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文々。通信  作者: 妖じい
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老兵率いる付喪神の反逆チャリティー

第二千十六季 水無月の一

 同月の1日。道具による世界征服を目論む琵琶の付喪神である九十九弁々さんとその妹(仮)、琴の付喪神である九十九八橋さんがチャリティー演奏会の活動を人間の里で始めたという噂をヒトづてで耳にした。チャリティーとは社会に貢献する善良な行為・行動を行う活動組織のことを指すのだが、輝針城の異変の際には人間に対して報復を企てていたあの自称姉妹たちのことだ。わたしは何か裏があると思い、本人たちに突撃取材を行った。

 人間の里にある貧相な居酒屋の小ステージで、自称姉妹らは質素な音を奏でていた。琵琶と琴が織り成す音は何とも地味だが、物好きな高齢者が少数ながらいるようだ。演奏終了後、不細工な拍手の喝采に見送られた2人に人間への報復を諦めたのかと尋ねてみた。「諦めてなんかないわ!! 道具による世界征服計画は続行中なのよ。私たちがこうして演奏していって有名人になるでしょ? そしたら何万人ものファンが出来て人間たちの味方を交えた組んず解れつの大反逆を巻き起こすのよ!!」と、八橋さんが手の内を明かした。最近までただの楽器だったからなのか、取材を受けるということがどういうことなのかまるで理解していないらしい。自称姉の弁々さんが続いた。「今はまだ小さな勢力ですが、あと一月もすれば何万人ものファンを作れるのだって夢ではないわ。ファンの中に人間が混ざっていれば、相対することとなる人間の勢力にも動揺が走るのは必然」と、一見賢そうで実にトンチンカンなことを言ってのけた。幻想郷に人間が万単位といるはずがない。そんなに多くのファンを作る気があるのならば、自称姉妹が指す反勢力もいっそファンにしてしまえば反逆を起こすことなくすべて解決だ。そのうえ琵琶と琴の音に魅了されるヒトなどせいぜい高齢者くらいのものだろう。年寄りたちを引き連れて戦争を起こそうとでも言うのか。

 こんなことを企てている姉妹だが評判は良く愛想も良いということで、まだごく一部にすぎないがファンの数は段々と増えてはきているようだ……高齢者の。演奏を終えた後に募ったお金を使い、ファンたちに永琳製薬の入れ歯洗浄剤をいつも配っているのだという。本音を除けば自称姉妹が行っていることは紛れもなくチャリティー活動なのであった。

この勢力にはお孫さんを集めた勢力で対抗してみましょうかね♪

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