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戦後処理「魔法詠唱」

「お帰り下さい。当家に誰も入れる事は出来ません。旦那様の指示に御座います。」


「では、この手紙を渡して欲しいのだが。」


「何人も取り次ぐなと仰せつかっているので手紙も受け取る事は叶いません。お帰り下さい。では、失礼致します。」


執事のマルコじいちゃんは試合の一件後に屋敷に尋ねる人が多くなったその全てをシャットアウトしている。だが、ひっきりなしに来る人の対応で自分の仕事が出来ないと苦慮していたようだ。


屋敷の中で時間が空くのはお母さまとテルル姉さまと私な訳で・・・

私はテルルお姉さまに魔法の使い方を教えてみた。魔法と言うより魔力の使い方なのだが。

おそらくは使えるか使えないかでロシュフォール家の将来の方向性が変わってくると思う・・・。


--------


「テルルお姉さま・・・少々だけ中庭にお付き合い頂きたいのですが・・・」


「どうしたの、セレン?今は暇だから良いけど大事な事なの?」


「おそらくはとても大事かもしれません。」


「・・・・・・」

「分かったわ、あなたの事だから先を見て言っているのね。」


もし、私がここから出て行く時、私のフシミとシガラキをお願いしないといけない。その操縦法を教えなければ誰も使えなくなる。このままではワイバーンも居なくなるだろう。

ワイバーン2体がここに居る事がこのロシュフォール侯爵領の人にとって守護になっている。攻めようとしようとしている他の国にとっては脅威になっている。それに居るだけで治安維持になっている。

なので、魔力が使えないと困るのだ。指示も魔力を通して伝えていたからだ。


「テルルお姉さまは魔法が使えますか?」


「・・・いいえ、魔法は私は苦手だったわ。でも、私はそれほど必要ないから・・・それがどうしたの?」


「・・・・・」

「単刀直入に言います。この事は絶対に他言無用でお願いします。私が居なくなるとフシミとシガラキは間違いなく居なくなります。操る人、動かす人が居ないからです。」


「!?」

「・・・・そうよね。居なくなるわね。それが魔法と関係あるのね。」


「はい、ワイバーンが当家にあるだけでどういった効果を生むと思いますか?私の見立てでは他国からの侵攻の可能性が減ると思います。それ以外でも良い効果があると思います。」


「・・・・・魔法とワイバーンの騎乗、私に出来るかしら。」


「なので魔法のコツを覚えて欲しいのです。人によって魔法の得手不得手がいますし、炎魔法が得意で氷魔法が苦手っと言う人がいます。ですが・・・人はどの魔法も同じように使えます。」


そう言うと私は片手で火柱を上げ、片手で噴水の水を一瞬で凍らせ、体に電気を纏わせた。


「・・・凄いわね。」


「この事は誰でも出来ます。その威力はこの限りでは無いですが。学校では魔法はどのように教わりましたか?」


「学校では魔法詠唱をして魔法を使うと教わったわ。ちょっとやってみるわ。」

「燃えろ燃えろ冥界の炎よ、出でて敵を焼き尽くせ!ファイヤーボール!」

『ポッ!』


テルルお姉さまの手から握りこぶし位の炎が出たが一瞬で消えた。


「ね、私は魔法の才能が無いのよ。」


「やっぱり・・・そうですよね・・・。思った通りです。」

「あ、いや・・・才能が無いから思った通りと言った訳じゃないですから!」

「ちょっと見てて下さい。」


私は庭にある池の水に手を入れて魔法を唱えた。


「ファイヤーボール!」

『ピキピキピキピキ・・・』


池の水は凍りだす。炎の言葉を口にしながら氷のイメージをしたから。


「!?え!!なんで!!でたらめ過ぎじゃないの!!」


私は正直に言った。


「学校で教わっている事は全てが正しい訳じゃないんです。だからコツを教えます。」

(懐かしいなぁ・・・私もアズラエル様からロウソクで教わったなぁ・・・その後爆発させたっけ・・・)


「テルル姉さま最初に謝っておきます。『生意気言ってごめんなさい。』」

「魔法は口で言って出すんじゃないんです。魔法は想像力と造詣の深さと意思の力で出すんです。」


「どういう事?」


テルル姉さまは頭を首をひねっていた。私は話しを続けた。


「ロウソクの炎はどうやって火が点くと思います?」


「ロウソクの芯に火を点けるから点くんじゃなの?」


「・・・芯が無ければ点かないと思います?」


「・・・・分からないわ。」


「実は芯が無くても火は点きます。」

「ロウソクは芯が無くても溶かして沸かして気化させれば火が点きます。」

「ロウソクは芯が燃えているのではなく、芯が熱せられて溶けたロウが気化して酸素と混ざって燃えます。酸素は空気の中に含まれる成分の一つです。」

「なぜ、炎が上に上がるかと言うと熱い空気は上に上がります。冷たい空気は下に下がります。空気に気流が起こり空気と気化したロウが混ざるから燃え続けます。」

「ちなみに物が落下する力が無ければ点けた炎は丸くなって小さくなって消えてしまします。」


「・・・・なんでそんな事知っているの?もう驚かないけど」

「・・・ロウソク一つでそんな事が起こっているのね。」


おそらくは話した事の全てを把握してはいないだろうけどイメージは付けやすいと思う。


「では、今言った事を踏まえて目を閉じてロウソクを想像して見て下さい。そのロウソクの芯に炎が灯りました。芯は熱せられロウが溶けて気体になりました。そして対流によって周りの空気を巻き込んだ気体が燃えます。」

「それを意思の力で具現化するのです。」


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