仲間「バロール様」
「ほら、バロール様。あなたの出番よ。」
ブリジット様がバロール様に話しを振る。そしてバロール様が舌打ちしてマヘリアに話す。バローダとローリエは完全に空気。まぁ・・・割って入るとややこしくなるだろうけど。
『ちっ!!』
「そうだよ。私が巨人の神だ。他にもロキやフレイアってのも巨人の神だ。まぁ・・・そんな事言われても知らんし分からんだろうけどな。ちなみにオーディンとトールを倒したフェンリルとヨルムンガンドはロキの子供だ。ヘルって女神もロキの子供だが冥界ニブルヘイムの女王になって、ニブルヘイムからヴァルハラに居るオーディン、トール等々を見張ってる。ロキの子供達はかなり恨んでるから復活はないな。まぁ・・・戦争の時、惜しくも相打ちだったが巨人は神に負けてはいない。」
バロール様が話している横でブリジット様がクスクス笑って暴言を言っている。
「アバズレフレイア。あんたを殺したルーもね。」
「ブリジットは黙ってろ!」
頭に鹿の角を生やした神様、ケルヌンノス様は死を司る神、同じ死を司るウルズ様と談笑してるようだ。特に他の神様にはさほど興味がないらしい。神様とはそう言うものなのだろう。
「神と巨人の戦争の時、死んだ巨人は神になった。死ななかった巨人が今に至るんだが・・・巨人はどの種族より世界の始まりから続く古い歴史がある。残された者も神に近い存在だろうな。それは今も変わらん。」
バロール様が話し終えるとブリジットが割って話す。
「この世界には巨人を目の敵にしているバカは居ないから安心して良いわよ。」
マヘリアは目の前に居る神様に(巨人は神に負けてない)(目の敵にしている神は居ない)と言われ、何か憑き物が落ちた顔している。そしてスっと一筋涙が流れ呟く。
「良かった・・・。もう・・・隠れなくて・・・偽らなくて良いんだ・・・。」
なんかマヘリアの中で何かを納得したんだろう。私が話すより当事者が話した方が説得力があるもので・・・。話しは終わった様なので私はマヘリアに話す。
「マヘリア、どうする?」
「受けるよ。」
バローダ達3人は神様方から訓練を受けるので場所を変えようと思いスクルド様にお願いした。もうこれ以上ここに居たら見つかってしまうだろうし、神様方はそういった事には無関心だろうし・・・
「スクルド様、特訓している場所をお貸し願いたいのですが・・・。そちらで彼女達に説明したいですし。」
「うむ、分かった。」
そう言うとスクルド様のいつもの空間に花壇の場所から暗転し移動した。突然に視界が変わってバローダ達3人は目を白黒させているみたいで動揺している。気持ちは分かる。
「えっ・・・。」
「きゃあ!」
「うわっ!」
「スクルド様、ありがとうございます・・・さて・・・バローダ、ローリエ、マヘリア、あなた達は先に言ったように類稀な才能を持っているのよ。」
私を見ての話しを黙って聞いているので話しを続ける。
「なぜ、私達が同じルームメイトになったのかは分からない。けど・・・偶然じゃないような気もする。因果関係を追及する気はさらさらないけどね。バローダ、あなたは体の作り、体質なのかな?普通に魔法が使う事が出来ないのよ。ただ、あなたは『魔眼』の才能があるわ。おそらくはこの世界でただ一人。何もしなければ目の良い女の子で終わる。あなたはバロール様に教わると良いよ。バロール様は魔眼を持った神様だから。名前が似ているのも運命かもね。」
そう言うとバローダはバロール様を見上げる。
「娘、バローダって言うのか・・・私と名前が似ているが偶然なのか?」
「分かりません。私のお母さんが好きな昔の大女優『ノーマ』って人の顔と同じ場所にホクロがあったそうで、その大女優の持っていた宝石の名前を貰ったそうです。その宝石を持っていると大成功を収める事が出来るって迷信があるって言ってました。」
バロール様とバローダが話していると後ろの方でその様子を見ながらウルズ様とヴェルダンディ様がヒソヒソ話している。
「もしかしたら~・・・遺伝かも~・・・」
「転生して名前変えて・・・」
小声で話しているので良く聞き取れないので気にしないし関係無いだろう。バローダはバロール様の元に近寄り話しをしているので、今度はマヘリアに話した。
「マヘリア、授業の時私と打ち合ったね。あなたの力は私達に力を大きく上回っているわ。並みの騎士より強い。私は自分の国で騎士と試合をした事があるから分かるの。ただ・・・粗いんです。剣に繊細さ、器用さが無いの。それと体のハンディキャップがあるから・・・熱を溜め込むってやつ、このままだと体を壊すよ。だからブリジット様に対処の仕方などを教わると良いと思う。」
「ブリジット様は戦女神ではないけど戦争では守りに回れる女神だから武術の学べるし丁度良いね。」
私の話しにスクルド様が補足してくれる、ありがたいものだ。そして私の話しに促されるようにマヘリアはブリジット様に歩み寄る。
「やっぱりあなただったわね。そうなると思っていたわ。よろしくね。さすが巨人の子、良い体つきだわ。」
「よろしくお願いします。」
ブリジット様とマヘリアが話しを始めた。まぁ、今後の事なんだろう。




