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入学試験「誇り」

ファルマ様の後ろ姿を見ながらボーっとしていた。

身体中の傷が痛い。頬からはまだ血が流れている。

でも、そんな事はどうでも良かった。

言い知れぬ想いが心を胸の中を染める。


「負けちゃった・・・」


ポツリと呟くと涙が溢れているきた。


「うっ・・・うぅ・・ふっ・・・ふっ・・・」

「うわぁぁぁぁん・・・!!」

「ふぇぇぇぇぇぇぇん!!ヒック!ヒック!」


舞台の上で泣いているとお母さまとテルル姉さま、ラウラ姉さまが駆けてきた。


「セレンちゃん!!!」

「セレン!!!」

「セレンちゃん!!」


泣いている私に抱きつき一緒に泣いてくれた。


「おがあざば・・ふっ・・・テルルねべざば・・ヒック!・・・ラフラねべざば・・・わだじ・・・わだじ・・・うぅぅぅ・・・まげ・・まげで・・・じまい・・ヒック!・・・まじだ。」

「も・・もうじ・・ヒック!・・・もうじわげ・・・あびまぜん・・・ヒック!・・ふふぅぅぅ・・・」


「セレンちゃん、もういいのよ!セレンちゃんはいっぱい頑張ったからもう戦わなくていいのよ!」


「セレンもう大丈夫よ!後はお姉ちゃんが守ってあげるから!!」


「セレンちゃん、もう大丈夫だから!!」


大声で泣いた。人目を気にする余裕もない程だった。

舞台の周りの騎士様や建物から出てきた女性達は、ただ普通である事を求め、傷つき負けた少女と、その家族の女性の痛々しく泣いている姿を見つめていた。


全てを見ていた国王陛下に一人の少年が殴り掛かろうとしていた。


「ふざけんじゃね・・・!!」

『ゴツッ!!』


その少年をオスミウム侯爵が殴り、控えていた侯爵家嫡子、クルタが取り押さえた。


「ハスト、止めるんだ。抑えろ!」


「でも兄さま!これじゃあセレンが・・・」


「ハスト!!!お前一人が辛いんじゃない。」


お父上を見ると激怒していた。鬼の様な形相をしている。こんなの今まで見た事ない程でハストは暴れるのを止めた。

オスミウム侯爵は国王陛下に口を開く。


「当家の息子が失礼致しました。後で強く言っておくので平に御容赦を」


「う、うむ、大事ない。」


「ところで当家の娘の公開処刑はご満足頂けましたか?これで終わりでよろしいか?」


「「「「「「!?」」」」」」


国王陛下、皇太子、ロシュフォール侯爵家以外の五大侯爵家の当主達は大変驚いていた。


ウエストマール侯爵家の当主は・・・


「オスミウム卿、お気持ちは分かりますが公開処刑とは些か大げさ・・・」


ウエストマール侯爵は鬼の形相のオスミウム卿に睨まれ閉口した。そして再度問い掛ける。


「これで終わりでよろしいか?」


再度尋ねるとモルガナイト皇太子が・・・


「今日はこれで終わりだ、御苦労であった。」


っと告げた。オスミウム卿はモルガナイト皇太子の顔をまるで射殺すようにジィッと見つめていたが・・・


「失礼する。」


っと言いその場を離れ、息子二人に指示を出す。


「ハストはセレンの剣と鞘を回収の後ランドを確保、クルタはセレンの元に行き傷の手当てを。治療が完了次第屋敷に戻るぞ。セレンはロシュフォール家の者以外誰一人も触れさせるな。」


「「はい、父上。」」


セレンの刀は騎士が持っていた。セレンが舞台から落ちて戻る時に置いて行った刀を拾っていたようだ。

ハストは騎士に憎しみの目を向けて刀を奪い取る。鞘もすぐに回収し刀を納めたら、すぐにロシュフォール侯爵家のお抱えの騎士ランドを捜しに向かった。

クルタは舞台に上がりプラチナとテルル、ラウラをセレンから引き離しセレンの傷付いた頬に布を当て慎重に抱え上げた。

そのままロシュフォール侯爵家の担当の医者に見せた。セレン本人が自分で治せるのだろうが、痛々しい程に憔悴し切っていた。だからクルタはセレンが自分の傷を自分で治させるという事は選択肢に無かった。

オスミウム卿は執務室から書類一式を纏め、馬車の用意を指示しセレンの居る治療を受けている部屋に向かった。


セレンの居る部屋の前には鎧を脱いだ騎士やご婦人など多くの人が居てザワザワしていた。一応心配はしているんだろう。オスミウム卿が現れた途端、部屋の扉まで道が出来た。その道を無表情で歩く。誰も話し掛けられない、話し掛けてはいけない。

そして扉の前に立ち部屋の中に入った。その中には椅子に座って憔悴しているセレンが座っていてその横には母のプラチナとテルルとラウラの姉妹が控えていた。

オスミウム卿はセレンの前に立ち静かに名前を呼んだ。


「セレン。」


呼ばれたセレンは顔を上げて父の顔を見た。涙が溢れて来た。


「・・・ヒック!・・・ヒック!・・・う・・ふうぅぅ・・」

「う・・うぅ・・おどうざま・・・も・・もうじわげ・・ヒック!・・・あびばぜん・・・」

「わだじは・・・・・」


『がばっ!!』

オスミウム卿はセレンの言葉を遮って抱きしめた。


「もう言うな。何も言うな。よく死ななかった。お前はお父さんの誇りだ。」

「もう屋敷に帰ろう、セレン。」


「うわーーーーーーーー!!!」


父のオスミウム卿はセレンを抱きかかえ、目を赤くしたプラチナとテルル、ラウラと共に部屋を出た。

胸の中で小さくなって泣いているセレンに人の目が集まる。


「退け。」


無表情で言うと道が出来た。奥で五大侯爵家アヘル家の当主が居たのでオスミウム卿は話す。


「国王陛下にロシュフォール家のセレンは公開処刑にて死にましたっとお伝え下さい。」


そう言うと馬車を用意している所に歩いて行った。

先にハストとクルタの兄達とお抱えの騎士のランドが待っている。


そして・・・誰もが無言で馬車に乗り込み屋敷に戻った。馬車の中ではセレンの泣き声だけが響いた・・・。


俺つえー系だけどシリアスな感じにしてみました。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 面白い!けど重い! セレンが家族思いで他人を想いやれる子って表現が出来てます! [気になる点] 主人公の喋り描写一言ずつに「」で書かない方が良いと思います。 読み始めから混乱しました。 …
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