愛する家族「爵位授与」
屋敷に帰りディナーまでには時間があったのでちょっと相談してみた。
「アズラエル様、今の私は間違っているのでしょうか?ロシュフォール家の家族の為とはいえ、それ以外の方を結果として威圧しています。自分の判断でやっていますが、間違っているような気もします・・・」
「セレンちゃんはどうしたいの?人間は最終的にどうしたいかで動くし、みんな自分の為に動くわ。セレンちゃんの様に他人の為に動くって人が少ないわよ。自分が損をするのを嫌うから。だから、もっと自分の為に動いても良いんじゃない?」
「はい・・・」
守護霊アズラエル様は自分の為に動けと言うけどそれがなかなか難しい。それが自分の性格だからこそ・・・人は自分の殻を破れとか言ってるけど無責任極まりない。結果として失敗しても責任はとれないのですから。アズラエル様はその限りでは無いのは知ってるけど。
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『コンコンコン』
「セレンちゃんちょっといいかしら?」
「どうぞ、お母さま」
『カチャ!』っとドアを開きお母さまが入って来た
「セレンちゃん、ちょっと聞きたいのだけれど、お庭で魔法を使っているけど決まってお母さんの苦手なお客様の時だけ使ってるわね、どうなの?」
やっぱりお母さま、私のする事はばれてます。
「はい、私が居る時は屋敷に結界を張ってます。それでだいたい感情は分かります。それで早く帰って欲しいお客様の時は魔法を使います。」
「やっぱりね・・・知ってるかのようなタイミングですから。セレンちゃんありがとうね。」
「家の為にやっているのは分かってますからあまり言わないけど気を付けなさい。」
「これからディナーだから遅れないようにね。」
「はい。」
ディナーの時間なのでダイニングに足を運んだ。既にテルル姉さまが居たので聞いて見た。
「学校は他の国の学校でも入れるのですか?」
「!?」
テルル姉さまは驚いた顔をしたが私の考えを悟ったようで悲しそうな目で言ってくれた。
「国外の学校にも入れるわ。留学のようなものね。ただ、トラピスト王国と親密な関係の国であったとしても身元は隠さないといけないわよ。」
「そうですか・・・」
それはそうだ、身元が分かっていたら情勢悪化の際には人質になってしまう可能性があるので身分は明かせない。話しを続けようとしたがお父さま、お母さま、お兄さま達とラウラ姉さまが来たのでこの話しは終わりになった。
全員が着席したのでお父さまが話しをした。
「来週7日後にセレンに爵位を授与するという知らせが来た。セレン、おめでとう。7日後の為に準備しておくように。」
(キターーーー!!イラネーーーー!!)
「お父さま!私はお受けする事できません!私は学校も行ってませんし何も知らない事ばかりです。荷が重すぎます。」
「それに私が拝領すると要らぬ争いが起きて私の知らない所で血が流れるやもしれません。そして、一番つらい思いをするのはロシュフォール領の民です。おめでたい事ですが、めでたいと思わない人も必ず居ます。」
「お父さま、これだけはお受けできません。」
下を向いて断固拒否の意思を口八丁でお父さまに伝えた。
「わかった。国王陛下にはそれなりに伝えておく。ただし、陛下がどうしてもっという時は必ず拝領するように。わかったな。」
お父さまも思うところがあるのだろう。拝領に関して不安なところがあったのだろう。それほど話しを続けなかった。家族全員こうなる事を予測していたのか、それほど驚きはなかったようであった。
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次の日に夕食でお父さまは・・・
「爵位授与はセレンが学校を出た後でする事となった。その間は爵位は国王家預かりとなる。その時が来たらセレンは必ず拝領するように。」
話しがあっさり纏まったのを不思議に思いお父さまに聞いて見た。
「お父さま、もっと話し揉めるのを覚悟していたのですが・・・」
「ふむ、セレンは昨日、国王陛下と謁見した時『ロシュフォール家の持つ力は国王陛下のもの』と言ったな?だから、爵位の授与にこだわる意味が薄れたのだろう。それに望まぬ者に望まぬ事をして事態が悪くなるのを恐れたのだろう。」
「セレンよ、ここは王国であってロシュフォール家は国王陛下の臣下である事を忘れるな。」
「はい、お父さま。」
(よっしゃー!乗り切ったーー!!しばらくは現状維持だぜ~!!)




