学校生活「視線の先」
今日から授業が始まる。でも、一番最初は身体測定と体力測定をしないといけない。身長、体重を計測するがこういったものは待ち時間が長い。計測に充てる時間はほんの少しなものなのだが。
マヘリア達いつもの3人とだべっていると私の背中に視線を感じる。昨日、お風呂での一件で目をつけられたらしい。私はペリドットの視線をスルーしようと思う。以前、アルビオン王国に来る時に居た護衛の冒険者パーティー『スカーレット』のフレイさんのような完全スルースキルを駆使出来そうにもない。ついつい目が視線の先にいってしまう。好奇心が先行してしまうのだ。
身体測定が終わった後、体力測定が始まった。体力測定は握力などの器具を使わないといけないもの以外を測った。体力測定でなぜか剣術と魔力の測定もしないといけない。魔力に関しては先生の裁量になっている。曖昧な事この上なしだ、どうでも良いが。
剣術の測定で先生がランダムで指名し対戦形式て行う。安全面を考慮し防具を付けるのだが・・・正直、私にとって防具は拘束具と同じなのでいらないのだが大人しく目立たないようにしたいので防具を付ける事にした。
そして、全体での剣術の測定なのだが・・・先生はなぜか私を指名してきた。
(なぜに!目立たないようにしていたのに!!)
そのように思っていたら先生は話した。
「サイレン、噂を聞いているぞ。ガルーダに乗ったりオーガを従えたりしながら魔法も使えたりしているそうじゃないか?興味あるから最初にやってみろ!」
(ソウデスカ。私を目に付けている人は生徒だけではなかったんですね。)
先生に呼ばれたんでやらざるおえない。
「・・・はい。」
返事をしてグラウンドの中央に行った。先生は私以外の人に向かって・・・
「だれかサイレンとやってみたいのいないか!?」
そう言ったら一人だけ立候補した。
「はい!!私がやってみますわ!!」
手を上げたのはペリドットだった。まぁ・・・予想はしていたが清々しい程狙っていたようだ。
(お疲れさまでした!お先しまーす!)
と言ってこの場を離れたかったがそうさせてくれそうにもない。
「よくも昨日はやってくれましたわね!」
ペリドットはそんな事を言っていきり立っている。
そんな事を言われても私は悪くない!
(ないったらない!)
なので・・・
「何言ってるかよくわからない!」
「何ですって!!キーーーー!!」
よく分からないが怒らせてしまったようだ。私も乙女だが乙女心は良く分からない。この場合はペリドット心と言うべきか?それはさておき私とペリドットが対戦となった。
先生の始めの合図と共にペリドットが打ち込んできた。
「えい!えい!この!!この!!」
ペリドットが練習用の剣を振り回してきているが私は防戦一方で捌いた。
『カン!カン!コン!コン!』
ペリドットはだんだん疲労の色が見え始め肩を上下させて息をしている。私は特に疲れる訳でもなく。
『カン!カン!・・・・』
「なんで・・・当たらないの・・・よ!!」
そんな事言われても困るんだがこのままという訳にもいかないのでわざと負ける事に・・・。
『カン!カン!ゴン!!』
「やーらーれーたー!!」
練習用の剣の柄の部分で受けて体に当たったように見せかけ、私はそう言ってグラウンドの倒れた。
(うん、完璧だ。剣が当たったように見えるだろう。)
肩で息をしているペリドットは目に涙を浮かべ顔を赤くして怒っているようだ。そして私に向かって・・・
「覚えてらっしゃい!!」
そう言うと昨日のお風呂の時のように脱兎の如く走ってグラウンドから姿を消した。今回は昨日の様に全裸では無い。良かった良かった。
私は起き上がりボリボリ頭を掻いてペリドットの後ろ姿を見送った。
そして、先生は後ろから私に話しかける。
「サイレン、お前なぁ、少しは考えてやれよぉ。」
「いやぁ、私にも何が何だか・・・。」
・・・・
・・・・・・
・・・・・・・・
とりあえずその日の日程は終わり私は寮に戻りマヘリアとバローダ、ローリエに話しを聞いた。
「私、極悪人になってるようだけど悪くないよね!!どっちでもいいけど。」
私の問いにマヘリアが答えた。
「多分悪くないと思う。」
「極悪人は間違っていないけど悪くないんじゃない?どっちでもいいけど。」
続いてバローダが話し、ローリエが話した。
「わ、私は見ていないよ!多分!」
「だよね!私は悪くないっと。」
そう総括してこの問題を閉めた。そして私はこれからお出掛けしたいので・・・
「さて、ちょっとお出掛けしてきます。」
3人に言う。マヘリアが・・・
「何処に行くの」
「ちょっと商人ギルドですよ!じゃあ行ってきます。」
そう言って部屋を後にした。