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魔王軍、財政難と闘う  作者: 工場長代理
王国編 《Ⅰ》
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いざ王都へ

「ここは......どこだああああああー!! 」


 馬車から出ると...目の前には、活気あふれる街並みが広がっていた。城壁に囲まれた街は、馬車が忙しそうに行き交い、お祭り騒ぎのように人々が群れを成している。街の中央には、この街を象徴するかのように豪華な城がそびえ立っている。魔王城やナタイ村には無い人々の喧噪がシンジ達一行を圧倒していた。


(俺は確か、魔王城でパン祭りに備えて準備しとくように言われて......)


 全ては三分前に(さかのぼ)る。


「我は金が欲しい。故に必ず祭りで優勝せよ。さあ、今すぐ王都へ出立せよ! 」


「え、今からですか? ちょ、ちょっと待って......」


「口答えは良いから、四十秒で支度(したく)しろ!! 」


「やかましいわ!! 」

 

 魔王の奴、毎日(魔王城)に引きこもってゲームとかアニメ見てるのは知ってたけど...もう駄目だ。コイツ、ただのニートじゃん......


「のろまの奴は嫌いだぞ!! 」


「お前まで何言ってんだ!? マリウス、まさかお前までニート道を!? 」


「ニート? 何の話だ? まあ、よくコイツとはよく遊ぶからなあ~」


「お前、魔王様に向かって馴れ馴れしいな!! 前に謁見した時は、もっと仰々しかったよな? 」


「「ああ、あれはただのその場のノリってやつだよ」」


「あっ、そう...じゃあ、準備してきますね......」


 その後、本当に四十秒で王都での祭りの準備をしたら、マリウスや王都でパン作りに協力してくれる人達と合流して馬車に向かった。


 俺達の乗るであろう馬車は見た目は普通だが、マリウス曰く幾重にも魔術が施された最上級の物らしい。

乗り物としては最上級だという。

 また、凄いことにパンを焼くために用意した石窯までもが収納されていたのだ。重量制限も異常だ。


「あれ、君は確か......アリエルさんですよね、ナタイ村の村長の娘さんの? 」


「はい、お久しぶりですねシンジさん。私もお手伝いしたいですし、本音を言えば王都でのお仕事なんて、こんな田舎では滅多に出来ないですから」


 えへへと笑う彼女は俺の目には、ただクロワッサンを食べたいだけなんじゃないのかとさえ思えた。


「まあ、いいか。さあ! 王都に向けて出発だ! 」


 そして、俺達一行は馬車に乗りこみ馬車が動き出したわけだが......


「さあ、着いたぜシンジ!! ここが王都だ!! 」


「って、なんでもう王都に着いたるんだよおおおおおお!!! まだ、一分も経ってないだろ? 」


「なんでって、そりゃあ転移したからに決まってるだろ。もちろん人には見えないように透明化の魔法も、気配遮断の魔法も掛けてるぞ! 」


「あっ、そう......」

 

 忘れてた。コイツらそういや悪魔だったな......魔法くらい使えて当然か.....


「あの~、何してるんですか? 私にはまだ一分くらいしか経ってる感じしかしないんですけど、まさかもう王都に着いたなんてのは冗談でしょう? 」


「何言ってんだ? もう王都についてるぞ。外の景色を見れば分かるだろ」


「え?......じょ、冗談ですよねシンジさん? 」


「.....」


 ようやく事態が把握できたらしいアリエルは

「まさか魔法? でもなんで......」


「なんで転移魔法みたいな上級魔法が使えるかって? そりゃあ、悪魔なんだし、それくらい掛けられるに決まってんだろ」


 すると、アリエルの目が漫画みたいにクルクルと回り始めた。


「うそでしょう? あなたが悪魔? ま、まさかシンジさんも......」


「俺はただの人間だぞー」


「良かった~。でもマリウスちゃんが悪魔だったなんて驚いたわ。まさか、魔王軍だったなんて.....」


「あれ? アリエルは俺らが魔王軍だって知っても怖がらないのか? 」


「はい。でもまあ、魔王軍といっても昔のように悪いことをしている訳でもないのでしょう? 王都では知りませんが、私たちの村では魔王軍は特に何もしていないと聞いていたもので。それに、パンを売る悪魔なんて、むしろ親近感さえ覚えます!! 」


「「そ、そうなんだ......」」


「それで、王都での拠点となる場所はどこなんだ、相棒? 」


「おう、もちろん確保してあるぜ!! まあ、実際に動いてくれたのはベリアルなんだけどな」


「意外だな。ベリアルの奴がわざわざ王都まで出向いたのか? 」


「アイツ、魔王の奴から任務を授かったとかで王都に滞在してるんだけど、そのついでにって引き受けてくれたんだよ。ほんと、意外だよなあ~」


 どうしよう、凄く嫌な予感がする。まあ、気のせいだよな.....

 それにしても王都は凄く中世感があって良いな! 確かに、魔王城とかナタイ村も良かったけど、やっぱ異世界に来たら城下町だよなぁ~


 窓から覗く王都の風景は、正に俺の思った通りの異世界だった。鍛冶屋や武器屋、魔法の巻物(スクロール)の店といった具合に石造りの店が立ち並び、通りでは行商人たちが客を引き、所々に冒険者が歩いている。


「ほら、着いたぜ!! 丁度すぐ横にある店が王都での拠点になる。でも、結構質素な外観だよなぁ」


 確かに、石造りなのは素晴らしいんだが、なんの塗装も為されていない木製のドアってのは何というか、とても残念だ。


「ドアは一回作り直した方がいいかもなぁ~」


「なら、綺麗な窓付きにしようぜ!! それなら、店の中も見れるだろ!! 」


「よし、そうと決まれば今日は大掃除がてら店内の装いも整えて、明日からパン作りが出来るように頑張ろう!! 」


 この日は一日中、真面目に働いたのであった.....


 













「そういや最近、天の声の人見かけないよな? 」


「ああ、あの人は今は風邪で寝込んでるらしいぜ」

 

 そんなことより次回も絶対見てくれよな!!

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