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もう一つのお話し「スタンバイ」

「おはようございます。イツキさん。」


「あっ、カレンさんおはようございます。お風呂行ってたんですね。今日は良く眠れました?」


俺はリースさんとバランタインさんを先生の居る空間に残し先に戻って来た。そして廊下でカレンさんとすれ違う。


「いえ、あんまり寝れなかったです・・・。」


「昨日からいろいろな事がありましたから仕方無いですよね。とりあえず欲しい物のリストを紙に書いて見せて下さい。買い物は俺も同行します。」


「はい、主人にも聞いて確認してみます。」


「もう少しで朝食ですからオッカムさんとカレンさんもご一緒に。」


「はい。」


とりあえずその場を後にし俺は食堂に入った。食堂の奥のキッチンではフェッテさん、シャンティさん、キリーちゃんが慌ただしく動いている。キッチンの外にはクロミエさんが赤ちゃんのブラータちゃんをオンブしてテーブルセッティングをしていた。


「クロミエさん、おはようございます。」


「イっちゃんおはよう。魔族の人達と来たんだってね。うちに滞在するのかしら・・・困ったわぁ。」


「・・・・・。」


俺がクロミエさんの言葉を聞いて渋い顔をしていると・・・


「イっちゃん、魔族の人達の喜びそうな食べ物とか分かる?あの魔族の人達って夫婦なんでしょ?妊婦さんなの?観光で来たの?おもてなししたいんだけど初めて魔族の人達が宿泊したから分からないのよねぇ。」


クロミエさんの言葉を聞き、思い違いをしたようだった。


「クロミエさん、魔族の人達の喜びそうな食べ物は今度聞いておきますね。それと今回は一泊だけなんで機会があったらお願いします。」


「あっそうなの!?また連れてくる時は前もって言ってちょうだいよ!」


「はい、わかりました。」


クロミエさんはホッとした顔をしているのを見て、俺は苦笑いを浮かべて返事をした。


「今日は魔族の人達と行動を共にするんで早く朝食を頂きます。」


「3名分用意すればいいのね。」


「すいません。」


クロミエさんはキッチンに行って3名分プラスして用意する旨を伝える。

慌ただしく動いている姿をしばらくボーっと見ていると訓練を終えたバランタインさんとリースさんが現れて話し掛けてくる。


「お疲れさん、バランタインさん訓練はどうです?捗ってます?」


「全然ダメね、炎は揺らめいて小さくはなるんだけどね。それとファイアーボールに囲まれると熱いんだけど・・・ウォーターボールだとどうかな?」


「良いとは思いますが・・・水浸しになって後が大変ですよ?」


「ううぅ・・・じゃあさ、イツキさんの着ている服って涼しそうよね!?」


「甚平ですか?これは男物ですが・・・先生に『ゆかたとその一式』を出してもらうと良いですよ。おそらく着付けも出来るはずですから教わると良いです。先生はなんでも知ってますから。」


「『ゆかたとその一式』ね!どういう物か分からないけど・・・試してみるわ!」


「俺は今日は魔族の人達と行動を共にするから先に朝食にするけど、リースさんとバランタインさんはいつも通りみんなで食べていいから。そこは俺と合わせなくて良いよ。」


「そうさせてもらうわ。」


バランタインさんは炎で炙られ喉が乾いてたらしく、水を貰いにキッチンに向かって行った。俺の横にはリースさんが座っていて、下を向いて静かにしていた。


「リースさん、俺はやめた方がいいと思う。確かに凄いけどその分のリスクが大きい。」


「うん、わかってる。」


俺は止めるように伝えたがリースさんはやっぱり先生の話しの趣旨、危険性等の内容が分かっていたようだ。ただ一言返事をしただけで会話が続かなく黙ってしまう。いつもはこんな事にはならないのだけれど。

しばらくしてクロミエさんが3人分の食事を用意してくれたようで・・・


「イっちゃん準備出来たから呼んできてちょうだい。」


「あっ、はい。」


返事をしてオッカムとカレンさんを呼びに行った。


『トン、トン。』


「おはようございます。朝食の準備が出来ました。」


「はい、今行きます。」


オッカムとカレンさんの部屋のドアをノックしドア越しに朝食の準備が出来た旨を伝え先に降りてきた。朝食の並んだテーブルのある椅子に腰掛け二人を待つ。程なくして食堂に入って来た二人を他の泊まり客はギョッとした目で見た。やはりその雰囲気は伝わったのかカレンさんは俯いている。先に来て椅子に座っている俺は手を上げて手招きする。それに気が付いた二人が俺の元に歩み寄り・・・


「オッカム、おはよう。」


「あぁ、おはよう。」


「さぁ、席に座って。」


そう言って着席を促し食事を始めた。


「一応、あそこに座っている女性と女の子、キッチン内の美人双子姉妹が俺の仲間。この宿屋の家族も仲間みたいなものだと思っているけどね。カレンさん、人の目が気になるとは思うけど今日だけだから。ただ単に魔族が身近に居ないから珍しいだけだし。」


俺が説明をしているとクロミエさんはテーブルのグラスに水を注ぎ足しながら話し掛けてきた。


「朝食はお口に合うかしら?」


「はい、大変美味しいです。」


気になっていたであろうクロミエさんにオッカムが答え、気を良くしているみたいだ。


「ゆっくりしていってね!」


「はい、ありがとうごさいます。」


クロミエさんは一言声を掛けてカレンさんが返事をすると離れていった。俺は話しを再開する。


「それはそうと・・・オッカム、カレンさんにリストお願いしてたんだけど見せてもらえる?」


「あ、あぁ。カレン。」


オッカムはカレンさんに持たせてあった必要な物のリストを出すように言う。


「これです。」


そう言うと紙を差し出してきたので手に取り内容を確認した。

内容は薬の効果と成分、どういった名称の物かと消毒液や包帯や細かい道具が書かれていた。ざっくり行く所、経路を頭の中で整理する。薬問屋に向かい最後に市場に行く予定を話す。そして食事を進めて食べ終わって紅茶を飲んでいる時に食べ終わった後の事を話す


「んー・・・大体は把握出来たから食事終わって部屋で行けるスタンバイが終わったら声掛けて下さい。」


「分かった。」


オッカムが返事をし暫くしたら一端解散し各自の部屋に戻った。


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