表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
123/208

ギルド活動「スワローテイル」

「ん、ん~・・・背中痛い・・・」


目的地に到着したようで・・・ソフィーさんに起こしてもらった。久方ぶりの馬車での移動で背中が痛い。寝る前に毛布なんかだせば良かったと痛くなって後悔。そんなに距離も無いからっと甘く見ていた。次からの反省に生かそうと思う。外を見ると田園風景が広がりその広場の一角に馬車がとめてある。


「今、2時位よ。馬車は良いわね。移動中でも休憩がとれるのね。サイレンちゃんは最後まで寝ていたけど・・・馬車の中で熟睡できるのが逆に凄いわね。」


「あはっ!そんな事無いですよ〜!ちょっと寝貯めしておかないと夜がちょっと辛いかな~っと思いまして。」


「寝貯め?何それ?」


「ん~・・・大分前に一日中寝て次の日オールナイトで遊んだりした事あったもので。」

(転生前の時なんだよね・・・懐かしいわ~。)


「オールナイトって・・・あなたまだ10歳よね!なんでそんな事出来るのよ!」


「くふふふふっ!!秘密です!」

(説明すると話しが長くなるからお茶を濁そう・・・)


そして私はその後の段取りを聞くべく3人と話し合った。


「ジャンヌさん、まだ日が高いですけど、これからどうするんですか?」


「被害状況を確認して被害を受けていない所の調査をするわ。結構広範囲だからサイレンちゃんも手伝ってくれるかな?」


私も同意して今度は馬に直接乗って分散しての聞き込みを行った。馬車から馬を外しシーラさんの馬に乗って同行した。聞き込みの向かう時、荒らされた畑を見たが作物が食い散らかされた酷い状況だった。よく見ると被害に遭った作物は一番美味しい部分だけ齧られている。畑の土も掘り起こされて石もひっくり返されている。


「・・・これはちょっと酷いですね。」


「・・・だから早く害獣駆除しないといけないのよ。ただ、警戒心が強くてなかなか遭遇する事が出来ないのよ・・・。農家の人達も夜の見回りをしているんだけどなかなか被害が食い止められなくてね。」


そして私とシーラさんは農家の家を尋ねた。聴き取りは主にシーラさんにお任せ。私は話しを聞いている。


「あの猪、今から収穫ってのを狙ってくるんだよ!!何とかしてくれよー!!孫にスイカ作ったのに全部喰われたんだよぉ!!」


「私達も全力をあげて必ず駆除しますから!」


農家さんは大変だ・・・どの農家さんを回っても被害が大きいらしい。切実のようだ。


「トウモロコシなぎ倒されたんだよー!」

「倒して赤いトマトを食べるから青いトマトが熟す前に枯れるんだよ!」


・・・・


・・・・・・


・・・・・・・・


結構農家さんを回っただろうか・・・日が傾いてきた。シーラさんが私に話し掛けた。


「サイレンちゃん、戻ろう。猪は夜活動するからそれに備えるから。」


「はい。」


私はシーラさんの前に乗り今回の依頼について話した。


「農家さん、みんな切実ですね。」


「そうね、農業って自然の摂理の中で行うから害獣とかは多少は許容されるんだけど。ほら、食物連鎖ってあるじゃない。鼠が増えたらそれを餌にする鷹や梟、狐、蛇が増えて鼠が捕食されてってさ。それが今回はその食物連鎖が通用しないから、だから依頼がきたんだよ。困っていたら助けたいじゃん?冒険者ってそういうもんだと思うんだ。」


「・・・そうですよね。」


今回の依頼は合同だけれど『害獣駆除』依頼書にすれば簡単だけれどその依頼書の先にあるバッググラウンドまで見れる冒険者はどれだけいるのだろう・・・。「スワローテイル」の人達にはその信念が揺らぐ事の無いように願いたい。

そして集合場所に戻ったら分かれて調査しに行ったソフィーさんが戻って来ていた。ジャンヌさんはまだのようだ。

ソフィーさんが話しかけてきた。


「そっちはどうだった?」


「酷いものよ。今回で終わらせたいわね。」


シーラさんが答えた。そして、夜に備え2人は打ち合わせと装備の確認をしていた。そこにジャンヌさんが帰ってくる。


「お疲れさん。何か有力な話しはあった?」


ジャンヌさんの問いに2人は首を横に振り・・・


「特には・・・。」


シーラさんが答えた。


「そう・・・。でも、諦めないわ!必ず依頼は果たすのみ!サイレンちゃん、よろしく頼むわ!」


ジャンヌさんは2人を鼓舞しモチベーションの維持に努めている。私感だけれどパーティーとして良いと思う。そういった姿を見てしまうと私も思ってしまう。

(力になりたい。)


「善処します。」


私は満面の笑みで答えた。そして雰囲気的に長丁場になりそうだったので出発まで馬車の中で短い睡眠をとった。3人からよく寝る子供だと思われたと思う。


・・・・


・・・・・・


・・・・・・・・


『トントン、トントン』


私は肩を軽く叩かれ起こされた。


「起きた?出発するわよ。」


ロウソクを持ったソフィーさんに起こされ馬車から出ると辺りは真っ暗。目当ての猪は夜活動するからっと私達も静かに行動開始。


「まだ、荒らされていない収穫間近の畑があるからそこを重点的に調べましょう。」


ジャンヌさんが言ったのでその畑に向かった。私は人知れず探知探索の結界魔法を張り大型の動物を調べる。そしてシーラさんの手を掴んで迷子にならないように歩いていた。

魔法展開中は集中して辺り一帯を調べていたので、俯いてボーッとした様に見えたと思う。不思議がってはいたがそのままにしてくれたのがありがたい。そして2時間ほど歩き回りスワローテイルの3人に疲れが見え始め集中力が途切れて来た時に、私の探知探索の結界魔法に動く大きなものを確認。遠くに居たが大きなものは1つだけ。間違いないと思う。私は思わず呟いてしまった。


「見つけた。」


夜の静寂の中の呟きをスワローテイルの3人は聞き逃さない。

一斉に私を見る。私は相変わらず俯いて前を見ていなかったので信じてもらえたがどうか分からないけど・・・ジャンヌさんが小声で話しかけて来た。


「それは間違いないの?」


「ほぼ間違いないと思います。」


「じゃあ案内してもらって良い?ソフィー、シーラ行くわよ。」


そう言って3人は顔を見合わせているが私が釘を刺した。


「とりあえず戻りましょう。」


「はぁ?」「どうして!?」「逃げられちゃうじゃん!」


3人は私の言う事に怪訝な顔している。


「見つかったら私の目から逃げられないですし、3人とも疲れていますよね?真っ暗な所で駆除しようとしても間違いなく逃げられますよ。それだったら一旦引いて体勢を整えてからぶつかった方が確実です。」


「「「・・・・・。」」」


「サイレンちゃん信じていいの?」


3人は私を見てジャンヌさんが念を押して聞いてきた。


「駄目だったらこの依頼はずっと付き合います。」


「・・・わかったわ、戻りましょう。」


私は探知探索の結界魔法を維持し大きい動くものを監視し4人で馬車のある広場に戻って来た。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