もう一つのお話し「クロスロード」
シャンティさんとフェッテさんはリースさんの身の回りの事をしていたようで、家事スキルは非常に高かった。カンタルさんやクロミエさんにやる事を聞いても双子だからなのか阿吽の呼吸こなすんですぐに終わってしまう。もともと身分の高い家柄では無いらしく宿屋などの仕事には抵抗はないそうだ。このままいくとこの宿屋で採用されるんじゃないかと思う。
朝食を頂き一息ついた所でバランタインさんが昨日の条件の答えを言ってきた。
「昨日の件なんだがリースさんと一緒にお願いしたい。」
「わかりました。ただ、今日の様に出かけないといけない時があるので毎日は無理です。」
「それはわかってる。それではよろしく頼む。」
「とりあえず今日はギルドに行ってローズマリーさんに説明聞いて下さい。私はちょっとトラピスト王国に行ってきます。」
そして、各自行動することになった。
シャンティさんとフェッテさんは宿屋のお手伝いを、リースさんとバランタインさんはギルドへ、俺はトラピスト王国へ。
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いつも通りフェルミエ王国の郊外の森の中から重力変化でトラピスト王国に横に落下。やはり一人だと気楽なものだと確認できる。気を使わなくていいのが楽だ。
トラピスト王国に近づいたので人目に付かない所に降り立ち王国内に入った。
キリーちゃんのお土産を買いつつ露天商の主人に聞いて見るとその娘はロシュフォール侯爵家の末っ子だと言う。
ロシュフォール侯爵家があるのでトラピスト王国は安泰だとも言う。
トラピスト王国も大きい国土を有していて、ロシュフォール侯爵領から遠い地であっても皆が知っているのだからよほど有名な話しらしい。そして誰に聞いても悪く言う者がいない。いろいろな人から聞くと一度トラピスト王国を救っているそうな。
『家族思いで2体のワイバーンを駆る少女』噂とは尾ひれがついて大きくなるもので。どこまで大きくなるものかと思う。この話しを聞いても眉唾物の話しでしかなく誰も信じないだろう。とりあえず人目に付かない所で視覚妨害透過の結界を張りロシュフォール侯爵領に向かった。
侯爵領内に入り第一印象の街並みはとても発展している。行き交う人が多く街全体が活気に溢れている。ロシュフォール侯爵領は最近人口が増えているそうで治安も良いそうだ。ロシュフォール侯爵の政治手法による所も大きいが、その少女も一役買っているらしい。
聞く限りでは異世界の影響は無いだろうが使う魔法も尋常じゃないらしい。もう少し調査をしてみても良いだろう。
露天商で売っているものを買いつつ少女の話しを聞き、飯屋で昼食を食べつつ他のお客さんの会話を聞いて・・・ギルドに寄ってその少女の噂を聞いていた。
自分の姿見がやはり目を引くようで視線を集めていたがいつもの事なので気にしないが・・・視線を集める者が少女の事を聞いて回っているのだから警戒されてしまっていた。
買い物に来た露天商のご主人が・・・
「兄ちゃん、ロシュフォール侯爵家を嗅ぎ回っているらしいが気を付けた方がいいぞ。ロシュフォール侯爵家を慕っている者はこの辺は多いから程ほどにしときなよ。」
っと言われハッとして周りを見たら自分を観察している人が多数いた。
「すいません、興味があったもので・・・」
っと露天商のご主人に謝った。それからは調査は諦めロシュフォール侯爵領の街並みの観光にシフトした。まぁ・・・異世界関連は無いようだし夕方にはフェルミエ王国に戻る予定。
ロシュフォール侯爵家の屋敷を外から見た時、薄く結界魔法が張られた。誰も気が付かないような薄い結界で俺の探知探索の結界と酷似してた。おそらくは俺の存在がばれたようだ。行き交う人の多い中、一人立ち止まり警戒したが何も起こらない。何かしてくる気はないようだし、ここで事を構える事も無いのだろう。俺はゆっくり屋敷から離れてからトラピストの城を確認する為歩いて向かった。
夕方に差し迫った時、また、薄い結界に包まれた。後ろを振り返るとワイバーンを2体が飛んできた。その1体に乗っている少女は無表情でこちらを見ていた。ワイバーンと共に少女はそのまま城の中に消えて行ったが確かに俺を見ていた。そしてワイバーンが飛んでいるにも拘わらず街の住人は普通に過ごしていた。少女が予想よりあまりに小さい娘だもので驚いた。前世で例えるなら高校生位だと思っていたが実際は小学生4年生位か。そして、誰も気が付かない位の薄い結界が張れる事が持っている実力の凄さを物語っていた。トラピスト王国が安泰だと言われているのも良く分かった。(恐ろしい娘もいるものだ・・・)そう思いつつ、人目の無い所で視覚妨害透過の結界を張り浮かび上がりフェルミエ王国に帰った。とりあえず異世界の影響は無いと判断していいだろう。
そして帰りの落下中、バランタインさんとリースさんをどうやって特訓しようかと考えていた。
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