戦後処理「聖女」
「具現化ってのが難しいわね・・・」
テルル姉さまは意思の力と言うがやはり難しいようだ。私もそこで躓いた・・・。
「テルル姉さま、意思の力は一瞬だけ強く念じるように意識してみて下さい。」
「・・・・難しいわね。」
私はここであの言葉を使ったな・・・今回も使ってみた。
「いくぞーーー!イーチ!ニー!サンッ!ダーーーー!!!」
「ボォーーーーー!!!」
私の言葉にリンクしたみたいだ。
テルル姉さまの手の平から大きな火柱が立った。
「きゃあ!!!」
テルル姉さまは悲鳴を上げてから手の平から出た火柱を見てポカーンとしていた。
「やりました!テルル姉さま!!大成功ですよ!!」
「「あははははは・・・」」
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次の日もテルル姉さまと一緒に庭先にいる。
「学校で習った事が間違っていたなんて・・・時間の無駄だったなんて・・・」
「学校で教えていた事が全て正しくてそれを教えてもらった人が、全て正しく使うとは限らないです・・・ましてや魔法の力は人が扱うには強すぎますから間違ってて良い場合もあると思います。テルル姉さまが正しく使えると思ったから・・・だから他言無用なのです。」
「ありがとうね、セレン。」
「昨日の続きをしましょう。意思の力ははっきり言って慣れです。この力がうまく出せるようになると想像力の力を感じれるようになれます。この力が魔法の力で火になったり氷になります。それと造詣の深さが威力を上げますし、魔法の力の燃費につながります。燃費とは効率的に使っているかと言う事で同じ力の量でも効率が悪ければロウソクの炎、効率が良ければ暖炉の炎みたいな感じです。意思の力には出した炎などの力に指示を出す事が出来ます。真っ直ぐ飛んで行け!とか矢の形で凍れ!とか。」
「ちなみにワイバーンもこの意思の力が必要です。この力に自分の言葉の念じて乗せてワイバーンに伝えるんです。『お願い、出来るだけゆっくり飛んで!』っとかです。」
「あぁ、最初にフシミに乗った時凄く揺れない様にゆっくり飛んだのはあなたが指示を出したお陰だったのね。」
おもわず私は満面な笑みを出してしまった。
そういえば・・・テルル姉さまは『ファイヤーボール!』と言った時に炎が出た・・・
「テルル姉さま、火を出す時、池に手を向けて『ファイヤーボール!』っと行ってみてください。ただし、昨日の成功した時の事をイメージしてですが・・・」
「分かったわ、やってみる。」
目を閉じてロウソクの炎をイメージしたようだ・・・そしてテルル姉さまはあの言葉を力強く言った。
「ファイヤーボール!!!」
『ジュワーーーーー!!』
手の平から大きい火球が現れて水に入って行った。その瞬間、水蒸気が立ち上り池の水は煮えていた。
「・・・・・」
「テルル姉さまは噓つきですね。どの口が魔法の才能が無いと言ってるんですか?」
思わず二人でニヤッとした。その後、私は心配になり一言添えた。
「テルル姉さま、今出した魔法の威力はどの位のレベルになりますか?えっと、生活で使えるとか仕事で使えるレベルとか。」
「そうね・・・騎士団の魔法使い見習い位かしら・・・。」
「・・・」
「魔法が使えるようになった事は秘密にしておいた方が良いかと思います。今日、急に使えるようになったらおかしいですから。そして注目を集めたら・・・」
「そうね・・・普通に過ごせなくなるわね・・・」
「「・・・」」
このままだと・・・おそらくは・・・私はここには居れなくなる。その事が分かっているから沈黙してしまう。
「炎の魔法以外の他の魔法を練習するなら魔法書以外を読んで考えた方が良いと思います。」
「例えば・・・氷は温まれば水になり沸けば水蒸気になります。水蒸気はどこにあるでしょう?水蒸気はどうなったら水に戻るのか?氷の入ったコップの外側に水が付きます。しかし空には氷の入ったコップが無いのに雨粒はどうやって出来るのか?」
「そういった事を知れば魔法の力は格段に上がります。なぜかと言うと造詣が深ければ深い程、明確な想像が出来るから。」
「違った見方をすればその造詣が深く明確な想像の力は治癒でも使えます。想像力で治癒する。」
「試合の最後で私が使った魔法、切り落としたファルマ様の腕を繋げた事覚えてます?」
「あれも人体の仕組みの造詣の深さと想像力です。ただ、大怪我を下手に治癒したら必ず失敗します。見かけだけ治ったように見えて中は治ってないとか。」
「・・・で、ワイバーンなんですがワイバーンは初めからそこにある想像力で出した生き物と思うと・・・」
「その生き物に意思の力を使えばいいのね・・・」
「流石です、テルル姉さま。後は訓練です。人体についての造詣が深ければ深い程、歴史に名を残せる聖女になれますよ~。」
「やめてよ、セレン!」
「あはははははは・・・!!」




