熊に襲われるも亡霊現れ無傷
第二千十六季 皐月の二十
同月の30日。人間の里より少し外れた西の山林にて、ヒトの修行僧が熊に襲われる事件が起こった。修行僧に怪我はなく無事に人間の里へ下山することが出来た。森で修行をしていた最中に襲われ、緑色の服を着た亡霊に命を救われたとコメントした。その時の様子を以下のように語った。
「森でいつものように精神を集中する修行をしておりました。いつも決まった木々の開けた場所で行っているのです。人間の里から差ほど離れた場所ではありませんし、それまでは熊が出てくるだなんて思ってもみませんでした。子連れの熊が出てきたので身の危険を感じました。急いでその場を去ろうと思ったのですが母熊がこちらに向かって走ってきたのです。これも一生と悟った瞬間、一筋の緑色の雷が天から落ちてきたのです。私はその刹那、緑色の服を着た亡霊が天に向かって腕を伸ばしている姿を確かに見ました。まばゆい光が収まると熊たちは気絶しており私は助かりました。再びその亡霊を見ることは叶いませんでしたが、私はその亡霊に救われたに違いないのです」と語った。
この1件について人間の里を道行く方たちに街頭インタビューを行った。「まぁ~恐いわねぇ~。その修行僧さんはちゃんと死んだふりしてたのかしら?恐いわねぇ~」「ちょっと前ワシんとこの家の庭にも熊が出た、こんぐらいのが(約1.5m)。庭に置いとった冷蔵庫ん中の米ぬか食べとったから木刀持ってきて叩いたら逃げてったよ、恐かったですよ」「はあん!?知らねーよ馬鹿馬鹿しい。何の対策もせずにノコノコ森に入る修行僧が悪いじゃんよ。熊追っ払う術の1つも覚えずに妖怪もうろつく森に入るなんてどうかしてんよ。その寺からは抜けることを奨めるな。やれやれこれだから仏教徒は」「いやぁ~~恐いですねぇ~~でもなんだかすごい~~ロマンティック?うふふ♪イケメンの亡霊だったらぜひ私も助けてほしいですぅ~♡」
熊に遭遇した場合力の弱いヒトたちはどうすればいいのか。死んだフリ……という方法はもう古いです。熊のことをよく知る専門家の熊頼戌端さんはそう前置きをして以下のように対処法を2点述べた。
①熊の目から視線を外さない
②体の向きを変えずそのままゆっくり後ずさる
が、最も安全に逃げられる有力な方法なんだとか。注意しなければならない点は声を出さない・走らない・死んだフリをしないとのこと。死んだフリをしている間に襲われ死亡したという事例は少なくないらしい。そして上記の①②を実行しても襲いかかってきた場合は、熊と戦うほか手段はないそうだ。鼻が弱点らしいので襲われた際にはぜひ試してみては如何だろうか。
熊なんてわたしたちにとっては蟻んこ同然なんですがねぇ。人間はつくづく弱い生き物ですね




