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もう一つのお話し「キャッスル」

「度々すみません、カレンさん!!イツキさん戻られてますか!!」


診療所にジェームスさんが訪ねて来た。その様子はとても焦っているようで額に汗を浮かべている。


「先程戻られました。今、奥の部屋でお連れの方と打ち合わせしているようですよ。呼んできますか?」


「き、来た!!戻って来たんですね!!お願いします!!」


--------


『トントントン!!』

「イツキさん、ジェームスさんがお見えですよ。」


カレンさんは開けっ放しのドアをノックしてから俺に話し掛けた。


「あ、もう来たの?うん、食糧はバランタインに渡したからカレンさんから指示出してくれれば詰め合わせてもらえるから。」


「ありがとうございます。」


カレンさんに言うとバランタインは笑顔でカレンさんに・・・


「よろしくね!」


二人が挨拶をするのを見とどけてから俺も本来の目的に行動を移す。


「んじゃあ俺のやる事をするかね・・・。」


そう言ってから4人で待合室に戻る。戻るとジェームスさんが少しイライラした表情をして待っている。そして俺の顔を確認すると開口一番・・・


「イツキさん!!どこに行ってたんです・・・」


俺の後に続いて待合室に入って来たバランタインとリースに絶句している。


「ジェームスさん、いやぁすいません。宰相様にお渡しする物を思案して買い揃えていたら遅くなってしまいました。」


「・・・・・。」


「じゃあ行きましょうか。」


「あ・・・あぁ。」


ジェームスさんに外に出るように促し診療所に残る3人に言う。


「行ってくる。」


「気を付けて下さいね。」

「いってらー!」

「お気を付けて。」


俺はバランタイン、リース、カレンさんに言うと返事を返してくれた。そしてジェームスさんと診療所を出て一度トーマスさんの邸宅に向かう。その間一言も喋らないで何か考え事をしているようで・・・何を考えているかを推測するに・・・


(なんで異国の人間が増えているんだ?これは大きな問題にならないか?)


などと考えているんだろう。まぁ・・・あの二人に敵う者がこの国に居ないだろうから俺が心配する事も無い。あの二人の姿からその実力を想像する事は出来ないだろうけど。リースに至っては常に先生から指導受けられる状態になっているから急成長といった状態だ。

とりあえずトーマスさんの邸宅に着き中に入る。建物はそんなに大きくなく装飾も無く・・・いわゆる質素と言った感じの佇まい。


「イツキさん、馬車を待機させていますのでそれに乗ってすぐ城に向かいますがよろしいですか?昼食はお済ですか?」


「あ、はい。昼は食べてないですね。俺も何気に急いでましたから昼食はまだなんですよ。馬車の中で何か食べる事をお許し頂ければありがたいんですが。」


「でしたら城の方で用意しますんで。謁見が終わった後で良いですか?」


「あ、頂けるんですね。じゃあそれでお願いします。」


とりあえず馬車の準備は済んでいた様で俺はそれに従い馬車に乗り込む。ジェームスさんも一緒に乗り馬車の椅子に腰を掛けた。


『バチン!ガタガタガタガタ・・・』


御者が馬を叩いた音が聞えそれに伴い馬車が揺れ始めた。馬車の窓から外を眺めるがいつも通り活気が無い。その街の様子を見つつ溜息を吐く。


『はぁ・・・。』


そんな俺を見ているジェームスさんは質問をしてきた。


「診療所にいたあの二人はどうしたんですか?っというか何者なんですか?」


「ん?あぁ、俺の家族だよ。診療所の手伝いをしてもらおうと連れて来た。」


「連れて来たって・・・どうやって連れて来れるんですか?国外からこの国に入るにしたって何日も掛かるんですよ?」


ジェームスさんはもっともな事を言う。普通に考えるとそうなる。だからと言って馬鹿正直に話しても面倒くさい。なんで茶を濁す。


「それは秘密ですよ。まぁ問題起こすわけでは無いですし、すぐに居なくなりますから。」


「・・・・・。」


それだけ言って話しを終わらせる。ジェームスさんもそれ以上は話し掛けて来なかった。もう起こってしまった事を今更どうこう言っても仕方が無い。

暫く馬車に揺られていると次第に魔族領の城が見えてくる。


「あぁ、これかぁ。」

(靄に隠れているから分からなかったなぁ・・・。)


っと暫く眺めながら思っていた。そして大きな城門の前に馬車を止めジェームスさんが衛兵に開けるように指示を出す。


『ギギギギギ・・・』


暫くして大きな城門はけたたましい音を響かせ開く。そして開ききったと同時に馬車は動きだし城の中に入った。全体を確認するが城自体はそれほど大きくは無いが中は贅沢な作り。しっかり庭も手入れされて調度品も飾ってある。城の外と中では大きく世界が異なるのを実感し思わず深く溜息が出る。


『はぁ・・・・・』

(圧政を敷いてる国の見本だな、これは・・・。)


城の中に入りすぐに馬車が止まる。


「イツキさん着きました。私の後に付いて来て下さい。」


「あぁ分かった。」


ジェームスさんが口を開き、俺はその指示に従い馬車から降りてジェームスさんの後について城の中に入った。


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