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リファックタリング  作者: 青倉真輝矢
2/8

第2話 ループ

「ここは…?」


 見渡す限り草原が広がっている。

 遠くの方には城らしき建物が小さく見え、ところどころ見たことない生き物がいるように見える。


「…夢でもみてるのか?」


 恐らくここは俺が知る日本ではない。

 もしかしたら、見たことない生き物がいるあたり自分の知る地球ではないのかもしれない。


「もしかして…」


 VRでも使って景色を見ているようにも感じられるがそれとは違う、まるで…


「…異世界?」

「違うだろ」

「ゲームの中じゃない?」

「…確かにさっきまでやってたゲームの中みたいではある」


 言われてみれば、ゲームの中のような感じはする。


「ゲームの中?…確かにさっきまでやってたマルチ・オンラインの背景に似てるけど…」


 確かに異世界というよりゲームの中、と考えた方が良さそうではある。

 現に俺が今言ったように、背景や城の位置を見るにマルチ・オンラインの中のように感じる。

 最初に見たことない生き物と言ったが、それもマルチ・オンラインのモンスターに似ている。


「ここが仮にマルチ・オンラインだとしたら、メニューバーはどこだ?ゴレゴン見つけたか?」


 そう、ゲームの時には画面の上にあったメニューバーが無いのだ。


「いや、俺も見つけれてない。カーリィは?」

「えっ?えーっと…ないね。セリシアは分かる?」

「上にないなら下とかかな?」


 下にもなかった。

 が、そこで右上に何かあるのに気づく。


「なぁ、この右上のやつって…もしかして…」

「ん?これは…」


 メニューバーだった。

 ここで思い出したが、ゲーム内のキャラがメニューバーを今のような感じで出していた気がする。

 色々確認する。


「ログアウトボタンは?」

「ない」

「ステータス見てみろ!」

「え?Lv.1になってる!?」

「装備品も道具もないようだよ…」

「今俺たちが着ているのは私服だけど…」

「装備品名「私服」なんだけど。ウケる。」

「…武器が初期の弱いやつになっているみたいだよ」


 話をしているうちに、今はゲームをインストール直後の状態であることを確認した。

 ただ、1つだけ違う点があった。それは―


「なぁ、みんな。ステータス画面のこの…『能力』って何だ?」


 そう、ステータス画面に新しく『能力』という枠が増えている。


「確かに…こんなのあったか?」

「いや。なかったと思うよ」

「…あっ!能力の説明が出てきた」

「俺もだ。なになに…」


『能力』という文字を見続けていたら説明文が出てきた。

 どうも、この能力は人によって違うらしい。

 ということは、他の3人とは違う能力ってことか…

 このことを話しておく。


「なぁ、この能力って人によって違うらしいぜ」

「マジか!?…たしかに書いてあるな」

「私たち一応パーティだし、確認しとかない?」

「…そうだな、確認しといた方がいいと思う」


 確かに他の3人の能力を知っておいて損はない。

 むしろ使えるかもしれない。

 俺のは…どうだろうな…


「じゃあ、順番に能力の名前言っていこうか」

「そうだな」

「ええ」

「そうしよう」


 正直俺の能力はゲームとは関係ない気がする。

 迷っててもしょうがないので話すけど。


「俺は『ループ』だ」

「俺は『スキル拡張』だな」

「私は『気配感知』よ」

「…私は『限界突破』」


 え、何この疎外感…

 ゲーム関係ないの俺だけ⁉︎


「え、えっと…それぞれ説明文読もうか…」

「そ、そうね…」


 とりあえず疎外感から抜けるため話題を変える。

 変えるって言っても必要なことだからな。


「えっとループの説明は…『この世界に来た時間に強制的に戻る。発動条件は、この能力所持者が死ぬことと、この能力をパーティメンバー以外の他者に話すことである。プレイヤーレベル・スキルレベルはリセットされるが、スキルポイントはリセットされない。また、獲得した一部の道具は持ち越せる。』だと」


 なるほど、死ぬか話すたびにこの世界をやり直すんだな。

 実質不死だけど、どうなんだコレ…

 ちなみにこの時俺は説明の最後の文を記憶していなかった。


「なるほどな。だが、俺たちと違ってこのゲーム攻略自体には関係ないんだな」

「分からないわよ。ループしないとクリアできないっていう糞ゲーかも」


 それは糞ゲーだわ。

 ループ必須とか何?最初からラスボス出てくるとかそうゆうの?


「…そういうことか」

「どうしたの?」


 セリシアが何かに気づいたようだ。


「ループの発動条件…能力所持者が死ぬということは…この世界…おそらくゲームではないようだね」


 確かにそうだ。

 マルチ・オンラインではカーリィが蘇生の魔法を覚えていたから死んでも大丈夫だったが、それをできずにループっていうことは…


「カーリィ、魔法のスキルのどこかに蘇生はあるか?」


 すかさずゴレゴンが聞く。


「…ない」

「は?」

「だからないのよ!この世界はゲームじゃない!死んだら生き返ることができないのよ!」

「嘘…だろ…」


 ゴレゴンとカーリィが崩れる。

 セリシアは崩れてはいなかったが衝撃を受けていた。

 …と3人の様子を見ている俺も冷静ではない。

 だが、俺の場合は死んでもループして生き返るようなものだからそこまで驚きはしなかった。


「つまり、この世界では本気で戦わないとダメだってことか」

「そう…なるな…」

「そんな…」


 だが、確証が得られた。

 この世界はゲームじゃない。

 これだけでも大きい。


「ショックを受けているところ悪いが、能力の説明の続きをしてくれないか?」

「あ、ああ…俺のスキル拡張は、『カンストした武器専用スキルのみスキル拡張が使える。拡張先のスキルは『解放』の1つだけである。条件として全武器専用スキルを解放することとプレイヤーレベルが100以上であること。』」


 なるほど、解放っていうのは奥義みたいなものかな?

