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愛する家族「お菓子貰ったり」

お姉さま達とお兄さまを家に送った後、お父さまとクルタお兄さまをお迎えに行かないといけないので城に向かった。赤みがかったフシミと緑がかったシガラキを下ろす場所を貰っているのでそこで待機している。

『お城の一角でワイバーンの背中でマッタリしている少女』現実離れした光景が普通になってしまっている。

マッタリしているが以前お見掛けした『いい笑顔の三枚目の騎士様』を探してしまった。モルガナイト皇太子殿下の護衛の騎士様なのでなかなか会えないのは分かっているけど。

やはりお城は出入りが激しいようで他の侯爵家、伯爵家も出入りがあるようだ。事件の時に居た騎士様や魔法使いの方を多数お見かけした。意外と気さくに話しかけてくれるのでありがたい。そして、パワーバランスや各家の事情などをしっかり把握されてる方々なので演技をしなくていい。騎士様の中でもいろいろ居るものて力自慢をしたい騎士様もいるだろうけど私に挑む者はいなかった、私、これでも8歳児。

騎士様の話しの中で私はいろいろ言われているみたいだ。既に『2つ名』が4つ5つあるみたい。その時点で『2つ名』の定義が崩壊してしまっているがツッコまないでおこう。

騎士様から聞いたお話しでは『爆弾娘』『ミニ大砲』『雷様』『竜 騎士子ちゃん』『ラムちゃ・・・』などなどどれも少女には嬉しくない『2つ名』ではあるが笑って誤魔化す。しかも飴やクッキーをくれるので邪険にしたらいけない。ここに来た時の楽しみが無くなってしまうので・・・それはモチベーション的にある意味重要だ。


騎士様と『キャッキャウフフ』していたら突然ザワザワしだし騎士様が整列をした。遠くにローブを纏ったお偉い様の姿が見える。ある程度は予想はしてた、こうなるかもって。

(やっぱり国王様が来たのね。)

国王様は私に一直線で歩いて来た、後ろの護衛も別格なのだろう。そして顔を見て思い出した。

(あぁ、そういえばあの時、ワイバーンに襲われてたのってこんな顔の老人だったなぁ。)

近づいたので私はスッと跪いた。


「ヘリオドール国王陛下におかれましてはご健勝に存じます。ロシュフォール家の5人兄弟の3女セレンにございます。」


国王陛下や護衛の騎士様、先ほどまで『キャッキャウフフ』していた騎士様が一斉に驚いていた。

8歳の少女が国王陛下に一人で跪いて挨拶をする。しかも当たり前の事のように淀みなくスムーズに自然とするのだから。


「・・・・・・」

「息子のモルガナイトが言っていたがロシュフォール家は全てが完璧だな・・・」

「先日は世話になった。あの時助けられなければ余は確実に死んでいた。そなたの父、オスミウム卿から既にある程度は聞いておるだろうが、そなたに褒美を渡すので、詳細は父に聞くが良い。」

「セレンよ、あの時の稲妻を見せてくれんか?」


「陛下がお望みとあらば・・・」


周りには人が集まっていた。国王殿下と離れて私を中心に人混みの円が出来た。

(うわぁ・・・めっちゃ人見てる~やりずらいなぁ・・・でもやらないといけないし・・・)

『はぁ~』っとため息をしつつ集中しイメージする・・・

身体が帯電し『バチッバチッ』っと音を立てた。

そして手のひらを天に向けて閃光と轟音と共に稲妻を放った!


「バチッ!!!ドーーーン!!!」


「きゃあ!!」

「うわっ!!」


などの悲鳴と共に腰が抜けて動けなくなっている人、茫然としている人もいる。ちょっと気の毒になったが国王陛下がやれって言ったんだもん。私悪くない。遠くでお父さまとクルタお兄さまの姿が見えた。でも動かないで静観している様で・・・(お父さま、お兄さま助けて・・・)

いつの間にかモルガナイト皇太子殿下も見ていた。三枚目の騎士様も・・・(いたーーー!!)ちょっと幸せになれました。

そして、すぐに国王陛下に跪いて・・・


「お目汚し失礼致しました。」


ため息をしつつ国王陛下が言葉を漏らした。

「ふむぅ・・・ロシュフォール家が持つ力か・・・余も欲しいものだ。」


まぁ・・・ロシュフォール家が持つ力とは私自身なのだろう。


「この国は領土から国民に至るまで国王陛下のものです。なのでロシュフォール家が持つ力も国王陛下のものにございます。」


国王陛下や皇太子殿下、騎士様達がさらに驚いていたようだ。自然と当たり前のようにそんな事が言える8歳の女児、普通は居ない。


「なるほどな・・・セレンよ、また近いうちに会おう。」


そういうとニヤッとして国王陛下は皇太子殿下と去っていった。私の癒し、三枚目騎士様と共に・・・


居なくなったら他の騎士様が集まってきて『将来うちの騎士団に入らないか?』勧誘してきた・・・

(私んち、ロシュフォール侯爵家だし武門の名家だし騎士団抱えている所だし・・・ちょっと無理ゲーだよ!)

などと思いつつキャッキャウフフしていた。

遠くで静観していた薄情なお父さまとクルタお兄さまがニヤニヤして近寄ってきた。まぁ・・・お迎えに上がったんだし来なければ帰れない訳なのだが。気付いた騎士様達は青くなっていたが気にする事も無いしどうこうするつもりもない。お菓子が貰えなくなる方が重要だから。


スカートの端と端を摘み、足を少し曲げて・・・


「お父さま、お兄さまお迎えに上がりました。騎士団の皆さまには良くして頂きました。」


ここで変な事言うのも可哀そうなので良く言ってみた。実際にも良くしてくれましたし、お菓子貰ったりお菓子貰ったりお菓子貰ったり・・・


「そうか、不肖セレンの父として礼を申す。」


そう言ったら騎士の皆さまはホッとしたみたい。

(良かった良かった。今日、私、良い事した!)



「国王陛下が帰り際にやけてたが何を話した?」


「『ロシュフォール家の力は国王陛下のものです』っと言いました、当然の事でしょうから。」


「普通8歳児は言わんぞ。」


「お父さまの子供でありクルタお兄さまの妹ですから。」

「屋敷に帰りましょう。」


私とお父さまの会話を聞いていた騎士様は絶句していた。そして心の声が聞えてきた気がした


((((((((本当は何歳だよーーー!!!))))))))


「騎士様方、それでは失礼いたします。今日はありがとうございました。」


スカートの端と端を摘み、足を少し曲げて満面の笑みで挨拶。


お父さまはフシミの乗り、私とクルタ兄さまがシガラキ乗り屋敷に戻る。そして私は思った。


「今日は楽しかった!」

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