もう一つのお話し「メイド」
(天窓以外本当に抜け穴ないなぁ・・・これじゃあ隔離だな・・・やれやれ・・・)
俺は部屋の隅々まで調べたが・・・とりあえず調べている最中、部屋に運ばれてきたフィンガーフードを摘まむ。そしてベットに腰掛け窓を見る。
(ベランダに出れるはずの窓も格子がついて動かないようにされて・・・開いているのは通風孔の天窓だけ・・・か。動くのは外が暗くなってからだな。)
そう思いつつ城全体に探知探索の結界魔法を展開する。
(部屋の外に動かない者が3人・・・見張りか・・・この気配は・・・皇后と宰相か?やっぱり異質だな・・・俺の結界魔法に気が付いたか?)
そして城全体、くまなく意識を張り巡らし調べ上げる。すると・・・城の最下層だろう深い所で小さい気配がする、それも2つ。
(なんで最下層に?そもそもそういった所は牢屋なんかじゃないのか?まぁ・・・調べるに越した事無いが・・・まだ日が出ている内は大人しくしておくか・・・。)
そして俺は結界魔法を解き部屋に備え付けてあるベットに横になった。
--------
------
----
『トントントン!』
「夕食をお持ちしました。」
部屋の外から侍女だろう女性の声が聞こえてきた。そのドアのノックの音に目を覚ます。寝起きで少しボーっとしたがその声の内容を理解し入るように促す。
「あー・・・はい、どうぞ。」
『ガチャッ!』
「失礼します。お食事をお持ちしました。あら?お休みでしたか?申し訳ありません、お休みの所。」
侍女の女性は俺がベットから上半身を起こしているのを確認し寝ていた事を察し謝って来たようだ。俺はそれを制し少し話しをしようと試みる。
「あぁ、いいですよ、気を使わなくて大丈夫です。食事ありがとう、テーブルに置いてもらうと良いですから。」
「かしこまりました。」
「この国っていつも湿気があるよね?霧が濃いというか靄がかっているというか・・・」
「・・・そうですね、この国は常にこんな感じですよ。昔はそんな事なかったらしいと聞いてます。」
「そうなんですか?気候が変わったんですね。」
俺は事情は知っていたが敢えてそれを避けて知らない風に、そして会話を自然な感じで出来るよう意識して話す。
「いえ、おそらくは気候は変わってないと思います。昔に起こった地殻変動で風の流れが変わってしまったと言われてます。この城から北の方にある火山地帯が出来てしまったので海からの湿った南風がこの国に溜まってしまうらしいです。」
「へぇ・・・そうなんですか。お詳しいですね。」
「いえ、この国では常識の様なものですよ。」
「ところで、この国の王様はどのような方ですか?謁見させて頂きましたがちょっとお疲れのような・・・覇気が感じられない様でしたのでご病気かと心配しています。」
「・・・・・。」
俺が話題を変えて魔族の王様の事を振ると一瞬動きを止める。そして口を閉ざし俺と目線を合わせようとしないでテーブルのセッティングを進める。何か返答をしようとしているのか考えているのか?それは分からない。俺も空気を読み問うのを止めた。どうせ口止めされているだろうし困らせても可哀そうだ。
そして侍女はテーブルセッティングを終え一言声を掛けて来た。
「後で開いた食器を下げに参ります。ごゆっくりお過ごし下さい。」
「ありがとう、トーマスさんによろしく伝えておいて下さい。」
「失礼致します。」
そう言うと侍女の女性は部屋から出て行った。
(やれやれ・・・よそ者にそんなに話す事はないわな・・・)
そう思いつつ侍女の女性が用意していった夕食を見る。
(おぉ、結構豪華だな。まぁ・・・宰相の客という形だから豪華なんだろうな。)
ただ、そのまま信用して口に運ぶ事も出来ないが食べないのも失礼だろう。
なので俺はその食事を空間収納に入れつつ食べたふうを装う事にする。そして今一度探知探索の結界魔法を展開した。




