長話
長話じゃが、まあ老いぼれの話じゃ、付き合ってくれんかのう・・・
わしの名は、ピエール = タンベイという。
まあ、ここ十数年はずっと名前で呼んでくれるような者は、死んだ婆さんだけだったかのう。
村人からはずっと『村長』と呼ばれておる。
この村は、元々は先代の魔王が王国と戦争していたのじゃが、その時に捕虜として捕らえられた人間を、今の魔王様が解放して、中でも行き場の無い者を集めて住まわせているのだ。
本当に寛大な方だと、わしは思っておる。
わしは元々、シュトラエル王国の魔法騎士団に所属させられておったのじゃが、先代の魔王との大戦時に、自ら降伏し、解放後に率先して村の建設に尽力した事を称えられ、魔法騎士団から村長に転職して今に至るというわけじゃ。
何故、わしが魔法騎士団に所属し、魔王軍と戦い、降伏する事になったのかを話すと長話になるが、まあ、長話は老人の特権じゃし、ええじゃろ。では早速、運命の日の事を話すとするかのう。
ー時を遡ること数十年ー
俺の名はピエール。平民ながら王立魔法学院に所属する者だ。
まあ、いわゆる天才ってやつの一人だ。
だが、俺は学院に通う中で目的を達成してしまった。もう習得すべき魔法は無いので、ここ最近は授業をサボって、ダラダラしていた。
今日も図書室で本を少し読んだ後、居眠りをしていた。
「おいおい、今日も寝坊かよピエール。俺はきちんと、授業に出て、きちんと食事して、きちんと貴族どもに恩を売ってきたってのに」
「いやいや、食事は俺もしたし、あと、・・・・最後のは最低だろ。お前に平民たるプライドはないのか」
俺は流石に、貴族に媚を売るくらいなら、死んだ方がマシと思う。連中の見下している感じの視線が腹立たしいし、何より自分よりも勉強できるわけでも、運動できるわけでもない奴に頭を下げるのには抵抗がある。
「そんな事をするくらいなら、確か魔王軍の間で流行っている、男試しに失敗して死んでやる! 」
「じゃあ、試しに今やってみろよ! 実際にする日の練習と思ってさ。俺も一緒にやってやるからさ! 」
(確か・・・ハラキリという名前だったか・・・・なんでも、自分の腹にナイフを刺すという内容だったか・・・それから、確か、腹を切った後「あはははは!!死んでませ~ん!だって腹切ってもすぐ治るもんね~!!」と言えば成功だったか・・・・あれ? )
「「俺、腹切っても・・・再生しねええええええじゃん!! 」」
ハラキリは人間がすると、死んでしまうという確認を怠っていたら、わしらは死んでしまっていたのだ。
そうして、わしらは死という運命から逃れる事が出来たのであった。
~fin~
「「・・・・・・」」
「どうじゃ? 」
俺はもう我慢ならなかった・・・
「ふざけんなあああ!! こんなアホな話どんだけ長々と話しているんだよおおおお!! 」
そうだ、そうだ。大切なAパートを使って、こんな話をするなどあり得ない!!
あえて言おう、カスであると!!
「使い方・・・・・間違っていませんかねえ」
え?聞こえている?・・・・前にもあったような・・・・・
なぜ、ベリアルだけはこの声が聞こえるのだろうか?
それはそうと、聞こえていても返答するな!! この、悪魔めっ!!
「悪魔ですが、何か? 」
・・・・・・少年よ・・・・何とか話を前に・・・・・・
「おい、何ボソボソと独り言を呟いてるんだよ? それより、お前も何とか言ってくれ」
「そうじゃ!わしの話を聞かんかっ! 」
ありがとう・・・・これで私もナレーションに戻ることができる・・・・・
「それよりも、もっと大事なことを・・・あれ?・・魔王軍の領地?おいおい・・・え?嘘でしょ? 」
(・・・・・もしかして・・・ここら一体を治めている王って・・・有名な王って・・・・こいつの主って・・・・魔王なのか?・・・・)
彼を召喚した王が魔王だと気が付いてしまった瞬間、シンジは足の力が抜けそうになるくらい驚愕していた。なにより、これから待ち受ける未来が、魔王を倒す勇者様から、魔王に仕える人類の敵になってしまった事に恐怖した。
ていうか・・・・・6話目にして気付くとか・・・・遅くね・・・・・・
「確かに気付くのが遅かったですね。それなりに冴えていると思っていたのですが、肝心な所ではバカなんですかねえ」
「う、うるさい!確かに悪魔と契約する王様って・・・どんな王様だよっ!って思ったけどさ・・・」
(・・・でも・・・・悪魔もベリアルみたいなポンコツだし、魔王も案外、普通なんじゃないか)
「そんな事よりもじゃ、話の続き・・・・聞きたい?聞きたいじゃろう? 」
「それよりも、魔王の話をだなあ!! 」
「うるさい!うるさい! わしだってお話がしたいのじゃあ~」
子供のように駄々をこねる村長のおかげで、冷静さを取り戻したのかシンジは大人の対応をした。
「あー。俺も話が聞きたいし、続きを話してください。あー、楽しみだなー」
すると、村長は嬉しそうに話の続きを始めた。
「そうじゃろ、そうじゃろ。それでのう、その後・・・・・・・・・
次回予告・・・「村長、魔王と戦う」次回はわしが、先代の魔王との大決戦に挑む話じゃ!
見てくれないと、魔王に代わってお仕置きよっ!じゃ。
※嘘です。ご老人の話ですので温かく見守ってあげて下さい。




