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仲間「タイミング」

私は市場のバローダの両親の店を出て少しだけ買い物を済ませた。とりあえず報告を済ませ、後はバローダ次第。ローリエとマヘリアの両親には面識が無いので・・・

今後の事を考えて寮に歩いて帰った。寮に戻り自分の部屋に戻る前にペリドットの居る部屋に向かう、ペリドットにお願いする為に。


『トン!トン!トン!』


「「「「はい、どうぞ!」」」」


部屋にはペリドットとルームメイト3人、歓談をしていたようだ。4人は私の顔を見た。ペリドットは何かを察したようで部屋から出て来て廊下で立ち話をした。


「今日、夕食後・・・お風呂の後、3人を連れてきて欲しい。」


「それは構わないけど、どこに連れて行けば良いの?」


「花壇の所なんだけど。」


「分かったわ。」


それだけお願いしてペリドットは部屋の中に戻った。私は自分の部屋に戻ると3人は寛いでいる。


「「「お帰りー。」」」


「ただいま。夕ご飯これからだよね?間に合った?」


私の問いに細い首に魔獣の白い蛇巻き付けて膝に狼の子供を置いているローリエが答える。


「今からだよ、間に合ったね!」


私はその姿を見て才能のなせる事だと知ってはいたけど閉口してしまう。そしてマヘリアが口を開いた。


「じゃあ行こうか。」


そう言うとローリエは狼の子供を檻の中に入れ、白い蛇を箱の中に入れて魔獣二匹に言う。


「ちょっとご飯食べてくるから大人しくして待っててね!」


そのローリエの姿を3人で見ててバローダが言う。


「ローリエ、動物好きなのは分かるけど、蛇を首に巻くのは度が過ぎてない?」


「そう?蛇は臭くないから大丈夫だよ?」


「「「・・・・・。」」」


私達3人はそれ以上ローリエに突っ込む事をやめ、夕食をとりに移動した。ローリエを先頭に私は一番最後に歩いているが・・・バローダもマヘリアも引いてローリエを見ていた。私的にはバローダもマヘリアも大概だと思う。3人が3人、レアな才能を秘めているのだから。


・・・・


・・・・・・


・・・・・・・・


どのタイミングで言おうかとむず痒い感覚を覚えながら食事を終え、部屋に戻りすぐにお風呂に向かう。

ローリエは後から来るそうで・・・魔物にご飯をあげるそうだ。小さい子供の魔物もどんどん大きくなるんだろう。実際最初に見せてもらった白い蛇の魔物が目に見えて大きくなっている。

お風呂に入り体を洗っているとペリドットの部屋のメンバーも入って来た。そして、私の隣に座りペリドットも体を洗い出す。


「もう話したんですの?」


「いやぁ、なかなか言うタイミングが無くて。でも必ず言うよ。」


「何かあったら言って下さいな。」


「・・・・ありがとう。」


ペリドットが協力的でとてもありがたい。友達とはかくもありがたいもので・・・

体を洗っているとローリエも入って来た。それを確認したペリドットが小声で話す。


「あんなポーっとした雰囲気なのにね・・・分からないものね・・・」


「私もそう思う。」


そして二人でクスクス笑ってしまう。その後湯船に入りローリエとペリドット、バローダを眺めていた。

私の横に並んでお湯に浸かっていたペリドットが握り拳を作り剣を振るイメージトレーニングを始める。いつもの日課にしているようでそれが始まると長くなる。私はペリドットに一言声を掛けて風呂から上がる。


「のぼせないように程ほどにね。」


「分かったわ・・・」


・・・・


・・・・・・


・・・・・・・・


お風呂から部屋に戻り、4人でマッタリしているし後は寝るだけ・・・私はそのタイミングで話しの口火を切る。


「ねぇ、バローダ。魔法の本が貯まってきたけど使えるようになった?」



「・・・・・。何が言いたい訳?」


バローダの顔が不機嫌に曇る。以前から魔法を勉強しているのに全く使えないバローダに魔法を使える私が言うのだから多少嫌味に聞こえるだろう。


「そのまんまなんだけど・・・魔法は使えるようにはなったの?」


私の言葉に部屋の雰囲気が変わりローリエとマヘリアも察した様で押し黙った。そして私の言葉にイラついたバローダが声を荒げて答える。


「使えないわよ!!だから何だって言うの!!」


「うん、知ってた、今のままだと一生使えないし。今までの時間もこれからの時間も無駄になるよ?魔法を使える私がはっきり断言してあげる。」


「なっ!!・・・・・。」


私の辛辣な言葉にバローダは顔を赤くし言葉を詰まらせ閉口した。そして私はローリエの方を振り向き話す。


「ねぇ、ローリエ。その蛇と狼の子供の魔獣は今後どうするの?魔獣だったの知ってる?」


「えっ!あっ・・・その・・・。」


「今は良いだろうけど体が大きくなると餌代もバカにならなくなるんじゃない?」


「餌代は働いて・・・」


「餌代の為に働いて人生を食い潰されるのね。」


「そんな・・・酷い・・・」


ローリエが目に涙を貯めているし、その様子を察して狼の魔獣は唸り声を上げ蛇の魔獣は鎌首を上げて私を威嚇していた。私はその魔獣に殺気をぶつけると狼の魔獣はローリエの裏に身を隠し震え、蛇の魔獣はローリエの服の裏に隠れた。そして私はマヘリアの方を向き・・・


「なによ・・・。」


マヘリアは余程警戒しているようで身構えている。


「・・・・・なんでもないわ、後程。」


そう言って私は部屋を出てペリドットにお願いすべく居る部屋に向かった。


『トン!トン!トン!』


「「「「はい、どうぞ!」」」」


そうして私は中に入りペリドットに一言だけ・・・。


「よろしく。」


その言葉にペリドットは立ち上がりルームメイトに言う。


「ちょっとお出掛けしてきますわ。」


そして廊下に出て来たペリドットにもう一度言う。


「よろしく。」


「フフン♪」


ペリドットはニコッと微笑んでバローダ達のいる部屋に向かい、私はフロントさんに任された花壇に向かった。

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