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愛する家族「演技派俳優」

「ヤーーーー!!」

『ガン!!ガン!!ドン!!!シュッ!!』

「セレン!剣筋がまだまだ緩いぞ!!」

「弾かれて飛ばされた時は敵を見ながら回復魔法を使え!可能性を考えろ!!」

「はい!!」

「以前より良くなってきているがまだまだ弱いぞ!!」


・・・・


・・・・・・


・・・・・・・・


お父さまとお兄さまとお姉さまを送り届けた後、女神スクルド様のいつもの特訓がある。毎日特訓を続けていたので最初より苦しく無くなった。きつくはあるが辛くはない。しかも自分で回復魔法が使えるようになると最初から最後までノンストップ。

使用人のお姉さんに1時間だけの人払いをお願いを不審がっていたが、一人で勉強したいと言ったところ納得してくれた。


特訓から戻ってくるとなにやら屋敷の使用人の人達が忙しく動いていた。メイドのお姉さんを捕まえて聞いて見た。


「セレンお嬢様、朝からアポイント無しの来客が多いのです。ただ、名家の方々なので悪しざまにする訳にもいかないもので・・・」


(あぁ、やっぱり来たか・・・)

お誕生日会の時の事件の影響なのだろう。おそらくはその時の各家の者が私と婚約を取り付けに来たんだろう。すでに争奪戦が始まったようだ。外に目をやると庭先でフシミとシガラキが巨体を横にしてまったりしていた。森で何を食べてきたのか考えないでおこう。家で餌と用意するとお金がいくら掛かるんだろう、それを考えるとゾッとする。

走って庭に出てフシミとシガラキの所で『キャッキャウフフ』していると、廊下を歩くお母さまの姿が見え、後ろのお客様を案内しているようだった。お客様が庭先の私の姿を捉えて笑顔を見せたので、スカートの端と端を摘み足を少し曲げ挨拶をした。私の左右には『番犬』改め『番竜』のフシミとシガラキがお客様を凝視していた。お客様は『恐ろしいものを見た!』っという顔をしていたが、お母さまはお客様のその顔を見て邪悪な笑顔をしていたのを見逃さなかった私って偉い。

それを狙ってやっていた私って素敵。普段から忙しいのに接客まで増えてしまったお母さまも溜飲が下がるだろう。


午後には守護霊アズラエル様の語学と魔法があるので、お勉強をしたいっという理由で人払いをお願いした。


「この世界では氷魔法の限界があるの。限界と言っても限界は本人作るものだけど、この世界の人達の氷魔法は氷の塊を作って相手にぶつけるのが精一杯なのよ。冷やすと言っても魔法で出来た氷で冷やすから限界がある訳。だから、ワイバーンで使ったセレンちゃんの氷魔法は魔法でその物を直接冷やしたからこの世界では新しいものなのよ。しかも温度の限界まで冷やす事が出来るからセレンちゃんが本気で冷やしたら誰も助からないわよ、気を付けてね。」


・・・・


・・・・・・


・・・・・・・・・


午後、もう少しで学校が終わる時間になるのでワイバーンのフシミとシガラキでお迎えにいった。

先日までワイバーンを通勤通学に使うなどとは誰も思わなかっただろうし、普通にワイバーンが何事も無く飛んでいるのだからあっちこっちで悲鳴が聞こえてきた。

(お騒がせしてすみません)

学校に到着したが早すぎたみたいだ。シガラキの背中でグテ~っとうつ伏せでマッタリしていたが、やはり人目をひくようだ。遠巻きに見られているが・・・見られているだけだから、もう気にしないことにした。ヒラキナオリッテダイジ!


--------


鐘が鳴り学校が終わったようだ。学校から帰りの生徒が溢れてきているが、お姉さま達とお兄さまは探さなくても私がここにいる事はわかるはず。フシミとシガラキが大きいから気付くし、お姉さま達とお兄さまのクラスメイトの方が真っ先に近寄ってくるはず。おそらくは・・・私はもみくちゃにされるかもしれない。


そして、全てが・・・予想通りの展開。


取り合えず学校に送る時に打ち合わせしていた。

『テルル姉さまにベッタリ抱き着いてその状態を維持、もみくちゃにされた時、フシミをシガラキに雄叫びを上げてもらう。それをハスト兄さまとラウラ姉さまが手綱を握ってなだめる。』

打ち合わせの時、お姉さま達とお兄さまはニヤニヤしていた。こういった時は協力的だ、家族だからね!


最初はハスト兄さまがクラスメイトと共に現れる。


「ハスト兄さまお帰りなさいー!!セレンはお兄さまのお言い付け通りちゃんとお留守番してました!!」


「よしよし。」


お兄さまに駆け寄り抱き着いた。ハスト兄さまは頭を撫でてくれた!打ち合わせのアドリブとはいえ嬉しいものです。これ以上無理ってレベルでキラキラオーラ出しまくりです。

(お兄さま、クラスメイトから羨ましがられてる事受け合いです!)

その後、間を置かずにラウラお姉さまがクラスメイトを引き連れて参上。引き連れてっていうか付いて来たっていうのが正しいのだが。


「ラウラお姉さまお帰りなさいませー!!早くお屋敷に帰りましょうよーー!」


「帰ってお茶にしましょうね!」


「やったーーー!!!」


ラウラお姉さまに抱き着き満面の笑みで手を握ってブンブン振った。

もう既に2クラス分の以上の生徒が集まっていたのでカオスな状態。

少し間を置いてテルルお姉さまがいらっしゃました。やはりというか、当然ながら取り巻きを引き連れて・・・イケメン多数!イケジョも多数!

(凄いぞ!テルル姉さま!!)


「テルル姉さまお迎えに上がりました。」


スカートの端と端を摘み、軽く足を曲げてご挨拶。その後・・・


「テルル姉さま!!」


っと抱きしめる。

(あざとさ全開!!ブラコンシスコンマックスレベル!!キラキラオーラもマックスです!!)

(ナイス私!私って演技派女優か!?)

心の中で笑いが止まらない。

お姉さま達もお兄さまも顔がにやけてますわよ!!

そしてはじまる質問責めと自分推しの売り込み。カオスレベルはマックスに!!

予想してたもみくちゃ状態!

テルル姉さまの脇の下に陣取りベッタリ抱きしめる、私!想定通りだ!

お姉さまは私を守る・・・ふりをする!!


頃合いを見計らって私は目で合図してフシミとシガラキに雄叫びを上げてもらった。


「「ギャギャギャギャギャギャーーー!!!」」


蜘蛛の子を散らしたように私たちを中心に離れていった。


「ドウドウドウ!!」

「ダメよ、シガラキ!!」


手綱を握りしめなだめる・・・ふりをするハスト兄さまとラウラお姉さま。

(流石です、お兄さまとお姉さまは演技派俳優ですか!?)

フシミとシガラキの周りにはロシュフォール家の者しか居なくなったので悠々と飛んで帰りました。


帰りの途中に爆笑したのは想像に難くない。

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