村雲学園(むらくもがくえん)
少女は手の痛みと闘っていた。
人をあんますることは、それなりの鍛錬が必要でありその過程で体に痛みはつきものである。
少女は腕をぷるぷると震わせながら指立て伏せの体制で固まっていた。
彼女のチャームポイントとも言うべき蒼いツインテールは小刻みに震えているものの、発展途上?のふくらみは微動だにしていなかった。
少女こと彩乃 儚は耐えかねたのかぷはぁと息を吐きながら崩れ落ちた。
儚はあんま・マッサージ・指圧師の国家資格の取得できる村雲学園に入学したばかりの18歳である。
幼少のころに受けたマッサージが忘れられず、その時抱いた夢を叶えるために努力を続けているのである。
儚は力の入らない体に活を入れるためにつぶやきながら指立て伏せを再開するのであった。
「もっとマッサージがうまくなって、可愛い女の子を骨抜きにするんだからぁ こんなところでつまずいてちゃダメだぁ」
「あの時のお姉ちゃんみたいなマッサージ師さんになるために頑張るんだぁっ!」
儚の悲しきつぶやきは、アパートの1室にこだました。
村雲学園は、好調である村雲 一誠によって創立された専門学校である。
その特徴ともいうべきものは、女子高ならぬ女子専門学校という点である。
校長の願いである 女の子同士が和気藹々としながらマッサージをしあっている姿を見たいという目的で創立されたことは校長の心の中だけに隠されている。
しかし、その願いは今のところ果たされていない・・・
村雲学園では、基本的には国家資格を取得するための講義(座学と)と実技と実際に患者さんに治療を行う臨床実習が行われている。
また、校長の意向により体育祭や文化祭なども行われている不思議な専門学校である。
あんま・マッサージ・指圧師の国家資格の受験資格を取得するには、3年間の勉学が必要であり、150問の試験で6割を取る必要がある。
試験内容は、座学で習う・解剖学・生理学・東洋医学・経絡経穴をベースにその発展形の科目等も含まれる。
実技面の試験は行われていないため、3年間の努力を実らせるためにも座学からは逃げられない(笑)
蛇足
大まかなシステムを知っていてほしかったので、つまらない説明を長々と書かせていただきました。
学校の概要が少しでも連想できると儚の状況が分かりやすいと考えましたので、ざっくりと書きました。
詳しい方には申し訳ないのですが、あんま・マッサージ・指圧をまとめてマッサージと書いておりますが、わかりやすくするための処置なので申し訳ありません。
作品内でその件に触れられたら幸いです。