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もう一つのお話し「マウス」

気絶した振りをして暫くしただろうか・・・


『ガチャガチャ!カチン!』


自分の居る部屋の扉から鍵の開く音が聞こえる。部屋の外から何者かが入って来たようで俺とアシェラに歩いて近寄ってくる。金属のぶつかる音を立てて歩いているので目を閉じているがそれだけでこの城の衛兵、親衛隊もしくは近衛兵だろう事を察する事が出来た。


「隊長、この男はどうするんです?」


「使える人間か確認してから使えたら駒にして使えなかったが食糧にするんだと。」


そのやり取りだけだこの部屋に居る兵隊はこの世界の者では無い事が確定してしまう。この城には一定数異世界の者が居るのだろう。その把握もしなければいけなくなってしまう。まぁ・・・それは頭さえ潰してしまえば簡単だろう。魔力を見れば判別可能ではあるから。

そして俺は兵隊に肩を掴まれ運ばれて肩に担がれてしまう。調度自分の腹の部分が兵隊の肩に当たり圧迫されてしまう。


「うっ!」


っと呻き声を出してしまったが聞えなかったようだ。そしてそのままどこかに運ぶようだ。


「侍女はどうするんです?」


「そのまま捨てておけ、『ごうまのちから』は抜いておいた。起きたら部屋を片付けさせる。」


「了解。」


そう言ってたのでアシェラの無事は確保された。

俺は腹部の痛みを我慢しつつ起きている事を悟られないように努める。暫く階段を下りどこかの部屋に運ばれる。その場所の空気はひんやりしてかび臭い。そこに無造作に置かれ・・・転がされる。


『ガッ!!』

「重いんだよ!この野郎、俺を歩かせやがって!」


俺を運んだであろう兵隊は捨て台詞を吐き俺の脇腹に蹴り一発放つ。


「顔はやめておけよ。跡が判るとボスに殺されるからな。」


「ちっ!」


他の兵隊がそれを諫めると舌打ちをする。そして俺から離れていく足音がすると・・・


『キーーー!ガシャン!ガチャガチャ、カチン!』


そして足音が聞えなくなったと同時に探知探索の魔法を張り周囲に誰も居なくなったの確認してから目を開ける。


「痛ってぇ、マジで蹴りやがって・・・殺してやる、異世界人!」


呟きつつ蹴られた所を手で押さえ治癒魔法を掛ける。そして自分の今の場所を見回すとそこは牢屋。


「やれやれ・・・また牢屋かよ。」


そう呟き苦笑いを浮かべ探知探索の魔法を広く展開させる。


「近くにバランタインとリース・・・大分上の階に赤猫・・・アシェラか。ここはこの城の最下層って訳じゃないんだな・・・じゃあこの下から感じる小さい気配ってなんだ?」


俺は疑問に思い調べる事にする。そして空間収納から数珠と鉄屑を取り出し魔力を通し呟く。


「現れろ、鉄鼠。」


出した鉄屑はベキベキを変形し圧縮されネズミの形を作る。そして5匹の小さい鉄のネズミが走り回る。


「今の鉄の量じゃこの数が限界か。さぁ行け、鉄鼠!下の階を調べて来い!」


「チューチュー!!キーキー!!」


鉄鼠は鳴き声を発し牢屋の隙間から走って行く。そしてどこかで『ガリガリガリガリ・・・』っと石を齧る音が聞こえて来た。そして女性の悲鳴も。


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