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入学試験「苦悩」

「なぁ、モルガナイトよ、余は間違っているのだろうか?」

「ロシュフォール侯爵家は間違いを犯している訳でも無い。セレンは礼儀正しく家族思いの良い娘だ。力は神掛かっているが僅か9歳だ。余はその娘の自由を奪おうとしている。」

「セレンはただ・・・普通に生きたいだけで、それが出来ぬがゆえ外に求めたに過ぎぬ。」

「留学させたとしてもおそらくは家族の元に帰るだろう。だがしかし他の国に留まる可能性があるとし、セレン1人だけ留学を禁じるのは・・・」


「国を守るのであれば、国の脅威となるそれを取り除くべきだと思います。国民1000人の脅威が1人の我慢ですむなら国としてセレンに我慢を強いるべきかと。」


トラピスト王国ヘリオドール国王は悩んでいた・・・モルガナイト皇太子にその事を話しているが明確な答えが出せぬまま・・・


「それで幼い娘を壊したとなったら、シメイ家は貴族家との間に亀裂が生じる。長年この国に仕えてきたロシュフォール侯爵家は離反するだろう。セレンは侯爵家の娘だからな。そして壊れた原因はシメイ家からの一方的な要求だとしたら?」「オスミウム卿と共にいる嫡子クルタもまだ若いが同じ世代の中では安定して卒なく仕事に取り組んでおるし、年を重ねたら頭角を現すだろう。長女テルルは学校の敵対していた全ての派閥を許し最後は一つにまとめ上げたと聞く。それは学校創立以来初めてだそうだ。それはもう既に次の世代の太いパイプを持っている事になる。」


「・・・」


「学校でも騎士の間でもロシュフォール侯爵家のセレンの家族愛は有名だぞ。毎日欠かさず家族を送り迎えしておるし、それを街の者は見ておる。街の者はロシュフォール侯爵家を慕っておるしセレンを自分達の娘と言う者も居たそうだ。騎士の中でも学校に入る前の可愛い少女と言うだけでなく礼儀作法と気遣いが出来る少女として、嫡子のいる騎士は自分の子供と重ね合わせて見ておる。若い騎士ならその可愛い姿をマスコットの様に見ておる。それらが一斉にシメイ家に離反するとしたら・・・街の者も騎士の者もロシュフォール侯爵家を自分の理想として見ておる。」


「では、どうしろと?」


「セレンと留学について話した時、『誰も私を殺す事が出来ない』と言いおった。おそらくは穏便にとはいかないまでも認めて貰う為に言ったと解釈した。何もしないまま国外に出したらロシュフォール侯爵家の言いなりのシメイ国王家となって国王の顔に泥を塗る、その地位を落とすと思ったのかもしれん。だからこそ騎士達との試合という形にした。そしておそらくはセレンは負けるだろう・・・。」


「まさか、大人びているとは言ってもまだまだ子供ですよ?家の都合を考えているとは到底思えませんが・・・」


「モルガ、余の代理で行ったセレンの誕生日の時、最後の1体のワイバーンを騎士と魔法使いに譲ったのは偶然だと思ったか?余は騎士と魔法使いの護衛としての立場と誇りを守る為に譲ったと感じたぞ。しかも今より幼かった。セレンを同じ年齢の子供と一緒に考えぬ事だな。年を取っただけの子供が多い中、子供の身体の大人と見た方がいい。」

「まぁ・・・3ヶ月後に騎士と試合をする事にしたから選抜するかの・・・」



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