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賢者への道「加護」

次の日、守護霊アズラエル様が戻って来た。

アズラエル様はいつにも増して神妙な顔をしていた。


話しはヴェルダンディ様の座学が終わった時に話すとの事で、午前中はスクルド様の特訓とヴェルダンディ様の賢者の座学なのだが昨日のピクニックの後なので、スクルド様はノリノリでいつもより内容が激しいし当たりが厳しい。ヴェルダンディ様もノリノリで喋り方が早い。いつもの舌足らずの間延びした喋りじゃない。しかしついていくのがやっとでは無い。


座学が終わったあたりでアズラエル様が現れてから静かに話し始めた。


「先日、この国に来たとても強い人の事なんだけど・・・あの人には御方様が憑いていたわ。そして、とても強い人も転生者。セレンちゃん、あなたと同じよ。御方様も動いてしまっているのだから異世界からの侵略は思った以上に悪いのよ。私は最初、御方様にセレンちゃんの事を託された時から神々の世界のゴタゴタを持ち込みたくなかったわ。ウルズちゃん達はこの事を知っていた?」


三姉妹の女神様達は『御方様』というワードで目を見開き固まった。


「は・・・はい。で・・・ですが・・・御方様の事は・・確信は・・・ありませんでした・・・。」


「異世界からは~今のところ~~ヒビみたいに微細な影響だけだったし~・・・それだけでは動きづらいですよ~~。」


「未来が何通りも分岐していて判断に苦慮してます。」


ウルズ様、ヴェルダンディ様、スクルド様は何かを知っているようだが顔が険しい・・・話しの内容が重い。アズラエル様は苦い顔をして言葉を重ねる。


「単刀直入に言うとセレンちゃんにはこの世界を守って欲しいと御方様から依頼されました。先ほど『異世界からの侵略』と言いましたが、その異世界の住人がこの世界を狙っています。その異世界とは御方様が作ったこの世界じゃなく、別の世界。で、その住人が狙っているのは水と食料。水は海の水だとして、食料はこの世界で住まう者。ただ、突然攻めてくる訳ではなく、人を・・・動物を・・・魔獣を狂わせ、弱らせた所を捕まえに来るの。」

「セレンちゃん、以前黒いモヤの様な魔力を感じた事なかった?」


「あります。」


「それが、異世界の影響を受けたものの特徴なの。その魔力で思考と体を乗っ取られるのよ。本人が乗っ取られた事に気が付いている事もあるけど、だいたいは乗っ取られた事を自覚する事なくそれを自分の意志と思ってしまうわ。」

「異世界の住人は知能があるようでこちらの動きが漏れてしまうと全面戦争になっていまう可能性もあるの。そうなると、この世界に住まう生きとし生けるものがたくさん死ぬ事になってしまうわ。だから、水面下で潰して行くのが良いのよ。そして、時間稼ぎをしている間に他の神々が異世界を攻撃する準備ができるから。」

「本当はセレンちゃんにはこの世界で何不自由なく自由に生きて欲しいの。ただ・・・私には・・・ごめんね・・・。」


アズラエル様の綺麗な顔から涙がこぼれた。自由奔放でちょっと上から目線のアズラエル様が泣いていた。顔が悔しさを滲ませていた。

私はその話しを受けないといけないのだろうけど・・・もちろん受けるつもりだし・・・ただ・・・返事が難しいと思った。そして・・・口を開いた。


「明日、また、みんなでピクニックやりたい。」


「「「「え?」」」」


「それ、受けるから、またみんなでピクニックやりたいって言ったの!」

「私がみんなとピクニックをやりたいから異世界の事を受けるんであって、これはアズラエル様やウルズ様やヴェルダンディ様、スクルド様は関係ないの!!侵略されたらピクニック出来なくなる!!それは自分が困るから自分が受けるの!!!」

「この話しはもう終わり!!」


頭の中でこのワードが駆け巡る

(ツンデレツンデレツンデレツンデレツンデレツンデレツンデレ・・・・・・)

女神様達は『ポカーン』としていたが・・・涙ながらに笑っていた。


「「「「あはははははは・・・・」」」」


「なにそれウケる~~。」


ヴェルダンディ様が一言言ったので私は照れながら・・・


「笑うなーーー!!!」


こっぱずかしいったらありゃしない!


---------


その日、部屋に戻ってからまた執事のマルコじいちゃんにピクニックセットをお願いした。今度は7人分で・・・今度はニコニコしながら『お酒はお付けしますか?』と聞いてくるもので・・・6本とそれとオレンジジュースもお願いした。(ありがとうマルコじいちゃん!大好き!)

屋敷内にいつもいるお母さまと学校を卒業して屋敷の執務の補佐をしているテルル姉さまは私が誰と会っているかをなんとなく分かっているようだが気付かないふりをしているみたいだ。『お母さんは子供の事はなんでも知っている』との格言があったような気がしたがそんなものは無い。

ないったらない!

次の日、メイドのマリサ姉ちゃんからピクニックセットと食器を貰い自分の部屋に持って入った。

部屋に入ったらすでにスクルド様が待っていてすぐに連れて行かれた。

以前行ったとても大きな樹と泉の三姉妹の女神様の秘密の場所へ。そこにはウルズ様とヴェルダンディ様が待っていてピクニックセットが気になっていたようでチラチラ見ていた。さっと敷物を敷いてピクニックセットを置いて食器とグラスを並べお酒を開けて・・・始めの挨拶を私がする事になってしまった・・・無茶ぶりをしてあたふたする私を見るつもりなのだろう。だがそんな手には乗らない私って凄い!そして言った!


「始めの挨拶とスカートは短い方が良いと言いますが、長い方が好きな私はいったいどうすればいいのでしょうか!!!乾杯!!!」


(決まった・・・完璧だ、私!九州の芸人さん使わせてもらいました!)


「「「「キャーキャーキャー!!!」」」」


アズラエル様は転生する時の惨劇の事、会ったことのないマジギレしていたミカエル様の事とか面白く話したり・・・(怖いよ・・・)私は学校の送り向かいの事、お城の3枚目騎士様がタイプな事を話した。前回とピクニックセットの中身を変えてもらっていたようでありがたかった。(マルコじいちゃんありがとう!)


--------


ピクニックも終わりに近づいていた時、スクルド様が背中から抱きしめて来た。


「セレンありがとう。私の力、使ってくれ。」


そう言うと体が暖かくなった。ヴェルダンディ様も私の手を包むように握り・・・


「便利だから使ってね~~。」


手が暖かくなる。ウルズ様は・・・


「これを・・・」


っと一振りの剣を渡してきた。






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