英雄作成計画「ちょろい性格」
午前中の女神スクルド様の12時間の特訓が終わる。
特訓にあたり全回復の魔法を使用しての特訓は明らかに魔法の使い方を間違っている。
終わって元の仮部屋の戻ってくる時も全回復して頂くから疲労感は無いのだが、精神的に極度の疲労感に襲われる。初回は本当にさわりと説明だったのできついものは無かったが全回復が無かったから死にかけた。魂は20歳であっても体はこれでも6歳児、女児だもん。次の日に特訓の為に来た女神スクルド様がグッタリしている私を見て焦って全回復の魔法をかけて頂いた。一応6歳児、女児の体力を把握したと思う。思っててほしい。
お母さまとランチを食べてから午後は絵本を読んだり絵を書いたりのはずなのだが・・・普通は・・・
ただ、私の場合は守護霊アズラエル様の座学と魔法の実践がある。魔法の実践に関しては人が居ない所でしか出来ないからなかなか難しいが魔法の無詠唱の方法とか詠唱の必要性を教えてもらっている。誰も居ない時は守護霊アズラエル様が幾重にも結界を掛けて魔法で被害が出ないよう、誰も気づかないようにしてもらっている。その時は魔法を試して強弱を確かめてみていたが、時に失敗して結界一杯に水で満たして溺れたり、風を発生させて部屋の中がメッチャクチャになったり、気温を下げすぎて凍死しかけたのがいい想い出。
また、私しか見えない守護霊アズラエル様との座学は他人の目から見ると、何もない空中を見つめお話ししている風にしか見えない為、さぞかし怪しい、精神疾患者、悪いものに憑りつかれたように見えただろう。実際に家の使用人の目線が痛いのもそのせいだろう。
だから、私に対する目線が痛いのは見えない守護霊アズラエル様が悪いのであって私が悪い訳ではない。
ないったらない!
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とある日、守護霊アズラエル様は・・・
「今回はセレンちゃんに無生物に対しての属性寄与を覚えてもらいますね~。」
メイド服がお気に入りのようで最近ずっと着ている。そして露出部分も増えてきてるようだ。守護霊アズラエル様はどこにむかっているのだろう・・・プロポーションが無駄に良すぎるだけに露出が増えても全然負けてないのが腹が立つ・・・
「属性は火、水、土、木、金、光、闇、音などがあるの。そのどれもが力を秘めていてその力を無生物に閉じ込めるみたいなもので、その力に指示を与え微調整をすることも出来るの。」
「剣に火属性を寄与して剣全体が触れない位熱くなってしまっては意味が無いから。その時こそその指示が生きてくるって訳。熱くなるのは刃の部分だけであって握る部分は熱くならないようっとかね。」
「なるほど・・・」
とても理にかなった事を言ってると思う、そして実験したくなる。これが理系女子の宿命なのだろう。
(ローソクに水属性を寄与したら火は付くのか?)
「っで、寄与の仕方だけど・・・当然だけど寄与する力と寄与させる物が必要よ。まず、寄与する力は魔力を呼び水にして力を引き出し、魔力を混ぜて寄与させる物に宿らせるのよ。寄与する力は炎の力の寄与なら炎、水の力なら水を・・・寄与する力が寄与する物って事ね。」「寄与する力の種類によっては寄与し難い力があるわ。光、闇や音とかそのものが物ではないものがそうね。その場合は寄与させる物に少しずつ集めたそれらの力を寄与し続けるか精霊の力を借りるの。」「精霊は力そのものが意識を持った存在で、性格は様々だから気を付けて接してね。ただ精霊はどこにでもいる訳ではないけど、信頼を得られたら多大な恩恵を得られるから覚えておいてね。」
「セレンちゃん、魔力の使い方は魔法の時の想像の力の応用だからわかるよね?じゃあ、実践してみて!」
「はい、いきます。」
目の前のテーブルにはローソク数本にコップの入った水、それと庭に落ちてた石。
とりあえずローソクに火を付けてから目を閉じて、両手をローソクの炎に手をかざす。
炎の熱を手のひらに感じながら炎に魔力を纏わせるイメージをする。
するとローソクの炎は激しく揺らめき渦を巻き始めた。
「そう、そう!いいよ!それを意思の力で指示出すの!」
守護霊アズラエル様はぶっつけ本番ではあるけど褒めつつ指示を出してくれる。
まだ、途中ではあるけど褒められると嬉しくなる。私って結構ちょろい性格みたいだ。解っていたけど。
そして私は炎に指示を念じてみる。
(炎よ、石に宿れ!でも熱くなく温かいくらいでね!)
渦巻く炎は石に纏わり次第に小さくなって消えた・・・
「ふーーー・・・アズラエル様、寄与って集中力使いますね・・・これで良かったですか?」
「石を触って熱を感じたなら成功よ!」
しばらくして石を握り確かめる。
「アズラエル様!温かいです!!」
「おめでとう!大成功ね!後は練習して慣れるといいわ!」
「はい!!」
やはり『おだてられる』『褒められる』のに弱すぎるようだ、私って。しかし・・・悪い気がしないでもない。そして・・・魔法のアイテム『石のホッカイロ』ゲットだぜ!!