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仲間「ケルヌンノス様」

「ローリエ、その腕の中の魔獣は狼の魔獣で人には懐かない?懐き難い?魔獣だったの知ってる?その前に魔獣だった事分かっていた?子犬だと思っていたんじゃない?」


私の矢継ぎ早の問い掛けにローリエは答えられないし既に涙目になっている。バローダとマヘリアは教えを請うそれぞれの神様の元に居るので1人だから心細いのかもしれない。


「懐かない魔獣が懐いているのはどういう事をだと思う?それはローリエ、あなたの持つ力であって才能なのよ、自覚してないでしょうけど。私は魔獣に乗ったりしたけど、それはあなたの才能が開花した時の真似事にすぎないらしい、悔しいけど。」


「・・・・・。」


「あなたは才能が開花したら仲良くなるだけでなくそれ以上に魔獣を使役する存在になれるって事よ。」


私が話しているといつの間にか横に居た鹿の角の生えた中年男性の神様ケルヌンノス様が話しローリエに歩み寄る。


「いやぁ待ちくたびれたよ。ウルズさんと話しが盛り上がっちゃったけどなー!ハッハッハッ!」


「あっ!ケルヌンノス様、彼女がビーストテイマーの卵です。よろしくお願いします。」


「よろしくお願いします!」


私が紹介するとローリエも釣られて言った。そしてローリエは更に言葉を重ね質問する。


「あ、あの!頭の鹿の角は本物なのですか!?」


そう言うローリエに私は閉口してしまい思った。


「・・・・・・・。」

(えーーーー!!今そこ聞く!?)


私はドキドキしながらもそのやりとりを見つめる。

(他の神様もいる手前酷い事は起こらないだろうけど・・・起こらないといいなぁ・・・。)

そんな事を思っていると・・・


「んー本物だぞー。ほれ、生え際見てみるか?」


ケルヌンノス様はしゃがみ込むと頭の髪を掻き分けローリエに見せていた。


「わぁ!すごーい!」


ローリエは興味津々の様で・・・その様子を見つつ・・・・。


「・・・・・・。」

(まぁ、上手くやってくれるだろう。)

その後もケルヌンノス様とローリエの会話を盗み聞きを・・・と言っても聞こえてくる。聞きたくて聞いている訳では無い。

ないったらない!!


「娘!」


「はい!」


「娘は魔獣とどうしたい!」


「魔獣と仲良くなりたいです!」


「険しい道だがやれるのか!」


「がんばります!」


「よし、わかった!!」


ケルヌンノス様とローリエの会話を聞き苦笑いしてしまう・・・


「ははは・・・。」

(ケルヌンノス様ってノリが良いっていうか・・・ローリエもノリノリじゃないですか・・・)


ケルヌンノス様とローリエの会話は続く。


「娘、今後はローリエで良いな?」


「はい。」


「ローリエの手に持っている魔獣と首に巻いている魔獣を置いてみなさい。」


ケルヌンノス様が置くように促しローリエはその言葉に従い狼の魔獣と蛇の魔獣の子供を足下に置く。すると狼の魔獣の子供はローリエの足首に擦り寄り白蛇の魔獣の子供はローリエの体によじ登ろうとしている。その様子を見てケルヌンノス様は何か納得したようで・・・恐らくはローリエの才能?能力?を感じたんだろう。


「ふむ・・・。ちょっと見てなさい。」


そう言うとローリエの足下の魔獣の子供2体に向かって手をかざした。そうしたら魔獣の子供は足下を離れケルヌンノス様に近づき、狼の魔獣の子供はひっくり返りお腹を見せ、白蛇の魔獣の子供は頭を持ち上げているが首を垂れている。完全に服従しているようだ。そして手の平を返し魔獣の子供2体にローリエに戻るように指示を出したようでローリエの足下に戻った。いつものように白蛇の魔獣の子供を首に巻き

狼の魔獣の子供を抱き上げた。


「・・・・・・。」


今、起こった魔獣の子供の動作に驚き閉口している。そしてケルヌンノス様が話しを続けた。


「ローリエ、魔獣には種類別に固有の魔力がある。儂がした事は、ただその固有の魔力に合わせただけだ。ローリエが懐かれるのは体から微量に魔力が漏れ出てるからだろう。しかも無意識に魔獣の固有の魔力に合わせて出している。そして体が小さい魔獣が体の大きいローリエに懐くのは必然だ。」


ケルヌンノス様の話しを聞いて私は疑問に思った。そしてこの際だから聞いてみる事にした。そして跪いて・・・

(トラピスト王国の時のワイバーンのフシミとシガラキ、ここに来た時のガルーダのウエンディとオーガのロブリューは私の言葉に従ってくれたし背中に乗せてくれたけど・・・ちょっと分からないな・・・。)


「ケルヌンノス様、一つお聞きしたい事があります。」


「たしか・・・アズラエル様の従者のセレンだったな?何かな?」


(従者では無いけど・・・まぁいいや・・・。)


「以前私も魔獣の背中に乗せてもらったりしてました。その時は魔力を合わせると言う事を知らなかったのですが従ってくれました。私のやり方とビーストテイマーのやり方の違いはどういうものなのでしょうか?」


「ふむ・・・セレンは魔獣に知能は無いと思うか?」


「いえ、感情もありますし泣く事も知ってます。ですので知能が無いなどとは考えられません。」


「そうだな。個体差、種族差はあるが知能はあるし感情もある。その魔獣はセレンが何かしたのではないか?そうだな・・・恩を感じる事、命を救うとかの負のイメージの無い何かを。」


(・・・確かに。)


「魔獣の成体であればそれに報いる事もするだろう。そしてビーストテイマーの魔獣の魔力に合わせるというのは魔獣と会話が出来ると同じであり同じ仲間であれば魔獣を率いる事が出来る。そしてビーストテイマーの行きつくところは魔獣の王になる事と言った方が分かりやすいか?ビーストテイマーでは無いセレンの出来る事は魔獣と友達になる事であって魔獣の王になるのとは違うという事だ。」


私はケルヌンノス様の説明を聞いて以前アズラエル様に言われた言葉に納得した。そしてお礼を言った。

(『セレンちゃんが連れている魔獣は根こそぎ奪われるわよ。』・・・なるほどね。友達より王に従うわな・・・。)


「ありがとうございました。」



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