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戦後処理「悪手」

「・・・どうしたものか。まさかこれほどの悪手とは・・・」

「ロシュフォール家との関係がここまでこじれるとは思わなかった。もうセレン嬢を囲う事は出来ないのか・・・。負ける事は予想出来ていたがあそこまで悲壮な事になるとは・・・」

「はぁ・・・」

「ベリル卿、何か良い策はないか?」


「申し訳ありません、国王陛下。ウエストマール家でも再三ロシュフォール家に使いは出しているのですが、門を固く閉めて居て取り付く島もない状態で・・・アヘル家やオルヴァル家でも使いを出しているそうですが・・・全く取り合わないそうです。」

「オスミウム卿は城に来てますが職務の事以外は全く話さないそうで以前より厳しくなったそうです。嫡子のクルタも失礼はないのですが父と同じく職務の事しかしないようで、取り入ろうとすると露骨に不機嫌になるとかで今では誰も近づかないそうです。」


「余もオスミウム卿に話してみたがセレンは死んだものとして話しているから、もう国政には関わらせないつもりだろう。」

「何とか説得出来ないものか・・・」


騎士がヘリオドール国王の元に走って来た。そして、跪き報告をする。


「国王陛下!ロシュフォール侯爵家からワイバーンが近付いて来ます!今、モルガナイト皇太子殿下が当たっています!」


「!?」


--------


「おはようございます、殿下。いかがなされた?当家の長女テルルが書庫で本が見たいとのことなので使わせてもよろしいか?」


「あぁ、それは構わないが・・・」


「おはようございます、皇太子様。ありがとうございます、それでは失礼致します。」


「お待ちを。テルル嬢がワイバーンに乗って来たのか?」


「はい、それがなにか?」


「あ、いや・・・。」


「それでは失礼致しますわ。」


ワイバーンに乗って来たのでセレンが来たと思っていたのだろう。城の中の騎士も見に来ていたがあてが外れたようでガッカリしていた。

テルルもあまり話しをしたくはないし関わり合いたくもない。なので会話も早々に切り上げ、足早に書庫に向かった。


--------


モルガナイト皇太子は国王陛下とあって事情を話していた・・・


「して、どうだった?」


「ワイバーンに乗っていたのはオスミウム卿と嫡子クルタ、長女のテルル嬢の3名でした。テルル嬢が操ってここまで来たという事です。」


「!?」

「ワイバーンはセレン嬢以外で操れるのか?本当にテルル嬢なのか?もしそうなら操る方法を聞き出す事は出来ないか?」


「ワイバーンに乗っていた者にセレン嬢はいませんでした。テルル嬢は城の書庫に行ってます。何らかの調べ物でしょうがそれは分かりません。」


「モルガ、テルル嬢にそれとなく近づいて聞き出せるか?」


「妹に行かせましたが・・・果たしてうまくいくかはわかりません。あの二人はほとんど面識がないはずなので・・・」


--------


「ファルマ、あの女性がロシュフォール家のテルル嬢よね?」


「左様でございます。」


「そう・・・」


面識がほとんど無い。試合の時にも妹を抱いて泣いている姿を遠目に見た位で、書庫で本を見ている女性をテルル本人と確信出来ない。


「んー・・・これとこれか・・・」

「・・・」


「こんにちは、テルル様」


「!?」

「・・・こんにちは、はじめましてローゼライト姫」

「・・・こちらの本、しばらくお借りしてよろしいでしょうか?」


「構いませんが・・・なぜ、私の事が分かりました?」


「・・・ありがとうございます。」

「国王陛下の親族の事は、国民ならみんな知ってます。そうですよね、ファルマ様?妹が世話になりました。」


「そうですね。」

「セレン様は・・・・・」


ファルマは言葉に詰まった。

ローゼライトは空気を読みセレンの話しから別の話しに話題を変えた。


「そうですか。それよりテルル様は医学書なんて難しい本読まれるんですね。」

「テルル様の事はよく聞き及んでますよ。創立以来、初めて学校を最後に一つに纏めあげた女性と。学校ではテルル様を今後の見本とせよと言ってますわ。」


「学校の出来事なんてママゴトのようなものなので特に興味ないですわ。」

「それでは用事も済みましたので失礼致しますわ。御機嫌よう、ローゼライト姫。」


テルルは書庫にローゼライト姫と聖騎士ファルマを残し足早に去っていった。


「・・・ねぇファルマ、私、嫌われているのでしょうか?」


「そのような事は無いと思いますが・・・。」


--------


テルルは帰りに挨拶の為、父の執務室に行った。


「それではお父さま、先に失礼致します。そういえば書庫でローゼライト姫に声を掛けられました。特に用事も無かったようでしたが。それでは夕方お迎えにあがります。」


「気を付けて帰りなさい。」


そして、テルルは屋敷に戻った、ワイバーンに乗って。

オスミウム卿は考えた後、補佐をしている嫡子クルタに尋ねた。


「クルタ、どう思う?」


「国王陛下・・・シメイ家は必死なんでしょう。それで当家に取り入ろうとしてるのかと思います。」


「お前もそう思うか。」


--------


ローゼライトは父であるヘリオドール国王と兄のモルガナイト皇太子の元に行き一連の事を話した。


「ローゼ、テルル嬢どうであった?」


父の問いに少し考えて答えた。


「・・・なんとも分かりませんわ。用事を済ませたらすぐに帰ったので、ほとんどお話しも出来なかったですから。そういえば医学書を借りて行きました、医者になりたいのかしら?」


ローゼライトの報告を聞きモルガナイトが口を開いた。


「離反はないでしょうがやはりロシュフォール家とは溝が出来てしまいましたね。」

「ローゼはテルル嬢とパイプが持てるようにお願いしたい。何と言おうとテルル嬢の学校で纏めて作り上げたあの世代の各家とのパイプは今後の為を思うと大きい。」


「あまり期待しないで下さい、お兄さま。」


ローゼライトはため息をついた。



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