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もう一つのお話し「ファミリー」

『・・・・・。』


『ありがとうございます、ミカエル様。』


部屋が一転しいつもの何もない光景が広がる。ミカエル様は何も言わず皆を見ている。俺の目から見て、この一連の出来事をどのように見ているか伺い知ることが出来ない。

そしてシャンティさんとフェッテさんはここに来るのは初めてなので驚いた表情をしていた。


「ちょっと連れて来る。」


俺は主体のリースさんを連れて来る事を言い4人から離れ、この世界にある小さな建物の中に入る。目立つ建造物が存在しない世界にはどんなに小さい建物であっても目立ってしまう。そこに居たリースさんは分かっていたようで建物に中で立って待っていたようで。


「みんなの所に行こう。」


既に泣いていた主体のリースさんはコクンと頷き俺の右手を握る。そして俺はリースさんの手を引き4人の元に戻る。バランタインさんとシャンティさん、フェッテさんはそっくりなもう一人のリースさんが現れたので驚き目を見開いているがそれが現実だと思い知らされ再び悲しい顔をする。そして二人のリースさんは同時に話す。


「「ごめんなさい・・・。」」


バランタインさん、シャンティさん、フェッテさんはリースさん2人を囲み抱きしめながら泣く。


「なぜおっしゃってくれなかったんですかぁ・・・うぅぅ・・・。

「リースリング様・・・馬鹿ですよ・・・グズッ・・・。」

「察してあげられなくて・・・申し訳ありません・・・・。」


「「ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・。」」


俺は目を細くしてその光景を見つつその場を離れた。俺には分からない彼女達だけの絆があるだろうから。そして彼女達で話す事もあるだろうから。


----------


俺は彼女達から離れてから俺の守護霊になっているミカエル様に話す。


『申し訳ありません、ミカエル様から見て私たちの出来事はどのように映りましたか?』


『本来、大事と叫ばれる人間の事象は大天使と呼ばれる私の目から見て些事としか映らないが・・・』


『そうですよね・・・』


俺は『やっぱり』っと言うか『当然』の答えだと思う。大天使と人間はレベルが違い過ぎるし存在理由すら違う訳で・・・俺がこうやって質問する事すらおこがましいのだから。そしてミカエル様は話す。


『ただ・・・胸に残るものがある。人の言葉を借りるならモヤモヤするという感じか。イツキを守護する以前ならこういった事は無かったが。』


『・・・・・。』


ミカエル様の言葉に俺は返答を返せなかった。否定する事も肯定する事も出来ないし・・・


『こんな時に御方様は何と言うのだろう・・・』


そう思った。ただ・・・思った事は全てミカエル様にも聞こえてしまうんだが。そして俺はミカエル様に問う。


『彼女達の問題を解決するにはどうすべきだと思いますか?』


『・・・・・まずあの小娘の問題は私ではどうする事も出来ない。魂の問題はファウストの言った通り御方様とアズラエルしか扱えない。そして彼女達の問題は彼女達の上下関係の問題が根底にあるからそれを解決させなければならないな。』


『・・・・・。』


『上下関係と言うより主従関係と言った方が良いか?小娘、従者の女の2人と双子の女達に能力的に大きい開きがあるだろう。それを埋めて均すと良いのではないか?そして主従関係の意識を薄めてやると良いと思うが?後はイツキが考えるんだな。』


『・・・ありがとうございました。』


『何かあったらまた相談すると良い。』


『はい。』


「意識を薄めるか・・・。」


俺はミカエル様のアドバイスを元に思考を巡らせた。


「主従関係・・・能力差・・・身分差・・・か。うむぅ・・・」


---------


暫く経ってから俺は彼女達の元に戻ると5人・・・厳密には4人だが、とても落ち込んでいるが落ち着きは取り戻したみたいだ。


「あっ、イツキさん・・・。」


シャンティさんが気が付いたようで俺の名前を言う。


「皆に聞いてほしい事がある。リースさんの魂の修復については思い当たる事がある。」


「「「!?」」」


そう言うとリースさん以外の3人は一斉に俺の方を見る。そしてその目は驚きと真剣な眼差しになった。


「その方法は修復出来る神様の慈悲にすがるしかないんだ。そして確実性が全くない。こればかりは神様の気分次第でしかないから俺でもどうすることも出来ないんだ。でも必ず修復させないといけないからその為の最善は尽くす。バランタインさん・・・」


「はい」


「以前、右頬に傷のある子を見た事あるよね?」


「えぇ、イツキさんが言っていた『恐ろしい子』ですよね?忘れる訳無いですわ。」


「その娘を守護している神様がそれを出来るんだ。だからその娘との接触は避けられない。出来るだけ穏便に済ませたい。ただ、その子と穏便に済ませられても守護している神様とは穏便に済ませられないかもしれない。接触した時には何が起こるか分からない。その事だけは覚えておいて欲しい。」


「「「「「・・・・・。」」」」」


「今話した事はすぐに出来る訳では無いから・・・っでこれからが本題。今回の問題の発端は主従関係から来ていると思うんだ。だから難しいと思うけどその関係を無くさないか?」


彼女達は俺からの提案が分からないのであろう・・・眉間に皺を寄せていた。


「イツキさん言っている意味が分からないですよぉ。」


シャンティさんが言ってきたので俺は説明を続ける。


「リースさんは主従関係で主の立ち位置であった為それが重荷になってしまった。だよね?」


俺はリースさんを見ると返事は無かったが苦い顔をしている。


「だから俺からの提案なんだけど・・・家族になれないかな?生まれも育ちも違うけどさ。」


「家族と言ってもピンと来ないのですけど・・・」


バランタインさんが言うので俺は話しを続ける。


「そうだね。いきなり言われても疑問符が浮かぶよね。でも家族の様なつながりが必要だと思うんだ。カンタルさんやクロミエさん、キリーちゃんの家族関係が俺らに必要なんだ。カンタルさん達の家族には主従関係は存在しないから人間関係が苦しくなる事も無いと思うんだ。どうかな?」


「「「「「・・・・・。」」」」」


「悪くは無いと思います。ですが・・・」


フェッテさんが不安そうに言う。それもそうでいきなり家族の様に接しろと言うのも無理があるから。


「まぁ戸惑うのは分かるよ。とりあえずルールを決めてそれに沿ってやってみようよ。バランタインさん、シャンティさん、フェッテさんはリースさんの名前の後『様』を付けない、出来れば『さん』も付けない方が理想。それとダメな物はダメっと注意もするし特別扱いは無し。皆で協力して生活をする。相談事は皆で集まって相談する。まぁ・・・最初はギクシャクするだろうけどそれを乗り越えられれば今の状況は大きく改善されると思うよ。」


「わかりました。やってみましょう。」


バランタインさんが同意してくれて続いてシャンティさんとフェッテさんも頷いてくれた。



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