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もう一つのお話し「オフィサー(役人)」

(もうそろそろ渡した食糧が尽きる頃か・・・。)

俺は牢屋の中で寝ながら思っていた。外の様子を知る事は出来ないが毎日ある取り調べで役人の雰囲気を見る限り大変な事になっているようだ。その後、数日経ったある日、状況が少し動く。


「トーマス法務官がこのような所にお越しになられるとは・・・・」


遠くにトーマスさんが居るのが分かる。そしてその話し声が聞こえだんだんと俺の方に近づいて来た。


「君は何をしたんだい?」


トーマスさんは部下を一人引き連れ俺の近くに来て、牢屋の檻越しに話しかけてきた。


「さぁ?分からないです。この国の者じゃなかったからでしょうか?」


「・・・・・。」


「外に人だかりが出来ていて、君を解放するよう要求していたんだが何をしたんだ?」


「俺にはさっぱり分かりませんよ。」


「ふむ・・・。」


そう言うとトーマスさんは顎に手を当てて考え事をし、後ろにいる役人に話し掛けた。


「この者はどういった事案で拘束されたんだ?」


「この国の幼児を怪しげな術を用いて殺害しようしていたと訴えがありまして・・・。」


「・・・。その訴えはその幼児の親からの訴えなのか?」


「・・・いえ。その親子が通っていた祈祷師からの訴えになります。」


「では、被害者本人では無いのだな?」


「・・・はい。」


「して・・・親子に調書をとってあるんだよな?調査資料を出してくれ。」


「・・・まだ作成中になります。」


「・・・・・。資料はいつ出せる?」


「2、3日中には必ず・・・。」


「早急に頼む。」


トーマスさんは俺をチラッと見て役人と共に足早に去って行った。

(しばらくはこのままの状態が続くのだろうな。)

そんな事を思いつつ俺は横になった。


・・・・


・・・・・・


・・・・・・・・


留置場を後にしてトーマスは眉間に皺を寄せ、考え事をしている。


「ジェームス、どう思う?あいつら、調査資料を出すと思うか?」


「出すとは思います。ただ、あと役人の雰囲気からして内容が伴うかはわかりませんね。叔父さんはどうして他国の者を見に行ったのですか?それにしてもあの人だかりはなんだったんでしょうか?」


「最近、食糧を配る診療所の話しを聞いた事あるだろう?そこの診療所は私の友人がやっていてな。っで、あの他国の者はそこに世話になっているんだ。」


「そこで食糧を分けてもらっているんですか?」


「いや、あの他国の者は診療所で食糧を配っているそうなんだ。」


「やはりそうですか・・・。でも、なんで他国の者がこの国の者に食糧を配っているんですか?なにか見返りを求めてやってるんですか?」


「ふむ・・・。いや、何の見返りも求めてないようなんだ。渡した事は秘密にするようにしか言ってないようだし。まぁ・・・秘密にしても誰かが喋って広まってしまっているんだがな。ジェームス、今回の事をお前からも調べておいてくれ。診療所に行けば情報はすぐに集まる。」


「分かりました。すぐに取り掛かった方が良いですね。」


・・・・・・・・


「あの・・・食べ物は・・・頂けないのでしょうか?」


「申し訳ありません。今、お渡し出来る物がありません・・・。」


「そうなんですか・・・あの・・・他国の人が出してくれてたんですか?」


「・・・・・。お答えする事は出来ません。申し訳ありません・・・・。」


カレンは診療を終えた女性に問い掛かられた。でもイツキが居なく食糧を用意出来る者が居なく・・・そして思う。

(ずっと食糧を渡せるはずが無い・・・イツキさんに甘えてばかりもいられない・・・何とかしなければ・・・でも、どうやって?・・・)


『はぁ・・・』


カレンは深いため息を漏らす。待合室の端角の席ではリーガルが座って佇んでいる。急に食糧が渡せなくなった事で何らかの問題が発生した時の為に、見張ってくれるようオッカムがお願いした。そしてリーガルもその仲間を使って噂を広めたり、イツキが連れて行かれた理由を調べたりしていた。

そして診察も滞りなく進み夕刻にさしかかった時にジェームスが訪れる。


「失礼します。」


診療所の扉を開け入って来たジェームスは待合室に居たカレンを見つけ問いかけた。


「他国の者について調べているのですがお時間よろしいですか?」


「今は診察が終わっていないので診察が終わった後なら良いですよ。」


「でしたら・・・終わるまで待たせて頂きたいのですがよろしいですか?」


「それは構いません。では、椅子に掛けてお待ち下さい。今居る方々が済めばに終わります。」


「ありがとうございます。」


ジェームスは診察を受けに来た人の邪魔にならない端角手前の椅子に座り書類を出し見ていた。自分の座った席の後ろに居るガタイの大きい男の視線が気になったが、自分から何もしなければ何もしてこないだろうと。


「・・・・・。」


ジェームスは後ろの男の視線は気になったが気にしないように努めたが・・・。そうもいかなかった。リーガルから話しかけられてしまう。


「よう・・・。」
















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