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もう一つのお話し「ツインズ」

「それではよろしく。それを踏まえてなんだけど対等な立場になるのが当面の目標なんだけど・・・シャンティさんとフェッテさん・・・」


「「はい。」」


「二人は魔法を使えないよね?」


「使えないですよぉ・・・。」

「考えた事もないですよ。」


俺からの質問に二人は予想通りの答えを返した。


「だから二人には魔法を覚えて貰います。リースさんとバランタインさんは魔法が俺と出会ってから魔法が使えるようになったんだ。対等の立場になるんだから使えるようになってほしい。」


「私達が魔法を使えるようになれるんですかぁ?」


シャンティさんが不安になって聞いて来たのをバランタインさんが答える。


「それに関しては問題は無いわ。私が使えるようになったんだから。先生から教わってそれでも使えないのは教わってる方がやる気が無いだけだと思う位だしね。」


「二人は無いと思うけど・・・もし、教わった魔法を悪しき事に使ったなら俺はそれを止めないといけない。それだけは覚えておいてくれ。そして折角ここに来たのだから先生に適性を調べてもらってくれ。」


「先生ってあの遠くに居る人ですか?」


シャンティさんが先生を指差す。


「そう、あの人。俺はあの人に魔法の技術や剣術を教わったんだ。」


「ですが・・・時間的にもう遅いですよぉ・・・これ以上は明日の宿屋のお仕事に差し支えそうですよぉ・・・」


シャンティさんがそう言うとその横でフェッテさんが頷く。


「それは大丈夫。ここの世界ともと居た世界では時間の進み方が違うんだ。思っている以上に時間は経ってないから。」


「そうなんですか?」


フェッテさんが確認するように聞いて来た。するとリースさんが言う。


「「イツキさんの言ってるのは本当だよ。もと居た世界だと20分経ってないはず。」」


リースさん二人同時に同じ事を言うものだからやっぱり混乱してしまう。


「じゃあ俺は先生に話しして来るよ。」


彼女達の元を離れ、俺は先生の元に向かう。


--------


「先生、また適性検査をお願いしたいのですが・・・」


「やぁイツキ君、良いですよ。どの人ですか?」


俺は手を上げ手招きをする。手招きを見た彼女達は先生の元に集まる。集まりはしたが当のシャンティさんとフェッテさんは緊張した顔つきになっている。何が行われるか分からないのだから緊張した顔つきになるのも無理もない。


「あのぉ・・・本当に大丈夫でしょうか?」


緊張したシャンティさんが何度も聞いて来るので・・・


「大丈夫、命を落とす事も無いし無理な事もしないから。」


俺がそう言うがやっぱり不安と緊張の顔だ。そしてフェッテさんは覚悟を決したのか・・・


「先生、よろしくお願いします。」


「わかりました。まず両手を出して・・・体の中の気の流れを整えるから。」


そう言って手を手を繋ぐ。


「あ・・・。」


--------


ファウスト先生の適性検査が始まったので残された俺はバランタインさんに話す。


「バランタインさんは部屋に戻るの?」


「あら?『さん』付けは無い方が好ましいのじゃないんですか?呼びつけでも良いですよ、家族なんですから。」


「いやぁなかなか急には難しいね。自分で言っては見たものの。」


俺がそう言うとバランタインさんはニヤッと笑う。


「私は残りますわ。先生に教わりたい魔法がありますから。」


「そうか・・・俺はリースさんと戻るよ。一応食堂で待っている。ついでで悪いんだけどシャンティさんとフェッテさんを見ててあげてよ。不安がってたからさ。」


「しょうがないですわね。」


バランタインさんはそう言うと適性検査をしている2人に目をやる。俺はリースさんに・・・


「じゃあ、戻ろうか。バランタイン、お先。」


そして客体のリースさんの手を引き元居た世界に戻った。


--------


「リースさんはどうする?俺は一応食堂で3人待つけど。」


「・・・・・。イツキさん、私も『リース』で良いですよ。」


「あ・・・あぁ、そうだよね。リースはどうするの?」


「私も待つよ。あの2人の検査の結果に興味があるから。」


「了解。」


俺とリースは食堂に移動し3人の帰りを待つ。リースはいつもの椅子に腰を掛け、俺はそして食堂に備え付けてあるコップに水を入れて・・・


「リースはどういった魔法が使えるようになったの?」


「えっと・・・炎と水と・・・あと空間収納。先生が言うには剣筋が良いから基礎体力を上げつつ剣技を磨き、補助で魔法を使うと良いと言ってたよ。」


「なるほどね。そういえば先生が言ってた、リースは剣筋は良いって。オーソドックスなタイプだね。はい、水。」


「あ、ありがとう。イツキさんは家族って言ってたけどイツキさんも家族なんだよね?」


「そのつもりだよ。でないとリースとずっと一緒に居られないじゃないか?」


俺がそう言うとリースの体は小刻みに震えだし目からボロボロと涙が溢れ出す。


「ヒック・・・ヒック・・・ふっ・・・ふあーーーーん・・・イヅギざーーん!!」


「わかったわかった。もう泣くな。」


俺は泣き出したリースの頭に腕を回し胸元に引き寄せた。



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