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文々。通信  作者: 妖じい
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薬師の八意永琳 人命で博打か

第二千十六季 皐月の十九

 同月の27日。閻魔様であらされる四季映姫・ヤマザナドゥ様より、永遠亭の薬師である八意永琳先生が博麗霊夢を対象とした賭け事を行っていたことを認める供述をしたとの一報を頂いた。賭け事の内容は霊夢が熱中症によりいつ頃倒れるか複数人で予測をして掛け金を出し合い、霊夢が実際に倒れることとなる月日から1番近かった者がすべての掛け金を総取りするという仕組みだ。仲間内ではこの賭け事のことを『巫女サマーフェスティバル』と呼び合っているらしい。賭け事は1人で行うものではないため、必然的に複数の者が関与していることは明白だ。霊夢が熱中症により倒れた同月の21日以前から既に賭け事は行われていたそうだ。

 永琳先生が賭け事をしていると判明に至った経緯として、まず決定的な証拠となったのは知る者ぞ知る例の『φΛИΛΣΛ文書』なる巻物だ。四季様はφΛИΛΣΛ文書に書かれていた文字・記号・数字の羅列から何かの大会の得点をまとめた記録、或いは金銭に関わるメモと推測。わたしから拾った時間と場所を聞いていた映姫様は、永遠亭の近辺に他の住人が住んでいないこと・拾った直前に永遠亭が輝夜さんにより半壊していたこと・素粒子レベルで分解した元竹林の道筋に巻物が無傷で落ちていたこと・幻想郷では使われていない文字が含まれていることから考えて、巻物は月の都の産物であると断定。試しに映姫様が巻物の隅をちぎると、ちぎった部分から新たな紙が再生し元に戻ったらしい。そして所有者の真面目な性格が伺える決定的な証拠を映姫様は見逃さなかった。巻物の軸に『八意永琳』と記されていた。永琳先生を問いただし始めた際にはシラを切っていたものの、何十時間と話し合って行くうちに永琳先生がいくつかボロを出してしまい四季様は賭け事のほうだと確信。誘導尋問を駆使した後φΛИΛΣΛ文書を見せつけた途端に永琳先生は滝の如く汗を流し出し、観念したのかすべて白状して謝罪したそうだ。

 四季様は賭け事に関わった者たち全員を永琳先生から聞き出したと仰られ、今は彼岸にて他の仲間たちの裏付けを探るために常時地獄耳を立てているとのこと。賭け事に関与した者たちもシラを切るような行動に出たならば浄瑠璃の鏡を使うことも躊躇しないそうだ。永琳先生の処罰は仲間たちをまとめてあぶり出した後、追って沙汰を申し上げるとのこと。永琳先生が今まで様々な者たちから培ってきた信用の急落は免れないだろう。加えて以前のインタビューにて、お金には興味が無いと公言していたばかりなのだから尚更だ。

 四季様より文々。通信に掲載してももう問題はないとの許可が下りたため、【没ネタ】ではなく正式に取り上げさせてもらうこととなった。

長生きの月人でさえ閻魔様の尋問には耐えられなかったようですね恐い恐い

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