別れ「出立」
次の日、朝起きたら枕元に私の剣が置かれていた。しかも鞘に仕舞った状態で・・・
(そういえば・・・天国用の鞘を作って無かった・・・)
そして、柄の端には丸い珠の飾りが3つ連なって紐に通されて付いている。これにどう言った魔法が込められているかは分からないが、私にとっては悪い物ではない。理由は無いけど絶対に有り得ない。
だから詮索はしない、する必要すらないのだから。
私はその飾りを手に平に乗せコロコロと転がし見つめていた。
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さぁ今日は出立の日、いわゆるハレの日ってやつだ。忙しくなる事が確定だ!ただ、私の場合はお忍びで行くので大げさには出来ない。っというか勉学の為に国外に行くだけなんだから大げさになる必要はないのでこの位が丁度良いと思う。
ダイニングに行き朝食を取る。ただ、あんまり反応が薄い。いつもの朝の様に淡々としている。
ちょっと違うのは、お父さまが・・・
「マルコの指示に従う様に」
っとしか言わなかった。ハスト兄さまとラウラ姉さまをテルル姉さまが送り、戻って来てからお父さまとクルタ兄さまとテルル姉さまが城に向かった。いつもと変わらない朝。
お母さまに呼ばれたのでお母さまに部屋に行って話しをした。
「セレンちゃん、今朝の事、気が付いた?」
「なんとなくですが・・・いつもと同じでした。」
「何故か分かる?」
「分かりません。留学するの明日だったんでしょうか?」
「いえ、今日の予定よ。セレンちゃんがここを出る日を伏せています。それに、死んでいる事にしていますが実際には生きている事を主要な名家はみんな知っています。そして、あなたがここから出て国外に出る事がどういう事か分かりますよね?」
「お母さま、ありがとうございます。」
この屋敷を出て、誰かに付けられたりどこに行くか情報が漏れたりしたら私は留学先で安全に日々を送れない。なので最後までお父さまやお母さま、家族のみんな、屋敷の人達は普段通りにしていたのだ。
私は最後の最後まで守られている。お母さまは今、私の考えている事などお見通しなのだろう。
「セレンちゃん、今、皆が協力してくれているのは私やお父さまが指示を出したからではありません。皆が自発的に連携を取ってやっています。それはある意味凄い事です。そして、それはあなたが家族を含め屋敷に居る者全員があなたを愛しているからなのですよ。あなたが今までこの屋敷で皆にしてきた事の成果なのだから誇りに思いなさい。お母さんもあなたを産んだ事を誇りに思うわ。」
「言い忘れたけど泣くのは無事に留学先についてからにしなさい。それと今朝、お父さまも言ったけど後はマルコさんに一任してますから指示に従ってね。セレンちゃん、頑張ってね!」
「マルコさん、よろしくお願いします。」
「はい、奥様。ではセレンお嬢様、参りましょう。」
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「お嬢様、留学先で必要な物は後に送りますのでとりあえずは狭いですがこの箱にお入り下さい。食料の買い物に行く為の馬車で商人のギルドに行きそこで留学先、アルビオン国に行く行商人と一緒に向かって下さい。トラピスト王国を出たら箱から出るように行商人が合図をしてくれるはずです。」
「着替えてから今回の旅に必要な物とお金をお渡しします。その後、箱に入って頂きます。マリサ、着替えを。」
そう言って、マルコじいちゃんは部屋から出て行った。
「セレンお嬢様、着替えを。」
マリサ姉ちゃんは着替えを手伝ってくれた。黙っていたので私から話しかけた。
「マリサ姉ちゃん、家族の事、屋敷の事よろしくお願いします。」
マリサ姉ちゃんはただ頷いていた。そして、続けて・・・
「マリサ姉ちゃんの子供の顔もよろしく!くふふふふ・・・」
そういうと顔を赤くしてどさくさに紛れて軽く首を絞めて来た。
着替えを終わった事をマルコじいちゃんに言うと、何か質問は無いかを聞いて来た。
「のちに送る必要な物ってどれですか?」
「別室にありますが、見てみますか?こちらになります。」
そう言って留学先で必要になる物を見せてもらった。
服や筆記用具、小さい家具が置いてある。空間収納魔法で入れればいくらでも入る。
「これ、持っていきますけど・・・」
「ですがお嬢様・・・馬車には積み込めるスペースが無いので・・・」
マルコじいちゃんがそう言っていたのだが私は空間収納魔法で必要な物を空間の入れていった。
「マルコじいちゃん、行きましょう。」
「・・・お嬢様、すごいです。仕事が1つ無くなりました。」
「お嬢様申し訳ありません。こちらにお入り下さい。」
私は用意された箱に入る。その後お抱えの騎士様の声が聞えて来た。そして、ゆっくりと持ち上げられそのまま移動し馬車に入った。
「お願いします。」
そのような声が聞こえてきたら『パチン!』と馬に鞭を叩く音が聞えて来た。
馬の足音が聞こえる・・・車輪が回り、木が軋む音が聞こえる・・・それら聞える音全てが屋敷から離れていく音・・・家族から離れていく音・・・
涙が溢れる、すべては私の為にしているのを知っているから・・・泣いてはいけない。私が幸せになる事で答えを出す事を誓う。




