プロローグ その2
魔王様に解雇を命じられた三人のモンスターは道のない山道を目的もなく途方に歩いて3日が過ぎていた。
「お腹減ったな・・・」
「・・・・・・・・・だね」
テトとリヴァは鉛のように重たくなっている足を懸命に前へと進ませるが先頭を歩いているロイとは距離が遠のく一方だった。
「どうした。早くこっちに来いよ」
「・・・そうは言っても・・・」
「お腹減った・・・」
「・・・・・・仕方がない奴らだな」
ロイは二人の方へと歩み寄った。
「これでも食え」
そう言ってロイは近くに生えていたキノコをとると二人へと渡した。赤と白の斑点模様のしたキノコが二人を見つめる。
それを無言で二人は跳ね除けた。
「何をするんだ!!」
「そっちこそ何をしようとしてるんだよ!?」
「キノコを渡しただけだろ!」
「あれってどうみても毒キノコじゃないか!殺す気か!!」
「・・・・・・あれは食べれない・・・」
「俺は食べても大丈夫だったから大丈夫だ!」
「君はアンデットだからだろ!脳まで腐ったそのからだに回復魔法ぶち込むぞ!!・・・・・・あ~・・・どなったら余計体力が・・・もう無理動けない」
「・・・・・・行動不能・・・」
本当に無駄な体力を使ってしまったテトとリヴァはその場に座り込んだ。
「おい、立て」
「もう無理。力が入らない」
「・・・・・・・・・」
「その気持ちは俺にはわからないが、ここで止まってしまっては死ぬだけだぞ。俺たちはもう魔王軍ではない。見つかったら殺されるぞ」
「いいよそれで。この空腹から開放されるなら」
「・・・・・・テト」
「大体さ、勇者が僕達のとこに来たのでもう終わってたんだよ・・・もう疲れたよ」
「まだ諦めるな俺たちは生きてるじゃないか」
「君は死んでるけどね」
「その減らず口が叩けるならまだ行けるな。行くぞ」
「・・・・・・やれやれ。リヴァもう少し頑張ろうか」
「・・・・・・・・・・・・」
「リヴァどうかしたのか?」
「村が見える・・・」
「え!?ウソどこどこ!!?」
「・・・あそこ」
リヴァが指差した場所を見ると、微かだが建物がいくつか建っている村が見えた。
「よし。あそこの村から食料を奪う。いけるなテト・リヴァ」
「了解!」
「・・・うん」
三人はその村に希望を持ち駆け足で進みだした。
「・・・これは一体どういうことだ・・・」
「どういうことなんだろうね~」
「・・・・・・理解不能」
三人が村の近くの崖まで近づいて見たこうけいを驚いた。
「どうして人間が人間の村を侵略しているんだ?」
村のこうけいは無残だった。馬に乗った何人かの人間が仲間だと思わしき人に指示をだし食料を運ばせていた。他の人間は縄で縛られ一箇所に集まられその周りを何人かの人間が見張っていた。
「あーあれは略奪だね」
「・・・りゃくだつ?」
テトの返答にリヴァは大きな体を傾けた。
「僕たちが今までやってきたことをやっているんだよ」
「人間同士がか?」
「そうだね。理由は知らないけど、人間は僕らみたいに一致団結してないんだろうね」
「なるほどな」
「・・・・・・良くないね」
「ってかさ、僕たち見てていいの?あれ僕らの食料でしょ」
「・・・・・・奪い返す」
「そうだな。なら行くぞ!」
三人は村の食料を奪っている人間へと突撃をしていった。
「頭!食料全部積み終わりました」
「よし。村に火を放て。女子供は大事な売り物だ。男は殺せ」
「へい!」
野党の集団は村の女子供を連れ去る準備を開始し始めた。そしてもう一つの仕事も・・・。
「・・・・・・なんだテメエ?」
一人の野党が関係のないことを言うと周りの野党もその異変に気がつきそこに目を向けた。その先には黒い鎧を纏った者、フードを被った者、大きな巨漢がいた。
「悪いがその食料置いていってもらおうか」
ロイは丁寧な口調で警告した。
「今その食料を置いていけば見逃す。消えろ」
野党の一人が頭に指示を尋ねた。
「・・・頭」
「殺せ」
頭の短い指示を受け一斉に三人へと向かっていった。
「・・・愚かな」
ロイは剣を抜き、テトは呪文を唱え、リヴァは地面に手を突っ込ませた。ロイは無謀にも野党へと特攻していくと一斉に体を貫かれた。野党共は仕留めたと感触で不適な笑みを浮かべる。しかし、それはすぐに消え去った。ロイは自分に近づいた野党を切り伏せ刺さった剣を抜いていった。
「お前らモンスターか!?」
「だからなんだ?警告はしたからな。テト・リヴァ」
「は~い!じゃあ人間さんさようなら♪ライトニング」
テトから放たれた雷の魔法は野党の体に風穴を開けていった。
「・・・・・・ごめんね」
リヴァは地面を掘り起こしその大地を殴り自然の弾丸大量に打ち込んだ。戦いは一方的に進み野党は全滅した。
「・・・終わったな」
村人を解放した三人は食料が積まれている荷台へと向かった。
「あー疲れた。もう魔力がないよ・・・お腹減ったし・・・」
「・・・・・・・・・ご飯」
「そうだな。では食料をいただくとするか」
「あ、あの!!」
三人に声をかけてくる少女がいた。
「なにかようかな?」
「食料ならあげないよ」
「助けてくれてありがとうございます!」
『・・・・・・え?』