入学試験「最善」
その日のディナー前にお父さまに呼ばれお父さまの執務室にいった。
『トン、トン、トン』
「お父さま、失礼します。」
「入れ。」
静かに部屋に入りお父さまの目を見た。
「セレン、国王陛下とどんな話をした?陛下から何を聞かれた?」
「国王陛下からは『なぜ、留学したいのか?この国の学校ではダメなのか?』っと聞かれました。そして先日お父さま、お母さま達に言った事をそのまま陛下に言いました。」
「陛下は私の力は他国にとっては脅威であってもこの国では頼もしい力であると・・・その力が他国に渡ってしまう、もしくは失ってしまうとこの国では損失でしかない。っと言われました。」
「陛下の言う事は至極当然の話しではあるな・・・普通はそう考える。それで?」
「私はこの国の民であって他の国に与する事はありません。心は家族と共にこの国にいます。っと言う感じでいいました。それと私を殺す事は誰にも出来ないっと言いました。刺されたら普通に死にますが。」
「!?」
「そんな事を言ったのか?誰にも殺す事が出来ないなどと。」
「・・・はい。」
お父さまは考え始めた。その時ドアからノック音がして、ドアの外から執事のマルコじいちゃんが声を掛けた。
「旦那様、お食事の準備が整いました。」
「あぁ、今から行く。」
お父さまは考え事をしながら席を立ち、ダイニングに向かった。私はお父さまの後ろ姿を追う様に行った。
ディナーを食べた後、もう一度部屋に来るように言われた。お母さまもお兄さま達もお姉さま達も心配しているようだし心配掛けている事が申し訳なく思う。
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『コン、コン、コン』
「お父さま失礼します。」
「・・・・・」
部屋に入りお父さまを見た。しばらく沈黙が続く。
「セレンよ、自分を誰も殺す事が出来ないと言ったのは間違いないな?それはこの国に居る騎士、魔法使いの存在を否定する発言になりかねんがそれを知っての上での発言か?武門の名家を敵に回す事になりかねん事を含めて。」
「・・・・・はい。」
お父さまは大きくため息をし、言葉を続けた。
「言ってしまったものは仕方が無い。おそらく陛下はなんらかの条件を付けて来るだろう。心して待つように。」
・・・・
・・・・・・
・・・・・・・・
暫くして1通の封書が届いた。差出人は国王陛下だった。
中の手紙の内容は私の留学の件だった。
『国が用意した武力に勝てたなら留学を認める。試合は3か月後』
とあった。おそらくは国の騎士との試合なのだろう。
お父さまにも陛下からの手紙を見せたら、やっぱりこうなったか・・・っと言う顔をした。
「こうなってしまっては受けざるおえんな。しかし・・・力を持つ者とはある意味不幸なのだな・・・ましてや普通に生きる事も許されないとは・・・」
「・・・・・」
「父としてはこういった事を娘にはさせたくない。セレンには幸せになって欲しいと願っていた。国の為、家族の為、不幸になる娘を見るのが辛い。お前の8歳の誕生日の時、私は一瞬でもお前の存在を好機と思っていた。それは自分の事しか考えなかった愚鈍な父だった。許せ。」
「父としてお前にとって最善であろう事に最善を尽くす。」
「ありがとうございます。」
そう言ってくれた事が有難かった。ただ・・・それでも辛い。良かれと思った行動で全てを不幸にしているようで・・・
お父さまが最善を・・・と言ってくれたので私も最善を尽くす。自分の為に尽くす。




