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魔王軍、財政難と闘う  作者: 工場長代理
魔界転生編
8/19

邂逅

 俺の名は斎藤シンジ。

 

 東京の大学に通うために、田舎から上京してきて、まだ3か月程度しか経っていない。大学では情報工学を専攻しているが、今は学業の事は忘れて遊ぶ日々が続いている。部屋もここ3か月で、かなり私物で散らかってしまった。


 ただ、そんな輝かしいキャンパスライフは突然、地獄に成り代わってしまった。


 それは、唐突に起きてしまった。


 世界が急に灼熱の地獄に覆われた。

 

 俺は暗闇のなかで、ただ怯えるしかなかった。

 だが、俺はそんな絶望的な世界でも、希望を捨てる事はなかった。


(死んでたまるか!! こんな所で死ぬわけには行かない! )

 

 そんな中、微かな希望が、目の前に現れた。救いの女神は、確かに、俺に微笑んだのだ。


(あ!? あれは、俺の携帯!! そ、そうだ! これで事態を解決できるかも! )


 そう、携帯で外部の技術スタッフを呼びさえすれば・・・


ー5分後ー


「・・・・はい。では、5日後にこちらの技術スタッフを向かわせますので、それまでお待ちください」


 ・・・神は・・死んだ・・・・


 この世も末だ・・こんな世界で5日間も・・・現代っ子な俺は、生存する事が出来ないだろう。


 ・・・というか・・・・


「ていうか、エアコンくらい・・・すぐに、直せるだろおおおおおおおおおおおー」


 最悪だ。この夏真っ盛りな時期にエアコンが故障?・・・


「俺が一体、何をしたと・・・・」


 もう・・・家に帰りたい・・・・


 もう、寝るか。

 そうして、俺は夢を見た・・・・・・・



~夢の中にて~


(我が輩は・・・幻術でも掛けられたのだろうか・・・)

 

 確かに、少年の夢の中に入る事に成功したはずだ。

 

 だが・・・目の前にはその少年が、現実世界と全く同じ部屋で眠っていた。

 少し温度の差は感じるものの、なんら変化のない風景だ・・・・


(人間とは夢の中でも、眠るというのか!? どこまで欲望が深い生き物なんだ)


「気持ちよく眠っているところ悪いとは思うが、目を覚ましてくれませんか? 」


 すると、少年は気(だる)そうにしながら、目を覚ました。


「う~ん、なんだ?・・・・え、誰? 」


 少年の顔がかなり青ざめている気がする。何か、間違った事をしただろうか・・・


「我が・・私は、田辺リア蔵と申します。今日は、あなた様に素晴らしい提案があり参上致しました」


「提案って・・・ここは、俺の部屋じゃ・・ていうか、リア蔵って・・・あと、背中から羽生えてますよ」


 少年の言い分はもっともだが、彼は最悪の発言をしてしまったのだ。


 なぜなら、悪魔とは元来、無駄にプライドだけは高い生き物なのだ。

「誰のプライドだけは高いってー?」


「いや、言ってない」

 

「そ、そうか・・ゴホンッ! 我が名は大悪魔ベリアル!! 悪いが貴様は異世界に行ってもらう! 」


 少年はまだ夢でも見ていると思ったのだろう。まあ、実際に夢の中ではあるが。

「唐突だなあ。え~と、異世界? もしかして、王国のお姫様をドラゴンから助け出したり、クリスタルを集めて世界を救ったりする感じの? まじで!? 」


「え・・ああ。そうそう、そんな感じの世界に、今なら俺が連れて行ってやる! 向こうに行けば、魔法とか必殺技とかも使えるようになるとも!! 」


 少年がファンタジー好きなのは、散らかった部屋で唯一、綺麗に陳列されているゲームや、ライトノベルからみても一目瞭然だった。


 案の定、少年は目を輝かせたが、すぐに目は(くも)ってしまった。


「本当ですか? それなら、魔法の一つでも使ってみてくれよ! 」


 リア蔵・・ではなく、ベリアルは予想通りと言わんばかりに、ニヤリと笑った。


「もちろんです。では・・」


 ベリアルは指をパチッと鳴らすと、部屋にカカシが生えた。


 その根元には・・・俺のお嫁さん(抱き枕)が横たわっていた。


「ああああああっ!! 俺の、お嫁さんがあああ!!! 」


「地獄の業火を見せてやろう!! 獄炎(ヘル・ブレイズ)


 その瞬間、カカシは真っ黒な炎に包まれた。不思議と熱さよりも寒さを少年は感じていた。

 もちろん・・・炎は下の枕にも広がり・・・


「ああああああああああああっ!! 俺の、俺のアイリちゃんが燃えている・・きざああああまああ

よくも、よくもアイリちゃんに手を出したなあああああああああああああ!!! 」


「ええっ!? アイリちゃん?・・・申し訳ございません。ですが、ここはあなたの夢の中ですからご安心を・・・」


(まさか、こんな事で、これほど怒ってしまうとは・・・人間とは、やはりわけが分からん・・)


「そ、そうか。なら・・・許してやる・・それよりも、本当に異世界に行けるんだな? 」


「もちろんです。それで、もしも行くことに承諾してくださるのでしたら、是非この契約書にサインをしてくださると助かります」


 その瞬間、少年は再び目の輝きを取り戻して、即座にサインをした。

 

 少年は、遠足に行く子供のように悪魔に質問をした。


「バナナはお菓子に含まれるのか? 」


「は? 何の話を・・・まあ、よいでしょう」

(この人間は一体、何を言って・・・わけがわからん)


「すまんすまん。でも一度でいいから、言ってみたかったんだよ」


「そ、そうですか・・・・・では、これより転生の魔法陣を展開するので動かないでくださいね 」


「わ、分かった・・・これで遂に異世界デビューかあ・・・」


 そして、悪魔の合図と共に真っ白の閃光が視界を包んだ・・・・・・


 




※アリスちゃんは実在する人物、団体とは一切関係がございません。(たぶん・・・)


次回予告・・・異世界でシンジが目にしたものとは一体!?そして、本来ならば運命の少年として異世界送りにされるはずだった少年は何者なのか!?

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