 とても強い技が出せるとかそんなところだろう。

 ということを話し、次のカーリィの能力の説明にうつる。


「私の気配感知は、『生き物の気配を感知する。この能力は常時発動している。『感知無効』の能力者には無効化される。』」


 これは、使える能力だな。

 気配を感知して危機を回避できる。

 厄介なのは感知無効の能力者だな…

 さらに姿を消されたりすると厳しいな。

 確か姿を消している人を炙り出す魔法があったような…

 最後にセリシアの能力の説明だ。


「私の限界突破の説明は『プレイヤーレベルの上限を解放できる。解放できる回数は1人につき2回までである。パーティメンバーのみ有効。』」


 なるほどな。

 マルチ・オンラインではパラメータはレベルに依存している。

 ゲームの時の上限は100だったが、この世界ではどうなんだろうか。

 しばらくは必要ないが、おそらく限界突破しないと厳しい敵がいるのだろう。


「なぁ、イールド。話変わるけどマップを見たところここって始まりの村じゃないよな?」


 ゴレゴンが急に話を180度変えてきた。

 たしかにここは始まりの村ではない。

 メニューバーには、ステータス・マップ・道具・クエスト・設定とあるので、マップは見れる。


「ああ、マップを見る限りここはセントラルシュタインの近くだろうな」

「だよな。城はこの世界には5つしかないもんな」

「ああ」


 そう、この世界には五つの国があり、それぞれにシンボルとなる城がある。

 それぞれ、野原・荒野・水上・氷上・夜という特徴がある。

 ちなみに配置は、中央に野原が広がったセントラルシュタイン、左下に荒野のサバンナラルク、左上に多数の島で構成されたアクアネシア、右上に氷の大地のフィルザード、右下に一年中夜のナイトガナンである。

 …ゲームではそうなっていた。


「とりあえずあそこに見えるセントラルシュタイン城へ行こうか」

「…だが今のレベルだと危険だ。ある程度レベル上げてから行かないか?」

「でも、安全地帯に行くのが一番なんじゃないの?」


 確かにそうなんだが、セリシアは何か考えがあるのか?


「カーリィの能力の説明文を思い出して。能力者は別にいると考えられる。能力者がなんなのかは知らないけれど…もし、安全地帯に行って命を狙われたら危険だ。それに本当に安全地帯かどうか分からないからな…」


 セリシアの言う通りかもしれないな。


 ということでモンスターを倒しながら戦闘のやり方を再度確認し、城へ向かうことになった。


 道中ラビットを倒した時に布の服と銅製の剣を手に入れたが、手持ちの装備と変わらなかったので放置しておいた。


 セントラルシュタイン城へ向かって3日が経ち、ようやく到着した。

 世界の中心だということもあって、城下町は世界一の大きさを誇るらしい。

 今俺たちのレベルは全員10になっている。

 獲得した15スキルポイントを二刀流のところに振っておいた。

 素早さと攻撃が少し上がり、スキル『ファイアソード』を会得した。

 これで、ある程度は対応できるだろう。


「へー広いなぁ…城下町に入ったのに城はまだ遠くだぜ」

「ゲームの中とあまり変わらないのね」

「人が多い…」


 所持金はいくらか溜まっているので、武器屋へ向かうことになった。

 が、何か視線を感じる。


「まぁ、服がこの世界とは違うからなぁ」


 とゴレゴンが言った。

 確かに私服だと目立つ。

 どこかで布の服に変えるか?

 と考えていると俺たちの前に冒険者らしき4人組が話しかけてきた。


「よぉ、お前ら見慣れねぇ服着てんなぁ」

「だったらなんなのよ」

「お?この子かわいいじゃねぇか!」


 リーダーらしき人がカーリィにナンパしているように見える。


「何か用があるのか?」


 彼女にナンパされて不服そうなゴレゴンが聞く。

 こういう感じの人は苦手なのでゴレゴンに任せよう。


「あぁ、用ねぇ…」


 突如、武器を抜いた。

 俺たちも武器を構え、応戦できるようにしておく。

 最初に町に来てこれじゃあ先が不安だ。

 後で服を着替えておこう。


「お前ら…能力者かぁ?」

「ああ、そうだが…それが何か?」

「あぁ、能力者かぁ…それならさよならしねぇとなぁ!?」

「!?」


 ゴレゴンがナイフで刺された。

 すぐに俺が斬りかかるが…


「なっ!こいつら…早い!?」


 心臓を一突きされた。

 レベルが違いすぎる。それに…

 町は安全地帯ではないのか…

 HPが減っていき、最初のループに入った。

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