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ギルド活動「大猪」

ジャンヌさんは手のひらを地面に向けて体勢を低くするように他の2人に指示を出す。そして3方向から徐々に距離を詰めて行く。右手には各々の専用の剣。

今更ながら3人が3人皆が前衛。バランスが悪い。まぁ、言わないだけで気にはしているだろう。

私も後ろか付いて行っていざっと言う時にサポート出来るよう気を張る。

大猪の顔が見え、目は閉じているが、鼻の動きが激しい。もしかしたら何かしらの違和感に反応しているのかもしれない。

(聞いた事があるが豚の嗅覚は犬より優れているとか・・・。)

そう思い出していたら・・・

大猪は跳ね上がる様に立ち上がった!やはり何かを感じ取って目が覚めてしまったらしく、起こされて怒っているようだ。彼女達3人は起きた事に驚きつつも冷静に構えつつ一旦間合いをとり暫く膠着状態が続く。そして大猪はソフィーさんに突進を始めた!

ソフィーさんは身構えていたので突進を左に躱しつつ右手に持っている剣、カッツバルゲル『クロエ』で大猪に振り下ろした。しかし、剣は体に当たりはすれど大猪の油っ気のあるとても硬い体毛が剣を受け流してしまう。やはり動くものを切るのと動かないものを切るのは勝手が違う。私は音の魔法を解除して周囲に音が戻った。


『ダダダダダッ!』


そのまま大猪は獣道に入って逃げようとしたが私があらかじめ塞いでしまっている。獣道が無くなってしまっているので右往左往していたが逃げられない事を察したようで・・・私達に振り向きシーラさんに向かって鼻息を荒くし突進をしてきた。

最初の突進は大猪が逃げる為に走ったようだったが、今の突進は攻撃の為だろう。シーラさんが突進を右の躱そうとしたが大猪も右に軌道を修正し体当たりをしてきた、猪特有の牙を立てて。


『ドガッ!!!』

「く・・・くぅ・・・」


シーラさんは真正面に突進を受けた。右に躱す事が出来ないと察し後ろに飛び、レイピア『フェルメール』で突進を受け、そして体を左にひねり突進を受け流した。

ヒグマの様な大きさの・・・規格外の大きさの猪の突進なので攻撃を受けた時は衝撃を受け流す他無いだろう。衝撃を堪えて踏みとどまるのは無謀でしかなく怪我して下さいと言っているようなもの。そして『猪突猛進』と猪は本気になると真っ直ぐしか走れないなどと言っているがそんな訳が無い。都市伝説のようなもので誤解も甚だしい。

私は突進を受けたシーラさんに叫んだ!


「シーラさん!!」


「大丈夫!!」


突進を受け、右の太ももから出血していた。大猪の牙をひっかけたのかもしれない。服は破れ、破れた服の辺りが赤く染まった。戦闘中なので治癒の魔法が使えない私は見ているだけなのがもどかしい・・・。

シーラさんに突進した時、横からジャンヌさんがフランベルク『アリエル』で切りつけたがソフィーさんの時と同様に大猪の硬い体毛にいなされてしまう。この硬い体毛だからこそ固く鋭い茨の棘で覆われた獣道を通る事が出来たのだろう。切りつけるのではなく刺突の方が攻撃も通るのだろうけど動くものに正確に垂直に刺突するのは難しい。

3人の内、誰かが攻撃を受けたら残りが確実に攻撃を加える。チームワークの良い素早い動きの連携に特化した動きだ。ただ、効果的では無く決め手に欠けている。ここで私が魔法や斬撃を使うと彼女達3人に当たってしまうかもしれない。途中で私も天国(あまくに)を手に参加して攻撃に加わった。3人に攻撃や動きに合わせて大猪に攻撃を加えるが難しい。私一人であれば如何様にも出来るのだが・・・普段からチームワークとは無縁の私の課題が露呈してしまった形だ。

大猪の突進をするタイミングで横から攻撃を仕掛け突進を止める。自然とその様な動きになってしまう。

大猪にはほとんどダメージが入っていないだろう。彼女達の方が分が悪い。このままの状態だと神経をすり減らし疲弊してしまう。事実、諦めてはいないが息が上がってきているようだ。

4人で藪の端に追い込み取り囲んで攻防で一進一退を繰り返していると大猪がジャンヌさんに突進した。息が上がり疲労の色が濃くなった頃で彼女達の集中力が切れ始めた時だった。


『ブフーー!!』

『ドゴッ!!!』

「きゃあ!!!」


鼻息荒く突進し直撃してしまった。ジャンヌさんは悲鳴を上げて弾かれてしまう。そして地面に倒れ動けなくなってしまっている彼女にさらに大猪が牙を立てて突進した。


シーラさんとソフィーさんが叫び声を上げた。


「「ジャンヌ!!!」」


(あ、やばい。)

私がそう思い、大猪とジャンヌさんの間に割って入る。そして石を拾い大猪に投げつけ大猪の気を引き、私を標的にするようにした。恐らくはもうそろそろ決着をつけないと彼女達が危ない。大猪に逃がられないようにと退路を断ってここまで来た。それは私達も逃げられないという事でもあり、命にかかわる事でもある。

大猪が私を見ている。私は少し横に移動しジャンヌさんと私、大猪が一直線にならないようにした。恐らくはこのまま私に突進をしてくるだろうから、躱した時ジャンヌさんが危険になる。極力なら躱さないで押し戻したい。そして、大猪が私に向かって突進してきた。


『ダダダダダッ!!』


私は集中し大猪に対応する。左右に逃げても軌道修正されて突進を受けてしまう。なのでギリギリまで引き付け地面を蹴り高く跳ぶ様なエアリアル(女側宙)をし、天国(あまくに)を変化させた。


「天国、槌形態!!」


剣の形態だと弾かれてしまうだろう事から重量感のあるバトルハンマーに変え思いっきりフルスイングした。


「イヤーーーー!!!」


重心が先にあるバトルハンマーのフルスイングの時の円の軌道上に大猪の頭の部分が重なる。


『ガコンッ!!!!』

『ブヒーーーー!!!!フガッ!フガッ!』


バトルハンマーを振りぬき大猪の突進を押し戻した。頭に強い衝撃を受けた大猪は脳震盪を起こしたようでフラフラになり足元もおぼつかない。完全に動きが止まった。そして私は叫ぶ。


「シーラさん、ソフィーさん今です!!」






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