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もう一つのお話し「フリーフォール」

宿屋を後にしてギルドに立ち寄った。ちょっと調べ物があったからなのだが・・・


『ギ~』


いつものようにギルドのドアを開けてカウンターにいるお姉さんに話しかけた。


「ローズマリーさんちょっと教えて欲しいんだけど、昨日マリアナ神国とブリタニカ公国が戦争を始めるかもしれないと言ってよね?その傭兵依頼っていつ頃から来てるものだったの?依頼を受けるかどうかは別として行ってみようかと思ってね。」


「・・・少々お待ちください。」


そう言うとローズマリーさんは奥の事務所に入っていき、暫くしてギルドの責任者の部屋に通された。

責任者の男の名前は『バレット』。以前は名のある冒険者チームのリーダーを務めていた人でいた。今でも冒険者チームを率いていてもおかしくない程の実力があるのも見て取れる。


「お待たせしたね、イツキ君。遠方の戦争に行くそうだが、一人で行くのは感心しないな。実力、依頼達成の能力は認める。だが、まだ若い。一人で行かせて万が一の事が起こった場合、こちらのギルドの責任問題にも発展しかねないのだ、それだけは理解してくれ。それでも行くというなら何も言わんがギルドからは何も支援は出来ない。」

「実際に行くとなったら何日でいくつもりだ?野営もしなくてはならん。野党も徘徊する所で一人では野営も碌に出来んぞ。寝る事だってままならん。」


ギルド責任者のバレットさんのいう事は至極最もだ。ただ、それは普通の冒険者の中の話しであってその範疇に収まらない人には的外れな意見ではあるが。それでも黙っていく気にはなれないので一応許可を得ようと説得はしてみるが・・・


「とりあえず戦争の当事国には1日で行ってみます。」


「1日で行けるはずないだろうが!!どれだけ距離があると思っているんだ!」


(ですよね~、普通に歩いて行くなら。)

面倒くさいがちゃんと説得しないといけないし当事国にも行けないので魔法で少し体を浮かせて見せた。

この世界を作った名もなき青年『御方様』を守護霊にしているのでこの世界の真理自体を書き換える事も可能なのだ・・・だけれど少しだけ魔法が使える少年を演じていた。自分の都合でこの世界の真理を書き換えるとこの世界自体がおかしくなるので『御方様との約束』以外ではあまり使わないように控えていた。


「ん~・・・飛べるんで大丈夫です。これは秘密にして下さい。」


「!?」

「分かった・・・一人で行ってもいいぞ・・・」


この世界で自分自身を魔法で浮かべられる人間はいない。いたら神レベルか化け物レベルと判断されるだろうから。バレットさんも自分が一人な理由もこれで大体分かってもらえたと思う。『御方様との約束』がもしかしたら大変危険なものだった場合、仲間が居たら危険に巻き込むし可能性もあるし私の足枷になるかもしれない。それに自分の行使できる力が皆に知られると自分自身の平穏が無くなるし、行動が制限される可能性もあるのが痛い。


「ありがとうございます。戻ってきますんで、その時はよろしくお願いします。」


ギルドの責任者の部屋を出てローズマリーさんに少し当事国について調べてもらっていた。


「ローズマリーさん、何か気になる事あった?」


「バレットさんに戦争当事国に行く件、了解してもらったんですか?もらったんであれば何も言いませんが・・・えっと・・・傭兵依頼が先に来たのはブリタニカ公国で1週間後にマリアナ神国から傭兵依頼が来ました。おそらくはブリタニカ公国がマリアナ神国に戦争を仕掛けるのでしょうね。」

「マリアナ神国は小国でおそらくは滅ぶでしょうが・・・ブリタニカ公国の国王は聡明な方と知られていて『尊厳王』と呼ばれていました。今回の戦争は何か理由があるか乱心してしまったかはわかりかねます。」


「さすがローズマリーさん、頼りになるね。ありがとう、助かるよ。」

「個人的な調べ物なので傭兵依頼受諾は無しでお願いします、すいません。」


「依頼の件は大丈夫ですよ。誰も受けませんからそのまま流れる依頼ですし。」


ローズマリーさんは笑って言ってた。


「さて・・・そろそろ出発します。じゃあちょっといってきますね。」


「はい、『ちょっと』いってらっしゃい。くれぐれも気を付けてくださいね。」


クスッっと笑って送り出してくれた。


ギルドの建物を出て目的地に歩き出す。ギルドのある町はそこそこ大きい所ではあるが少し歩くと鬱蒼とした森に囲まれる。広範囲の探知探索の魔法で誰も居ない事を確認し、体を浮かび上がらせ自分に掛かる重力を最初に行く国ブリタニカ公国の方角に変化させた。そして、飛ぶのではなく真横に落ちて行った。

(距離的に500kmだいたい2時間30分位でブリタニカ公国近辺か・・・)

(御方様すいません。方角補正をお願いします。)


(わかった、困った事があったら何なりと言うがいい。)


(すいません。)

守護霊で憑いてくれている御方様とは念話で話しをする。誰にも怪しまれない、ただ、話し中はぼーっとしている風に見えるだろうが一人で行動するので関係のない話しだ。


この戦争には参加するつもりはない。善も悪も御方様が作ったのだからそれなりに意味があるのだろうし、自分は御方様との約束を果たすのが目的ある。ただ、この戦争が異世界の干渉なり影響があって起こったのならその異世界からの干渉がある場所を潰すだけなのだ。まぁ・・・この世界で好きにして良いとは言われているが。異世界からの干渉は何らかの意思が働いているらしく、この世界の人を洗脳に近い感じで動かしているようだ。ただ・・・いつかは直接的に干渉してくるだろうと思う。




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