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もう一つのお話し「チェンジ」

自分が困っている中、爆笑している女性達の中でバランタインが話しを挟んできてくれた。


「御主人すいません、あの食料、弁当はご主人が作られた物ですか?実は私達4人はイツキさんに助けられた者です。お怒りを鎮めていただけないか。」


「え?」

「え?」

「え?」


カンタルさんとクロミエさん、キリーちゃんはポカーンとして何が何だかな状態で・・・とりあえず中に通してもらえた。

事の詳細を話しても問題ないだろうと、宿屋はお客様の信用が重要で秘密を話す事は無いという事をリースリングさんとバランタインさんに話してから事の成り行きを話ししてもらった。自分が言っても信用してもらえないかも知れないので。そして4人から・・・

マリアナ神国の事、戦争の事、命を救われた事、リースリングさんの父と母が逃がしてくれた事・・・

カンタルさんとクロミエさんは泣いていた。キリーちゃんは悲痛な顔をしていた。

そして・・・500kmの移動を話した・・・


カンタルさんとクロミエさんは激怒した。


「お前って奴はーー!!」

「あんたって人はーー!!」


キリーちゃんはぼそっと言った。


「イツキさん、最低ー。」


(えぇぇぇぇぇ!!なんでーーー!!)

女性達4人はまた爆笑していたが、なんとかなだめてもらって事なきを得た。

(俺、悪くない。)

そう思いつつ4人の泊まる部屋の用意をお願いし・・・約束のキリーちゃんへのお土産を渡した。

あのブリタニカ公国のアンドリュー王から拝借したネックレス。


「キリーちゃん、はいお土産~。」


それを見た途端その場の全ての人の動きが止まった。

カンタルさんとクロミエさんとキリーちゃんはそのネックレスの相当値打ちがあるものと見て固まり、女性達はそのネックレスの持ち主を知っていたようで固まった。


とりあえずそのお土産を受け取るか受け取らないかを別にして部屋を用意してもらった。

リースリングさんとバランタインさんの部屋、シャンティさんとフェッテさんの部屋それと俺の部屋。

代金は俺が払う事にしていたし長期滞在のお客様が4人増えたので宿屋的には万々歳だろう。

シャンティさんとフェッテさんの双子二人には留守番してもらい、先刻話した通りにリースリングさんとバランタインさんをギルドに連れて行った。


『キィ~・・・』

『カ、カ、カ、カ・・・』


「ただいま、ローズマリーさん。」


「あれ?まだ出発してないんですか?」


カウンター内で仕事をしてるローズマリーさんに話しかけたら宿屋と同じ反応・・・予想はしていたけど・・・やっぱり後ろでリースリングさんとバランタインさんはニヤニヤしていた。


「もう行ってき・・・あ~・・・バレットさんいるかな?いたら呼んでほしいんだけど。」


「はい・・・少々お待ちを・・・」


ローズマリーさんは事務所の奥に消えたがすぐにバレットさんを連れて現れた。

バレットさんも開口一番・・・


「行くの諦めたか?遠いからな。」


もう嫌だ、このくだり。ちょっと大事な話しがしたい旨を伝え、ギルド責任者の部屋に通してもらった。部屋に3人で入りローズマリーさんの誤解を解く為、ローズマリーさんも一緒に入ってもらった。5人が部屋に入って椅子に座らせてもらった。

バレットさんはリースリングさんの服と身に着けていたネックレスが気になったらしくジッと見ていたが・・・ハッとして何か気が付いたらしく・・・ぶつぶつ言っていた。


「まさか・・・いやでも・・・しかし・・・」


「バレットさん、思っている事、多分正解。」


俺がそう言ったらバレットさんはため息を吐き頭を掻いた。


「んで、どうしたいんだ?この娘さん、マリアナ神国のリースリング マリアナ様だろ?戦争始まってないか、戦争中だったんじゃないか?そっちの女性は?」


「この女性はリースリングさんの護衛の騎士、バランタインさん。ごめん、バランタインさん、フルネームは何?」


そういえば、バランタインさんやリースリングさん、双子姉妹のフルネームを聞いてなかった。基本的に興味が無かったので。後で双子姉妹の名前を聞いておこう。


「そういえば名前言ってなかったな。私の名前はバランタイン フリード。私達が殺されそうな所をイツキ様に助けて頂いた。」


名前を確認した後、話しを進めた。いざこざを避ける上で絶対必要な事だろうし。


「まず、ここに住むにあたっての注意点を教えてほしい。そして、何かあった時に協力してほしい。」


「そうだな・・・まず・・・安全を図るうえで服を脱いでとネックレスは外した方がいいな。服とネックレスを見て身元がばれる可能性もある。私は分かったからな。それと身分を隠すならそれ相応の仕草、言葉使いをしないとダメだ。町のパン屋が『余は』なんて言わんだろ?あと、何か仕事をしろ。何もしないでぶらぶらしてるとそれだけで目立つからな。ギルドに偽名でいいから登録しておくといい、ギルドから何かしらの援助が可能だ。だいたいそんな所か?登録だけしておくか?」


バレットさんはリースリングさんに問いかけた。


「はい、します。ありがとうございます。」

「リースリング様がするなら私も登録する。」


「ローズマリー、書類を持ってきてくれ。」


「はい。」


リースリングさんとバランタインさんが登録を了承したのでバレットさんはローズマリーさんに書類を持ってくるように指示を出し部屋を出た。すぐに紙を2枚持ってきて、その紙を2人の前に置き、記入を促した。


「ここに記入お願いします。」


「バランタインさんは偽名でなくても大丈夫だろう。護衛の名前まで憶えている者はいないだろうからな。」


バレットさんの話しを聞いて、バランタインさんはそのまま自分の名前を紙に書き、リースリングさんは名前をリングを外し『リース』にした。バレットさんは書き終えた紙を手に取り・・・


「ようこそ、リースさん、バランタインさん、フェルミエ王国ミモザ支部のギルドは君たち2人を精一杯支援させてもらうよ。ギルドに関してのルール等はローズマリーに聞くと良い。」


「「よろしくお願いします。」」


2人は挨拶し、それを見てバレットさんは注意点を付け加えて話した。


「ギルドのメンバーの暗黙の了解で過去を詮索をしない事になっているから注意しておくように。下手に聞いて揉め事になる事もある。自分から話すのはその限りではないが。」

「言い忘れたが護衛はあまりしない方がいい。町の娘は護衛されないし、されない方が良い場合もある。年の頃だからリースさんが妹でバランタインさんが姉って感じが良いのでは?」


バランタインは返事をした


「分かった、実はイツキ様に同じ事を言われた。リースリン・・・リース様が妹で私が姉と。」


「妹に『様』は付けないぞ。」


俺は苦笑いをしつつ言い、バレットさんが話しを続けた。


「最初は言いにくいかもしれんし辛いかもしれんが、これも生きていく上で必要な事だ。慣れるまで大変だろうが頑張れ。」


「わかった・・・」


「頑張ろうね、お姉ちゃん!」


バランタインは気まずそうだったがリースさんはそれほどでもないようだ。なんとかなるだろう。


「バレットさん協力してもらってすまない、ありがとう。」


俺はバレットさんに感謝の言葉を言ったが・・・


「ギルドの仲間に支援するのが仕事だ。お前もリースさんが名前変えたんだからちゃんとその名前で呼ぶように。」


そう言ってニヤッと笑った。



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