコップに入れた。


『カララン!』


今まで何度もやっていた一連の動作なので無意識にやってしまう。

そしてそれを誰もが唖然として見る。

その視線に気づき、私は一人だけ氷を出して冷たくして水を飲んでいたので・・・


「あ、すいません!氷どうぞ!」


手の指動かして皆さんの飲んでいるコップの上に氷を作りコップの中に入れていった。

視線が私と氷を行き来する。

なぜか皆さんの私に対する目つきがあやしい・・・肉食動物のようだ・・・

それは気にしないでおこう。








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