朝
窓から漏れる暖かな日差しで私は目が覚めた。部屋の中の机を見ると、机の上には綺麗に畳まれた制服が置いてあった。きっと昨日カイが洗っておいてくれたのだろう。私はベットからでて制服に腕を通す。着替えが終わるとカイが待っているリビングへと向かう。
「あぁ君か、おはよう。よく眠れたかい。」
新聞を読んでいた顔を上げ、私の目を見て彼は尋ねてきた。
「とってもよく眠ることが出来たよ、それとね私のことはルイって呼んで。一緒に生活するのにずっと君って呼ばれるのはなんか嫌だから。」
自己紹介ができていなかったので仕方ないがこのまま君と呼ばれるのは気持ちのいいものでは無い。タイミングを逃してしまうのも良くないと思い今ここでしっかりと言っておきたかった。
「ごめんよルイ、昨日僕は自分のことで夢中になって君のことを聞き忘れていたみたいだ。とりあえず朝ごはんを食べよう、今日はロンドンに行く予定だろう。」
朝ごはんはパンに、ベーコンと目玉焼き。新鮮そうな野菜のサラダ。至って普通のメニューだった。ご飯を食べ終わり、外に出ようとした時にカイからコートを渡された。
「その格好寒いだろう。コートを着るといいよ。」
カイが渡してくれたコートは少し大きかったが、とても暖かかった。2人で家を出て、玄関の戸に鍵をかける。緑の草が綺麗なレンガタイルの道を歩く。カイはロンドンでいつもの姿だと目立つからといって身長はいつもより低く人間らしい見た目になっていた。2人並んで少し長い間歩くと小さな駅にたどり着いた。電車に乗り椅子に腰かける。車窓から見える景色はとても綺麗だった。
「ルイ、ロンドンに着いたら少しよって行きたいところがあるんだけどいいかな。」
「もちろんいいよ、カイが行くところに私はついて行くから。」
「ありがとう、感謝するよルイ」
カイがよって行きたいところはどのようなところなのだろう。これから行くロンドンのことを考えながら私は電車に揺られた。