もう一つのお話し「ネックレス」
女性達が泣いている時に視覚妨害透過の結界魔法と聴覚妨害沈黙の結界魔法を重ね掛けをして外からは中の人が見えない聞えないようにした。泣き止むまでそのままにして泣き止んだ頃の見計らって場所を変えた。町の街道外れの人目に付かない場所に移動したら再度結界を張って話しをした。
「俺の名前は『イツキ』、小娘の名前は『リースリング』、護衛の騎士さんは『バランタイン』そちらの二人はリースリングの身の回りのお付きであってる?」
「さしあたってマリアナ神国の生き残りって感じか?」
「その通りだ。」
バランタインは苦い顔をした。
「悪いが俺はこの戦争には興味ないがここに来たのはある調査によるもので少し聞きたい。」
「戦争前に空間にヒビが入ったとか、見たこと無い魔物が現れたとか、急に誰かの性格が変わったそう言った話しは聞いてないか?ブリタニカ公国の尊厳王アンドリュー王の性格が変わったという話しがある。突然、残忍になったらしい。」
女性達は頭を横に振った。
「・・・」
「そうか・・・ありがとう。」
一応これからの事を聞いて見る。守る事は約束したがこのままではどうしようもない。
「これからどこか行く所でもあるのか?リースリングさん、バランタインさん。」
事実上マリアナ神国は無くなったも同じで・・・すでになくなっているだろう。ただ、ここで気を使っても進展はしないので事実を述べて聞くしかない。行く所が無いのなら俺の言う条件を飲むならフェルミエ王国に連れて行く事もやぶさかではない。
リースリングは目に涙を溜めて・・・
「どこにも行く所がありません。」
バランタインも目に涙を溜めていた。お付きの者は泣いていた。
「ふむぅ・・・」
「身分を隠せるなら俺の拠点にしているフェルミエ王国に連れて行く事もやぶさかではないがどうする?バランタインさんはリースリングさんの姉っという形ならば自然だな。お付きの二人はその友達って形でも良いだろうね。え~っと・・・お付きの人、名前は?」
「私は双子の姉でシャンティと申します。こっちは妹のフェッテです。」
妹の方は姉のシャンティが紹介するとお辞儀をした。
「・・・よろしくお願いします」
リースリングはお願いしてきたので連れて帰ることが決定した。部下を想うならそう決断するだろうし、今までのやり取りを見てきたら予想は容易に出来た。そこが気に入った理由ではある。
とりあえずお腹が空いたから何か食べようと提案したが女性4人は何も持ってないので出すことにした。
何もない空間からテーブルとイスとテントとカンタルさんの作った弁当、パンにハーブティーをポンポン出したから唖然としていた。カンタルさんは大量に日持ちし易いものを大量に渡してくれたので4人は十分にお腹を満たせるだろう。炎の魔法を使ってお湯を準備したし後はシャンティさんとフェッテさんに任せた。
そして、自分の用事を片付けに一時的に一人離れる旨を伝えた。不安がっていたが結界の事を伝え余程でないと見つからないという事、さらに内側を魔法の障壁で囲んだ。安心させてから浮かび上がり・・・横に落下した。
行き先はブリタニカ公国、尊厳王アンドリュー王。
--------
ブリタニカ公国の城が見えたので視覚妨害透過の結界魔法を自分に張り見えないようにして城に着地、着地音が激しかったので中の衛兵が騒いだが問題は無いだろう。城の外を駆け上がり玉座にある部屋を見つけ、探知探索の魔法を展開した。玉座にはアンドリュー王が座っていて部下を激しく叱責していた。
「マリアナの小娘はまだみつからんのか!!!」
「役立たずが!!!」
そして玉座の後ろの方から黒い魔力を感じ取った。よく見たら空間がひび割れててそこから黒い魔力が漏れ出ているようだ。空間のヒビは偶然できたのか故意に付けられたのかは分からないが・・・
だから尊厳王のアンドリュー王が戦争を起こせるほどアグレッシブになり残忍になったのだろう。
とりあえず自分の用事をちゃっちゃと済ませようと思いアンドリュー王の前に降りた。
『カカッ!!』
玉座のある部屋は一本歯下駄が良く響く。そして玉座の部屋に居た者が音に釣られ皆が俺の方を見た。
そして一斉に俺に襲い掛かった。20人は居ただろうか?俺相手ではあまりにも警備が手薄なんじゃないかと思う。木刀で軽く殴って気絶させた。
アンドリュー王1人になった時に悲鳴を上げて逃げ出したが魔法で捕縛してから体に魔力を流してみる。やはり黒いモヤの様な魔力で操られているようだ。魔力で掴み黒いモヤの様な魔力を一気に引き抜いた
「ぎゃーー!!」
っと悲鳴を上げてアンドリュー王は気絶したようだ。後は玉座の後ろにある空間のヒビを魔力で埋めて潰した。
アンドリュー王は元に戻ると思うが自分が起こした戦争をどう見るんだろう・・・
自分にとってはどうでも良い話なんでそれ以上は考えなかった。
そういえば・・・キリーちゃんのお土産を忘れていたので気絶したアンドリュー王の首からネックレスを、太めの大臣から長い帯を拝借して城を出た。
御方様との約束を守ったので戻ることにした。
---------
女性4人の所に戻ったらテントの中でバランタインさんの膝枕でリースリングさんが寝ていたので起きるまでそっとしていた。(寝顔を見ていると癒されるものだな)っと思いつつ地図を広げフェルミエ王国の方角を確認した。
・・・・
・・・・・・
・・・・・・・・
リースリングさんが起きたら帰りの旅をしないといけないのでテーブル、椅子、テント、食器類を空間収納魔法で消して・・・厳密に言うと別空間に入れたのだが・・・
そして、フェルミエ王国が500km位の距離を伝えた。何日も歩くのかと思っていたようで顔を青くしていた。まぁ・・・実際は空を横に落下するのだが・・・
とりあえず旅の準備を指示した。
「女性にこの話をするのは気が引けますが重要なので・・・出発前に小便をして下さい。ノンストップですから。それと終わったらこの帯に5つ輪っかを作り手か腕を通してすぐに抜けないようにしてから呼んで下さい。本当に重要ですから。」
女性達は訝しく思っていたが従ってくれた。
暫くしてシャンティさんが準備が出来た旨を伝えたので5つの輪っかに各人自分の手を通し外れないようにしっかり握った。
「それでは出発しますか・・・」
そう言うと魔力を込めて自分を含めた5人の身体を浮かび上がらせた。そして・・・フェルミエ王国に向けて・・・
落下した。
どのような反応でもいただけるとありがたいです。




