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文々。通信  作者: 妖じい
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(故)宮古芳香さん生き返るも無事死亡

第二千十六季 皐月の十二

 同月の25日。以前豊聡耳神子氏が復活した異変の後、愛する手下のキョンシーである故宮古芳香さんを土に還した邪仙の霍青娥さん。この度故芳香さんを復活させる儀式を行うらしいとのタレコミがあったため現場へと急行した。緑が鬱蒼と生い茂る山の中腹あたりにて、鼻歌混じりで忙しく準備をしている様子の青娥さんを発見。「よく来たわねぇ」と、わたしがここへ来ることをあらかじめ知っていたかのような口振りで挨拶をし、取材の許可も快く承諾してくれた。

 故芳香さんを復活させる儀式にでも使うのか、金ぴかに輝くインチキ臭い際具のような物複数に衣類・線香・防腐剤・御札数枚が無雑作に置かれていた。肝心の故芳香さんの死体は見当たらない。青娥さん曰く、故芳香さんの死体は掘り起こさず、死体が埋まっている真上で儀式を行って復活させるらしい。そして復活の儀式はほんの数分で終わるとのこと。なぜ今頃になって故芳香さんを復活させる気になったのか尋ねるも、「あら?鴉は賢いってよく聞くけれどしょせんは鳥頭ってことかしらね?焦らなくたってすぐに分かるわよ。もぉ~慌てん坊さん♪」と言ってウインクをしてみせた。

 青娥さんが物々しい呪詛を唱え始めてから物の数分。土を派手に蹴散らして(故)芳香さんの両腕だけがびっくり箱のように飛び出てきた。復活の儀式自体は成功したらしいのだが……「蘇らせるといつもこうなのよねぇ~……ここからは自分で出られないから引っ張るの手伝ってくれないかしら?見物料もそれでチャラにしてあげる」見物料の話を初めて持ち出してきた青娥さんに目で不満を訴えつつ、(故)芳香さんの墓荒らしを手伝うことにした。

 (故)芳香さんの全身を地上へ出した後、青娥さんは手始めに防腐剤を(故)芳香さんの全身に塗りたくった。続いて下着・肌着・黒のスカート・赤い中華風の半袖上着と準に着せていく。上着を着せるのに若干イライラしている様子が見られたものの、慣れた手つきで靴下・靴と、手早く済ませた。最後に御札をおでこに貼り付けて完了。ちなみに御札に書いた文章次第で(故)芳香さんの行動を指示通りに動かすことが可能となる。そして青娥さんは(故)芳香さんに命令した。「最近刺激が無くなって退屈になっちゃったからしばらく私の側にいなさいな」おでこに貼り付けた御札には【霍青娥と共にあること】と書かれていた。(故)芳香さんは、「……とーころでおまえは誰なんだ!?」と相変わらずの脳無しっぷりを発揮してみせた。寝起きだからだと信じたい。

 青娥さんが(故)芳香さんに自己紹介をしている間わたしは暇だったので、地面に置かれたままにされていた他数枚の御札を何となく見てみた。すると以下のことが書かれていたのであった。


【スイーツを食べに行きましょう】

【ランチに行きましょう】

【旅行に行きましょう】

【私を仙人にして】

【だまってて】

邪仙であることに自覚はあるみたいですねぇ(笑

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